ぼうけん15 声帯ポリープ手術後の沈黙治療を乗り切る
手術というのはそりゃ誰にとっても大変なんですが、先生にお任せするしかないわけです。しかし、手術が終わってからの想像ができていませんでした。
一言もしゃべってはいけない(沈黙療法) 5日間
30%だけしゃべっても良い 1週間
70%だけしゃべっても良い 1週間
大体3週間ですね。発声制限です。
喋らないなんていう人生は生まれてこのかたやったことがないので、とまどいしかない。
それでも、話してはいけない、というゼロイチはまだ対処ができそうな気がします。でも看護師さんが突然部屋のドア開けて「調子いかがですかー」って言ったら、かすれ声で
「ダイジョウブ、です」
って言っちゃいませんかね? ええ、言いました。
「その声が一番ダメなんですよ!しゃべっちゃダメー」
確かに診察のときに言われました。こそこそ声が声帯に負担だ、と。でも話しかけたのはそっちだ。
自宅に戻っても突然話しかけられるときにひっかかりやすい。
ダンナさんも何気なく「あれってどこだっけ」とか言っちゃうわけです。そうすると
「あ、それならココだ・・・あ!(気づく)」
みたいなことになります。
あと、TVの「は?」みたいな映像や発言もかなりリスキー。
私は平野レミさんが油を入れた小さいボウルの底を使ってフライパンに油を広げた映像をみて
「えっ!?はっ!(気づく)」
をやっちまいました。
さらに困ったのは30%ウィーク。30%てなんですか。
退院時に先生に聞きました。
「30%というのは、音量ですか、言葉の数ですか」
「数ですね」
「先生、どうやって減らすんですか」
「はい、って言ったらそのあとは黙るとか」
「え」
「残りをチャットとかに書いたらどうでしょう」
「なるほど」
「自分から話しかけない、というのも有効です」
「え」
「話しかけられた時だけ、はい、という」
えー。そんな。
しかもその30%の分母は何なんだ。
私の今までの30%?
かなり無口なダンナさんの30%?
一般国民の30%?
私の30%はどう見ても(聞いても)ダンナさんの100%です。いいのかそれでも。
「いいですよ」
いいんだ。
30%ウィークはもうまごまごしたまま終わり、70%ウィークに突入。
70%なんていう微妙な制御は全くできず、30%+アルファくらいのイメージ。
70%ウィーク終わっても怖くてそんなに声を出せず、次の診察日に
「はい、器官としての声帯は完全に元に戻りました。日常会話を出すための声としても、元通りになっています。歌や講演などで使う、プロとしての声はこれから訓練で戻してください。練習できなかったアスリートみたいなものなので、またトレーニングしないと元には戻りません。完全に元に戻るかどうかは訓練次第です」
退院後の一番の心配だった、声帯は戻るのか、は先生やみなさんのおかげで成功したのは本当によかったです。
次のチャレンジは歌えるの?また同じ声になれるの?
友人からは「少し変わるよ」とか「音域変わることもあるよ」と言われてもう怖い怖い。
恐る恐るボイストレーニングをしてみると、やっぱりすぐに声が疲れる。
それでもゆっくり音階トレーニングしてみると、なんとなく前とあまり変わらないレベルまでは歌えるようになりました。
なんてさっぱり言ってますが、初めてボイトレできた日は、歌いながら泣きました。嬉し泣きですね。声帯ポリープができていた間は鼻歌すら音程が取れなくて、なんか悲しくて音楽聴かないでいたんですよね。
やっと聴けるし、歌える。これは嬉しかったです。当たり前だと思っていたことができなくなる、できた時のありがたさをコロナで思い知っていたはずなのに、また驚く自分の学ばなさにびっくりです。
でも先日ライブしたときには、最後のセットでは高音が1度歌えない(実際には歌えないような気がしたので歌わなかった)状況でした。道険し。
どうもずっと声が枯れているような気がする、という方、一度声帯を疑ってみてください。できれば声専門ののクリニックに行って、声帯の状態を確認してみてください。
声が出ないからと言って、わざわざこそこそ声にすると声帯に負担がかかるので、普通の声で話してください。あと、飴ちゃんは舐めすぎないほうがいいようです。舐めたらお水を飲んでください。
声のためのトレーニングとしては、コップに水を入れてストローでぶくぶくしながら声を出すのが良いそうです。
声をどうぞ、お大事に。