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学校のマドンナの事が好きなのに僕は気を遣ってしまう。

櫻高校

3年2組

〇〇:おい。どうにかしろよ。

教室の外には1人の女生徒を見ようと何百人もの生徒が群がる。その中には女生徒も居る。

??:私には関係ないって〜

僕の名前は山﨑〇〇。高校3年生。そして、僕の隣の席のこの群がりの原因の女。その名は、、、、

大園玲

〇〇:皆、玲を見に来てるんだぞ?関係ない事ないだろ?

玲:でも、私が呼んでる訳じゃないんだもん

〇〇:まぁそうだろうけどさ、めちゃくちゃ迷惑だしクラスに入りずらいんだよ。

玲:でもさでもさ、可愛くない?

〇〇:何が?

玲:私の事を好きで居てくれる皆がなんかすっごく可愛く感じるの。

〇〇:は?意味分かんねぇ。

玲:だって、見て?

玲は教室の外を指差す。

玲:あの人、私の名前付きのうちわ作ってるんだよ?

〇〇:まぁ確かに凄いな。

玲:しかもさ、教室に入ってこないんだよ?

〇〇:まぁ確かになぁ。良い人達ではあるんだろうな

玲:そうそう。もうそういう所が凄く可愛い。しかもね

キーンコーンカーンコーン

学校のチャイムが鳴る。

〇〇:あ、

玲:ね?凄いでしょ?

教室の外の玲のファン達が全員自分の教室に帰っていく。

〇〇:でも、ほんと凄いよな

玲:え〜別に凄くなんかないよ。

〇〇:1.2年の時はあんな人達居なかったくない?

玲:うん。居なかった。

〇〇:急に何でだろうな。

玲:うーん。分かんない。

〇〇:玲が髪型を短くした辺りからちょっとザワザワしだしたよね。

玲:確かに。それが原因かも。髪が長い時は別に居なかったもん

〇〇:やっぱ男はショートカットの女が好きなんだな。

玲:〇〇はどっちなの?

玲は机に肘を付け、笑いながらそう聞く。

〇〇:えー俺はどっちかなぁ。

僕が玲の質問に答えようとすると、玲は遮るようにして

玲:〇〇はどっちの私が好き?

〇〇:は?

玲は悪戯っぽく笑い、そう聞き直す。

玲:〇〇はどっちの髪型が好きだった?

〇〇:別にどっちがも変わらんかな

玲:じゃあどっちが似合ってる?

〇〇:うーん。難しいなぁ。

玲:どっちが可愛いと思った?

〇〇:そんなに差はないよ。

玲:どっちも可愛かったって事?

〇〇:まぁ可愛い事はないけど、

玲:え?可愛くなかったの?

〇〇:え?いや、まぁそう意味じゃないけど

ガラガラガラガラ

教室の扉が開く。

教師:じゃあ朝のHR始めるぞー

席を立っていたクラスの人らが席に座らせ、HRを始める。

〇〇:はぁ。

僕は深くため息をついた。

玲は不思議そうな顔で僕を見つめていた。

昼休み

昼休みになると、朝と同様で玲のファンの皆が玲の食事シーンを見ようと教室の前に集まる。

玲のおかげで前まで人が多くて行けなかった食堂にも簡単に行けるようになった。

〇〇:ほんと玲凄いな。

僕が1人で食堂に向かっていると、、、

??:〇〇先輩

後ろから元気な声で僕の事を呼ぶ。

〇〇:おー凪紗

彼女の名前は小島凪紗。高校2年生。彼女は中学校からの知り合いで大園玲のファンの1人でもある。

凪紗:お疲れ様です。

〇〇:お疲れさん。髪切ったんだ

凪紗:はい。似合ってます?

〇〇:うん。似合ってるよ。玲と同じくらいの長さじゃない?

凪紗:いやいや、そんなやめてください。私が玲さんと一緒だなんて

〇〇:でも、玲に憧れてやったんじゃないの?

凪紗:まぁそうですけど

〇〇:玲に言っとくね。

凪紗:や、やめてください。

〇〇:えー何で?きっと喜ぶと思うよ?

凪紗:いや、ほんとに私と話してる時間なんて玲さんには勿体ないです。

〇〇:何だよそれ。

凪紗:あ、玲さんだ。可愛いなぁ。

玲が少し俯いた顔でサッカー部の部室の方に向かって行く。

〇〇:あいつ何してんだろ。

凪紗:え?知らないんですか?

〇〇:ん?何が?

凪紗:今日はサッカー部のキャプテンの麻也さんが玲さんに告白するんですよ

〇〇:え?まじ?

凪紗:知らなかったんですか?

〇〇:知らんかった。

凪紗:ほんとに〇〇さんは何も知りませんね。

〇〇:うるさいなぁ。

凪紗:〇〇さんは玲さんの事好きじゃないんですか?

〇〇:は?どうゆう意味だよ

凪紗:いや、玲さんは人気だから他の人に取られちゃいますよって意味です

〇〇:何言ってんだよ。

凪紗:じゃあ私は失礼しますね。

そう言い、凪紗は僕の元から離れていった。

〇〇:取られちゃうか。

すると、そこに、、、

玲:〇〇〜何してるの?

玲が走りながらこっちにやってくる。

〇〇:玲こそ、どうしたんだ?

玲:ちょっと呼び出されてて

〇〇:おめでとう。

僕は玲の明るい表情を見て察したので、一言そう言った。

すると、玲は

玲:え?あ、ありがとう。

〇〇:うん。それじゃあな。

僕は心に穴が開いたまんま、玲を置いて教室に戻った。

玲:〇〇、どうしちゃったんだろ。

玲は〇〇の後ろ姿を見て、頭を傾げた。

玲:あー凪ちゃん、髪短〜い

放課後

僕は勝手に気まずくなり、おめでとうを言ってから玲と一言も喋らずに放課後を迎えた。

玲:〇〇?

僕が帰る準備をしていると玲が僕の顔を覗き込んできた。

〇〇:なんだよ?

玲:どうしちゃったの?なんか冷たくない?

〇〇:別にそんな事ないよ。じゃあ俺、帰るな。

玲:あーちょっと待って?

〇〇:何?今日すぐに帰らないと行けない用事あるんだよ

玲:一個だけ質問しても良い?

〇〇:うん。良いよ。

玲:さっきのおめでとうってどうゆう意味?

〇〇:は?

玲:さっきさ、おめでとうって言ってくれたでしょ?何に対してのおめでとうなのかなぁ?って

〇〇:え?それはさっきの告白の

玲:断ったよ?

〇〇:え?じゃあ何でありがとうって言ったの?

玲:だって、おめでとうって言われたもん。

〇〇:まぁ言ったけどさ、普通聞き返さない?

玲:聞き返そうと思ったけど、あの時の〇〇元気なさそうだったから

〇〇:え?そう?

玲:うん。だから、聞き返せなかった

〇〇:それは申し訳ないな。

玲:あ、足止めしちゃってごめんね。早く帰らないといけないんでしょ?

〇〇:い、いや

玲:ん?どうしたの?

〇〇:今日、一緒に帰らない?

玲:〇〇からそんな事言うなんて珍しいね

〇〇:そうかな?

玲:だって、いつも私が一緒に帰ろって言っても断るじゃん

〇〇:別にそんな事ないけどなぁ

玲:そんな事あるよ。いっつも何かと理由を付けて私から逃げるように帰って行くじゃん

〇〇:それは、

玲:だから凄く嬉しいよ。早く帰ろ?

玲は僕の言葉を遮り、手を差し出してきた。

〇〇:手を出すな。

玲:むぅケチ。

〇〇:じゃあ先に下駄箱行ってるからな

玲:えー何で?一緒に行こうよ〜

〇〇:やだよ。玲のファンがこんな所見たら可哀想じゃん

そう言い、僕は先に教室を出て、下駄箱に向かう。

玲:独り占めしてほしいのに、、、

玲は教室を出て行く〇〇の背中を見つめながらそう呟いた。

〇〇:うわ、凄い人の数だ。一緒に帰らない方が良いかな

僕は下駄箱にいる玲のファン達の数を見て一緒に帰るのを諦め、玲にLINEを送り先に帰る事にした。

玲:え?何で?

玲は〇〇からのLINEを確認し、急いで教室を飛び出るようにして行って出て行った

下駄箱にて

玲:うわぁ凄い人。

下駄箱には私の事を好きでいてくれる方達が沢山居た。

玲:ちょっとごめんね。急ぎの用があるの。写真は必ず明日撮るから。ちょっと道開けて

私が一言そう言うと、皆は道を開けてくれた。

玲:あ、凪ちゃん。

凪紗:あ、玲さん、こんにちは。

玲:髪切ったんだね。めちゃくちゃ似合ってるよ。

凪紗:いやいや、そんな玲さんに比べたら全然です。

玲:〇〇がどこに行ったか知らない?

凪紗:凄い暗い顔して校門を出て行きましたよ。

玲:あ、ありがとう。じゃあまた明日ね。

凪紗:は、はい。

私は校門を出て、〇〇の帰り道を走った。

5分後

玲:〇〇。

私は膝に手を置き、少し離れた場所に居る〇〇を力を振り絞り呼んだ

〇〇:玲、何してんだ。

僕は玲の元に駆け寄った。

〇〇:どうしたの?こんな汗かいて

玲:一緒に帰ろ?

〇〇:は?何言ってんだ。

玲:さっき一緒に帰るって約束したから

〇〇:でも、

玲:でもじゃないよ。〇〇は気を遣いすぎだってば。他人の目なんて気にしないで良いから。

〇〇:もう一緒に帰れないよ

玲:だから、何で?

〇〇:もう家着いちゃった。

玲:え?

玲は顔をあげると、〇〇の家がそこにはあった。

玲:じゃあ休憩させて。

〇〇:別に良いけど。

僕の家がラブホ扱いされてるような気がしたが、そんな事を言うと、変な感じになる気がしたので言わなかった。

玲:はぁ涼しい〜

〇〇:寒くない?

玲:うん。丁度いいよ。ありがとう。

〇〇:まさか追いかけてくるとは思わなかった。

玲:〇〇、何で帰ったの?

〇〇:いや、玲のファンがいっぱい居たから。

玲:それじゃ理由にならないよ。

〇〇:でも、

玲:私はもっと〇〇と話したいし、遊びにも行きたいよ?

〇〇:そりゃ俺だって行きたいよ。でも、玲のファンの皆の事が気になって

玲:じゃあ私が誰かの女になっても良いの?

〇〇:え?

玲:私の事好きなんでしょ?

〇〇:自分で言うか?

玲:〇〇が意気地無しだからだよ。ほんとは〇〇の口から聞きたかったけど、

〇〇:玲。ごめん。

玲:それでどうするの?私は〇〇の事好きだよ?それでも私の事を好きな人たちの事を思って告白しない?

〇〇:俺の彼女になってくれ。

玲:ほんと遅すぎ。

次の日

〇〇:はぁ玲のファンの皆が怖いよ

玲:もうビビりすぎだって。絶対大丈夫だから。

僕と玲が校門をくぐると、玲のファンが沢山居た。

するとそこに、、、

凪紗:2人ともおめでとうございます。

凪紗がやってきた。

〇〇:あ、ありがとう。

凪紗の声に釣られるように他の皆も僕たちの事を祝福してくれた。

〇〇:ほんと良い奴らだな。

玲:だから、言ったじゃん。

昼休み

玲のファン1:玲さんは何が好きなの?

玲のファン2:玲さんの可愛い写真ください。

〇〇:もうお前らうるさいな。玲に言えよ。

僕は玲のファンの男どもに追われる日々だった。

〇〇:もう玲助けてくれ。

玲:いひひ。がんばれ〜

[終]

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