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催し物がある日でも僕と彼女はいつも通りの1日を過ごします。

〇〇:夏鈴〜今日、花火大会あるらしいんだけど行く?

夏鈴:うーん。行かなくて良いかなぁ

〇〇:はいよ

僕の名前は山下〇〇。彼女の名前は藤吉夏鈴。僕と夏鈴は大学3年生で同棲している。

夏鈴は催し物にあまり興味がない。春の桜、夏の花火、秋の紅葉、冬のイルミネーション。女だったら誰もが甲高い声を出しながら観に行く催し物に夏鈴は全く興味がない

夏鈴:今日さ、花火の音ここまで聴こえるかな?

〇〇:意外と音がデカいようでデカくないからなぁ

夏鈴:ちょっと意味が分からない

〇〇:でも、聞こえてもそんな爆音では無いと思うよ?

夏鈴:それなら良いけど、

〇〇:夏鈴って花火の音嫌いだっけ?

夏鈴:別に嫌いじゃないけど、花火の音で寝れないのが嫌だなって思って

〇〇:そんな夜遅くまでやってないよ

夏鈴:え?そう?日跨がないっけ?

〇〇:跨ぐわけないだろ。めちゃくちゃ迷惑だわ

夏鈴:あぁそうか。それなら良いや

〇〇:夏鈴ってさ、イベント嫌いだよね?

夏鈴:別に嫌いじゃないよ?

〇〇:人が多いのが嫌ってだけか?

夏鈴:うん。〇〇もでしょ?

〇〇:俺は花火大会だけ好きなんだよね

夏鈴:何で?

〇〇:え?

夏鈴:あ、分かった

夏鈴は僕の言葉を遮り、こう言う

夏鈴:じゃがバター食べれるからでしょ?

〇〇:舐めんな

夏鈴は口を手で押さえ、微笑む

夏鈴:じゃがバター好きじゃなかったっけ?

〇〇:好きだし、実際2割くらいはその為でもあるけど

夏鈴:じゃあ合ってるじゃん

〇〇:いや、それじゃまだ赤点だから

夏鈴:別に良いよ。そんなに興味無いし

〇〇:そうやって逃げてきた結果、藤吉夏鈴さん。あなたはどうなりましたか?

夏鈴:〇〇の彼氏になってしまいました

〇〇:なってしまったってやめろよ。俺が好きで彼女になってくれたんだろ?

夏鈴は少し間を開け

夏鈴:でさ、何で花火大会行きたいの?

〇〇:夏鈴の浴衣姿が見たいから

夏鈴:あ、そ。

〇〇:ねーまじでお願い。夏鈴のさ、浴衣姿見せて?

夏鈴:絶対やだ。あんなの着れない

〇〇:ねぇお願いってば。一生のお願い

夏鈴:〇〇も着てくれるなら良いよ

〇〇:絶対やだ

夏鈴:じゃあ私もやだ

〇〇:あんなの着れないよな?

夏鈴:うん

〇〇:普通に考えて暑いし、着るのめんどくさいし、トイレとかも行きにくいよね

夏鈴:まぁそうだね

バーーン

花火が上がる音が聞こえる

僕と夏鈴は窓越しから花火を見つめる

〇〇:何でこんなのに魅了されちゃうんだろうな

夏鈴:何でだろうね?

〇〇:なんか夏鈴みたいだな。

夏鈴:どうゆう事?

〇〇:いいや、夏鈴と出会った時の事思い出しただけ。

夏鈴:いつだっけ?〇〇との最初の出会い。

〇〇:え?忘れたの?

夏鈴:高校でしょ?

〇〇:そうそう覚えてるじゃん。

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高校2年生の時

麗奈:〇〇〜新クラスどうだったぁ?

〇〇:まだ見てない。

麗奈:早く見て。早く見て。

彼女の名前は守屋麗奈。僕の幼馴染で今まで一度も違うクラスになった事がない。

〇〇:2年4組か

麗奈:また私と一緒だよ?

〇〇:え?麗奈も4組?

麗奈:うん。

〇〇:じゃあクラス行くか。

麗奈:手繋いで行く?

〇〇:そんな劇キモカップルじゃないんだから

麗奈:え〜別にキモくないけどなぁ

〇〇:五万歩譲ってカップルだったら良いけど、俺ら付き合っても無いのにそんなのキモイだろ

麗奈:じゃあ付き合っちゃう?

〇〇:考えとくわ。

僕はそう言い、麗奈を置いて先に教室に向かう。

麗奈:もうツンデレなんだからぁ。

麗奈は僕の背中を追うようにして小走りでくる。

2年4組

麗奈:おはよ〜

麗奈はそう言い、仲の良い女子の元に行く。

〇〇:ツンデレなのはどっちだよ。

僕は小さくそう呟き、自分の机に座る。

新クラスというのもあり、いつもはギリギリで来る奴も今日に限っては早く来ていたが、

僕の横の席の子はまだ来ていなかった。

ガラガラ

新しい担任が入ってくる。

教師:全員揃ってるな。

〇〇:僕の隣の席まだ来てないです。

教師:え〜っとそこは誰だ

??:すいません。遅れました。

教師:あー藤吉か。遅刻だぞ

彼女の名前は藤吉夏鈴。

夏鈴:すいません。

夏鈴は小さな声でそう言い、頭を下げて一つ空いた僕の隣の席に座った。

教師:じゃあ全員揃ったし、始業式まで少し時間があるから隣の席の人と仲良くなれ。

周りを見渡すと、男女関係なく皆楽しそうに話している。

〇〇:藤吉さん?

夏鈴:ん?何ですか?

〇〇:よろしくね?

夏鈴:あ、うん。よろしく。

会話が全く弾まない。

それを見兼ねた前の席の麗奈が後ろを振り返り、

麗奈:夏鈴ちゃん、よろしくね。

夏鈴:あ、よろしく。

麗奈:今年の夏さ、〇〇と一緒に花火大会行くんだけど、一緒に行かない?

〇〇:何で俺は強制なんだよ

麗奈:え?でも行くでしょ?〇〇、じゃがバター好きだし

〇〇:まぁ好きだけど。恥ずかしいからあんま言うな

僕は横目で藤吉さんの方を見ると、微笑んでいた。

夏鈴:誘ってくれたのは嬉しいけど、私はあんまり人が多い所好きじゃないからいいかな

麗奈:え〜じゃあ〇〇と2人で行かないといけないの?

〇〇:だから、勝手に決めんなよ。

教師:よし、じゃあ始業式始まるから皆廊下出て〜
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〇〇:懐かしいな。夏鈴ってめちゃくちゃ大人しいのに遅刻してきたんだよな

夏鈴:だって、別に新クラスとか興味無かったもん

〇〇:しかも、全然話膨らまないし、仲良くなるの諦めてたもん。

夏鈴:うん。私も絶対仲良くなれないって思ってた。

〇〇:俺が夏鈴の事名前で呼び出したきっかけ覚えてる?

夏鈴:全然覚えてない。

〇〇:夏鈴は俺との思い出何も覚えてないんだな。あれ、確か5月の初め頃に行った研修の時に

夏鈴:ぜーんぜん覚えてない。
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5月

教師:来週はバスで研修に行くけど、席は今の席で行きます。変に揉めても嫌だから

僕はあれ以降、藤吉さんとの会話は英語の授業でお互いの英語の作文を読み合う時以外話していなかった。

その日の放課後。

〇〇:バスってどれくらい移動あるんだろ

麗奈:1時間くらいらしいよ。

〇〇:まじか。俺、夏鈴と1時間隣同士やばいな。

麗奈:え?いつのまに夏鈴って呼ぶようになったの?

〇〇:いや、初めて言った。

麗奈:でも、仲良くなれるよ

〇〇:無理だよ。藤吉さん、話しかけてもクッソ返し雑だもん。

麗奈:嫌われてるんじゃない?

〇〇:だったら麗奈はもっと嫌われてるよ

麗奈:えー何で?

〇〇:だって、めちゃくちゃガツガツ行ってるじゃん

麗奈:え〜そうかな?

〇〇:そうだよ。あーまじでどうしよ?何話そっかな

麗奈:頑張って。

【研修当日】

夏鈴:ねぇねぇ

〇〇:ん?

夏鈴:私、窓側に座っても良い?

〇〇:あー良いよ。

藤吉さんは僕にそう言い、窓側に座ったが、出発して5分程で寝てしまった。

〇〇:結局寝るのかよ

僕は藤吉さんの寝顔を見ていると、

麗奈:盛り上がってる?

麗奈が席の間の狭いスペースから覗き込むようにしてそう言ってくる。

〇〇:もう寝ちゃった。

麗奈:どんまい。

30分後

夏鈴:あ、寝てた。

私はせっかく窓側に席を譲ってもらったのに寝てしまっていた事を後悔し、〇〇君の方を見ると、、

夏鈴:寝てる。

私の肩に頭を乗せ、寝ていた。

どうすれば良いか分からなかった私はもう一度目を瞑った。

25分後

教師:着いたぞ。寝てる人居たら起こしてあげて

麗奈:うわ2人とも寝てるじゃん。カップルみたい

私はスマホで2人が頭をくっつけながら寝てる姿を写真に撮り、起こした。

麗奈:2人とも着いたよ。起きて。

先に起きたのは夏鈴だった。

夏鈴:山下君、起きて?

私は〇〇君の肩を叩いて起こす。

〇〇:ん?もう着いた?

夏鈴:うん。

僕は目を開けると、藤吉さんの肩に頭を乗せていた事に気づいた。

〇〇:うわ、ごめん。夏鈴。

夏鈴:え?

〇〇:あ、ご、ごめん。反動で夏鈴って呼んじゃった。ごめん。藤吉さん

夏鈴:ううん。大丈夫だよ

僕は恥ずかしくなり、すぐにバスを降りた。

麗奈:夏鈴ちゃん見て?

麗奈は〇〇と夏鈴が頭をくっつけて寝ている写真を見せた。

夏鈴:ちょっと何で撮ってるの?

麗奈:えへ。可愛いから撮っちゃった。

夏鈴:バレてないと思ったのに。絶対〇〇君に見せないでね

麗奈:はーい。

夏鈴:もう絶対だよ。

窓の外から藤吉さんが笑顔で話しているのを見て惹かれるようになっていた。

夏鈴:〇〇君。

〇〇:ん?

夏鈴:これからも夏鈴って呼んでね。

〇〇:え?

夏鈴:お願い。私も〇〇君って呼ぶから

〇〇:わ、分かった。
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〇〇:懐かしいな。あれがもう5年前か?

夏鈴:懐かしいね。

〇〇:あの時の夏鈴めちゃくちゃ可愛かったなぁ。あー神様、あの時の可愛い夏鈴を返してくださーい。

夏鈴:は?それどうゆう意味?今が可愛くないって言いたいの?

〇〇:冗談だって。

ピンポーン

家のチャイムが鳴る。

〇〇:ちょっと行ってくる

僕が部屋の扉を開けると、浴衣姿の麗奈と同じく高校の時のクラスメイトの田村保乃が浴衣姿で家に来た。

〇〇:2人ともどうしたの?

麗奈:今、2人で花火大会行っててさ、〇〇の家近いじゃんってなって来たの

〇〇:そうなんだ。

保乃:〇〇って浴衣の女の子が好きだから嬉しいかな

〇〇:まぁ好きだけどさ、彼女居るんだぞ?

保乃:でも、夏鈴は浴衣とか着ないでしょ?

〇〇:まぁ着ないけど

麗奈:だから、見せに来てあげたの

〇〇:それはありがとうございます。それで何の用?

麗奈:もう冷たいな。お土産買ってきてあげたよ。

麗奈は僕にじゃがバターを渡してくる。

〇〇:まじで?

麗奈:どうせ好きでしょ?

〇〇:うん。めちゃくちゃ好き。嬉しいわ。後で1人で買いに行こうかなって思ってたから

保乃:麗奈ちゃんすごいね。

麗奈:今、夏鈴ちゃん居るんでしょ?

〇〇:居るよ?

麗奈:じゃあお邪魔しても良い?

〇〇:ちょっと待って。夏鈴に聞いてくる。

麗奈:はーい。

僕はリビングに戻り、夏鈴の元に向かう。

〇〇:夏鈴〜麗奈と保乃がじゃがバター買って来てくれたよ。

夏鈴:3人で花火大会行ってくれば?

〇〇:え?

夏鈴:私なんかよりも2人の方が好きなんでしょ?

〇〇:そんな事無いって。

夏鈴:でも、さっき言ってたじゃん

〇〇:聞いてたんだ。

夏鈴:ほら、やっぱそうじゃん

〇〇:違うって。あれは言わされてただけで

夏鈴:別に良いもん。好きじゃなくても

〇〇:だから、好きだってば。

夏鈴:そんなんじゃ分かんない。

〇〇:分かんないって言われても好きなんだもん。

夏鈴:ちゃんと身体で表現して

僕は手と足を大きく広げる。

〇〇:これくらい。

夏鈴:もうそうゆう意味じゃないって。

夏鈴は笑いながらそう言った。

〇〇:でも、分かったでしょ?どれくらい好きか

夏鈴:うん。分かった。

〇〇:じゃあ今日は2人には帰ってもらうか

夏鈴:ううん。良いよ。久しぶりに2人と話したいし

〇〇:分かった。じゃあ呼んでくるね

僕は再び玄関に向かうと、、、

〇〇:あれ居ない。

2人の姿は無かった。

保乃:ねぇ何で帰るの?

麗奈:2人の邪魔したらいけないし。

保乃:でも、麗奈ちゃんさ

麗奈:ううん。大丈夫。もう私には多分無理だから

[終]


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