私がほんとに好きなのは。〜幼馴染が面倒くさいです〜
校長:今回のベストカップルは、、、石森と的野ペアです。
体育館に集められた約400人の生徒が拍手を送る。
この学校には文化祭のイベントの一つでベストカップルを決める大会がある。
ベストカップルのエントリー条件はお互い彼氏が居ないのが前提である。
〇〇:的野かっけぇもんな
僕の名前は向井〇〇。高校2年生。
優月:美青、ほんとかっこいいよね。
〇〇:まじでレベル高いよね。去年の玲さんの男装もめちゃくちゃかっこよかったし
優月:あれはやばかったね。
彼女の名前は中嶋優月。同じクラスの女。
優月:ちょっと待って。
優月が笑いだす。
〇〇:どうした?
優月:璃花の顔見て。もう完全に女の顔になってる
〇〇:あいつめちゃくちゃ乙女だからな。
優月:美青とほんとのカップルになっちゃうんじゃない?
〇〇:でも、そのくらいの勢いだよな。
優月:付き合われたら困るくせに〜
〇〇:は?別に困らんし
優月:ふーん。
優月は僕を煽るような顔をして、そう言った。
校長:じゃあ2人は自分のクラスの列に戻ってください。
璃花、美青:はい。
そう言い、2人は教壇を降り、僕たちの元にやってくる。
女子からの黄色い歓声に美青は手を振り、その横で璃花は恥ずかしそうにしている。
〇〇:お前、まじで顔やばかったぞ
璃花:え?何が?
〇〇:めちゃくちゃ女の顔になってた
璃花:だって、美青ちゃんかっこいいんだもん。
美青:璃花も可愛かったよ。
璃花:んな。もうやめてよ。
璃花は美青の肩を叩き、美青はそれに対してすまし顔をする。
〇〇:お前ら、ほんとバカだな。
優月:ほんとにバカ。
璃花:何でぇ?私たちバカなんかじゃないよね?
美青:うん。多分あれだよ。嫉妬してるんだよ。
璃花:えー〇〇とゆーづ嫉妬してるの?
優月:私が嫉妬する訳ないじゃん。〇〇は嫉妬してるかもだけど
〇〇:は?別に俺もしないから。
美青:じゃあ璃花は俺が貰うよ?
美青はふざけて僕にそう言う。それに対して璃花は
璃花:はぁ。
再び女の顔になる。
〇〇:アホか。
2人は文化祭が終わるまでずっとイチャイチャしており、僕と優月はそのバカップルの会話に付き合わされていた。
その日の放課後。
〇〇:璃花、帰るぞ
璃花:もうちょっと待って
〇〇:下駄箱、先に行ってるよ
璃花:えーちょっとダメだって。もう少しで終わるから待ってて
〇〇:はいはい。じゃあ後10分な
璃花:そんな要らない。
〇〇:わがまま言うなよ。10分あげるって言ってるんだから10分使え
璃花:そんなに要らないって言ってるじゃん。5分で良い
〇〇:ダメ。10分使って
璃花:もうほんとに〇〇めんどくさい。ほんとに美青ちゃんの女になっちゃうよ?
〇〇:は?何言ってんの?
璃花はクラスの皆が居る前で僕にそう言い、クラスの皆は笑う。
僕と璃花はいつもこうゆうくだらない会話を放課後している。
璃花:待っててよ。
〇〇:はいはい。
僕は誰の席か分からない席に座って、璃花を待つ
璃花:ダメ。ハグは禁止です
美青:え?別に良いよ?
璃花:だーめ。美青ちゃんは私のだから。ハグはダメ
放課後、色んな学年の女子がクラスに来て美青とのツーショット会が始まっていた。
璃花は剥がしの役割をしている。
優月:〇〇、10分以上かかりそうだね
〇〇:え?まじ?
優月:だって、見てよ。結構列出来てるよ?
〇〇:もう先に帰っちゃおっかな
優月:それはダメだよ。璃花悲しんじゃうよ?
〇〇:ほんと面倒くさい女だ
優月:面倒くさい幼馴染を持った〇〇が悪い。
〇〇:え?俺が悪いの?
優月:うん。じゃあ先に帰るね?
〇〇:え?帰るの?
優月:うん。バイバイ
〇〇:え?ちょっと帰るなって
優月:むり〜。もう疲れたもん
そう言い、優月は教室を出て行った。
〇〇:はぁ。唯一の希望が。
??:あの〇〇さん。
〇〇:ん?
??:一緒に写真撮ってもらっても良いですか?
〇〇:え?俺と?
??:はい。
僕は廊下に出て、後輩の女の子と写真を撮る。
璃花:あれ?〇〇が居ない。
璃花は〇〇を探そうと教室を見渡すと、
美青:璃花、どうしたの?
璃花:ううん。何もないよ。
美青:〇〇、探してるんでしょ?
璃花:え?う、うん。
美青:やっぱりね。
璃花:先に帰っちゃったのかな
美青:〇〇はそんな事しないと思うけどなぁ
璃花:だよね。ちょっと探しに行っても良い?
美青:うん。良いよ。行っておいで
璃花は鞄を持って教室を出ると、、、
廊下にて
〇〇:うん。じゃあね。また明日ね
〇〇は後輩の女の子と楽しそうに話していた。
〇〇:おう。璃花、終わった?
璃花:う、うん。今、何してたの?
〇〇:後輩の女の子が写真撮りたいって言ったから撮ってた
璃花:そうなんだ。
〇〇:うん。じゃあ帰るか
璃花:1人で帰る。
〇〇:え?何で?
璃花:別に今日は1人で帰りたい気分なだけ
〇〇:え?でも、帰り道怖いんじゃないの?
璃花:う、うるさい。1人で帰れるもん
そう言い、璃花は僕を置いて廊下を歩いた。
美青:はぁこれだから〇〇はダメなんだよ
〇〇:的野、どうゆう事?
美青:いや、普通はあそこで追いかけるんだよ。
〇〇:え?でも、1人で帰りたいって
美青:だから、ほんとに1人で帰りたい訳ないでしょ。
〇〇:じゃあ追いかけた方が良いって事?
美青:はぁ。もう私が追いかけるよ?
〇〇:的野、足遅いじゃん
美青:もううるさい。早く追いかけて
〇〇:もう分かったよ。教室に鞄置いてるからそれだけ取らせて
美青:そんな暇ない。早く行け〜。想いを伝えてこーい
美青はそう言い、僕の背中を押す。
〇〇:もう璃花ーーー
僕は走って璃花の元に向かった。
璃花:もう〇〇なんて知らない。ほんとに美青ちゃんと付き合ってやるんだから
〇〇:璃花、ごめんってば
璃花:何がごめんなの?
〇〇:え?いや、えーっと
璃花:分かってないじゃん。どうせ誰かに行った方が良いって言われたから来たんでしょ。
〇〇:ち、違うよ。
璃花:じゃあ何?
〇〇:一緒に帰ろうよ。
璃花:今日は1人で帰るもん。〇〇と一緒に帰りたくない
〇〇:まじでお願い。俺は今日、璃花と一緒に帰りたいの
璃花:いっつも一緒に帰るの嫌がるくせに
〇〇:別に嫌がってないし
璃花:いや、嫌がってる。私が帰ろって言わないと一緒に帰らないじゃん
〇〇:そんな事ないし、今日は俺が言ったじゃん
璃花:でも、先に帰ろうとしたじゃん
〇〇:それはそうだけど
璃花:ほらね。もう〇〇の事なんて知らない
璃花が僕に背を向け、再び足を運ぼうとした時、、
〇〇:璃花好きだ。
僕は廊下に響き渡るくらい大きな声でそう言った。
璃花:え?今なんて
〇〇:ご、ごめん。い、今のはちょっと。
璃花:はぁ。
璃花は大きくため息を吐き、下駄箱に向かった。
僕は歩いて行く璃花を見つめるしか出来なかった。
美青:なぁもうほんと意気地なしだな。
優月:ほんとにダメだよね。
美青:あれ?何で居るの?
優月:廊下を走って帰ってたら体育の先生に見つかってめちゃくちゃ怒られてた
美青:え?ダサ
優月:うるさい。ちょっと美青、カツラ貸してよ。
美青:あ、付けてあげる。
美青は優月にカツラを被せる。
美青:あっはは。似合ってなさすぎ
優月:美青が変な風にしてるんでしょ〜
美青:あ、情けない男がこっち見てる。
〇〇:お前ら見てたの?
優月:うん。見てたよー
美青:まだ追いかけて
〇〇:もうむりだよ。
優月:諦めんなー。
美青:行かなかったらさっきのダサいセリフ皆にバラすよ?
〇〇:あぁもう
僕は何も考えずに再び璃花の元に走った。
美青:大丈夫かな?
優月:ねぇこのカツラどうやって取るん?
美青:ちょっと待って。皆に見せたいからまだ被ってて
美青と優月は〇〇の背中を見送った。
璃花:もうほんと意気地なし。〇〇なんて好きにならなきゃ良かった。
〇〇:璃花ー待って。
璃花:もう何?しつこいよ?
〇〇:璃花、ちょっと言いたい事ある
璃花:なに?
〇〇:俺さ、的野みたいにカッコいい言葉言えないし、女心なんて全く分からんけどさ
璃花:うん。
〇〇:璃花の事、めちゃくちゃ好きなんよ。ほんとにこの世の女で1番好きなの
璃花:ほんと?
〇〇:うん。付き合いたいって言うのを通り越して誰にも取られたくないって思うくらい好きなの
璃花:でも、さっき後輩の女の子にデレデレしてたじゃん
〇〇:そ、それは男の性やん
璃花:じゃあやっぱ好きじゃないじゃん
〇〇:だから、好きだって
僕は璃花の手を掴み、住宅街の真ん中で唇を合わせていた。
【次の日】
教師:昨日な、この学校の男女の生徒が公共の場で不健全な事をしていたという事でクレームが入ってる。このクラスかどうかは知らないが、心当たりがある奴は後で来い。
僕と璃花は顔を真っ赤にしていたら
優月:先生、すいません
教師:どうした?
優月:もしかしたら私と美青かもしれません
教師:でも、男女だぞ?
優月:昨日、カツラ被ったまんま帰りました。
美青:あ、そうだ。多分、私たちです。すいません
優月と美青は深々と頭を下げ、その後生徒指導室に向かい、色んな先生に笑われたそうです。
[終]
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