扉越しに彼女の玲を揶揄ったら素顔を知れました。
〇〇:はぁ。暇だなぁ。ドンジャラしたいなぁ。
僕の名前は田村〇〇。大学3年生。夏休み真っ只中
〇〇:ちょっと待って。まじでどうしよ。ほんとにする事ねぇな。1人でジェンガでもしよっかなぁ。
ピンポーン
家のインターフォンが鳴る。
〇〇:あ、誰だ。
僕は物音を立てないように静かに扉の前に行く。
〇〇:佐川かな?ヤマトかな?
僕は扉の覗き穴をそーっと見ると、、、
〇〇:おー玲だ。
扉の向こうには僕の彼女の大園玲がニヤニヤしながら立っていた。
〇〇:なんでこんなニヤニヤしてんだ?
どうやら今日の玲は機嫌が良いみたいだ。
〇〇:あ、そういう事か。
玲がなぜ機嫌が良いのかはすぐに分かった。髪の長かったれいがショートカットになっていた。
玲は僕にほめられるのが大好きで多分髪を短くしたのを褒められたいがために家に来たのだとすぐに分かった。
〇〇:よし、意地悪しちゃお。
ピンポーン
もう一度インターホンが鳴る。
〇〇:あ、また誰か来た。
僕が覗き穴を覗くと、、、
〇〇:うおっびっくりした。
玲も目を大きく開けて覗き穴を覗き込んでいた。
〇〇:あ、玲がもう一回インターファン押しただけか。
玲:〇〇、居るんでしょー。早く入れてー
扉越しから玲がそう言う。
〇〇:アホやなぁ。ちょっと写真撮っとこ
僕は扉の覗き穴にスマホのレンズを押し付け、写真を撮る。
〇〇:うーん。あんま上手く撮れんな
玲:あ、こんにちは〜
〇〇:ん?
覗き穴を確認すると、玲が僕の隣の部屋に住んでいる小田倉麗奈さんに挨拶をする。
麗奈:もしかして玲さん、髪切りました?
玲:えーよく気づいたね。
小田倉さんはまだ玲に髪を切りましたねと言っただけなのにあたかも褒められたかのような声と表情をしていた。
麗奈:いや、分かりますよ。
玲:でもさでもさ、会ったのめちゃくちゃ久しぶりじゃない?
麗奈:そうですね。〇〇さんがここに越して来てすぐに2人で喫茶店行ったの最後じゃないですかね?
玲:え?あれが最後?
麗奈:多分。また遊び行きましょうよ
玲:うん。じゃあ明日行こ?
麗奈:じゃあまた連絡しますね。
玲:うん。
結局、小田倉さんは玲の髪の毛が短くなった事を褒める事はなく自分の部屋に入る。
玲:うーん。前の長さの方が良かったのかなぁ
玲は頬に指を当てて、そう呟く。
玲は少しスマホをのぞいて、、、
玲:もう〇〇早く開けて
扉越しから手足をバタバタさせながらそう言った。
〇〇:おー可愛い。
あまりの可愛さにそう呟いてしまった。
玲:ん?今〇〇の声が聞こえたような?
玲は扉に耳を傾ける。
〇〇:やべ
僕は玲のその様子を見ながら口元を押さえ、息を殺した。
僕は何も悪い事をしていないし、家を訪れたのは警察ではない。彼女。俺が愛してる彼女。
彼女が来ただけなのに、極悪な犯罪者のような振る舞いをしている僕は浮気をしている訳ではないのに、浮気をしたんじゃないかという錯覚を起こしてしまった。
〇〇:でも、ここまで来たら玲を観察してみるか
僕は一度部屋に戻り、何もせずにUターンをして、再び扉の前に立ち、覗き穴を覗く。
玲:〇〇、居ないのかな?でも、部屋の電気点いてるしなぁ
玲は携帯を見ながらそう呟き、画面をずっとスクロールしていた。
ブーブーブーブー
僕のズボンのポッケに入っていた携帯電話の着信音が鳴る。
〇〇:やば
玲:あれ?〇〇の携帯の音聞こえる。
僕は急いで玲からの着信を切ろうとするが、、、
〇〇:やばい。ここで切ったら浮気疑われちゃう。
僕はポッケに入っていた携帯をリビングにあるベッドに向かって放る。
僕は放った後、再び覗き穴を覗くと、、、
玲:んー。気のせいかなぁ?
玲は頭を傾げながら、そう言う。
〇〇:玲って意外とこうゆう所天然なんだよなぁ
玲:〇〇、大丈夫かな。
玲は顔を曇らせながらそう言う。
玲:も、もしかして家の中で誰かに襲われてる?
〇〇:は?
玲:ど、どうしよ。〇〇、助けないと。
玲は更に表情を曇らせ、パニック状態になる。
玲:警察呼ばないと
玲は携帯を出す。
〇〇:え?警察?
玲:えーっと警察は何だっけ?110番だよね?
玲は110番をしようとする。
〇〇:え?待って。ほんとにやろうとしてるじゃん
僕は急いで扉を開く。
玲:うわぁびっくりした。
玲は携帯を投げ出す。
〇〇:玲、ごめん
玲:〇〇か。良かった。
〇〇:ご、ごめんね。
玲の表情を見て、僕は申し訳ない気持ちになった。
玲:〇〇、大丈夫?
〇〇:う、うん。大丈夫だよ
玲:〇〇。
玲は〇〇に抱きつく。
〇〇:ちょっと玲?どうしたの?一回家入ろ?
僕は迎えの家の子供と目が合ったので玲を家に入れようと促すが、
玲:〇〇。〇〇。
玲は僕の名前を連呼しながら動く気配がない
3分後
〇〇:玲、とりあえず入ろ?
玲:うん。
玲はようやく落ち着き、部屋の中に入ってくれる。
〇〇:玲、どうしちゃったの?何かあった?
玲:〇〇が殺されてるんじゃないかって
〇〇:え?何で?
玲:だ、だって家の中から〇〇の声聞こえるし、〇〇の電話の着信音も聞こえるのに
玲は再び出てきそうな涙を堪えながらそう言う。
〇〇:ほんとごめんね。寝ちゃってて
僕は玲に嘘をついてしまったので心の中で玲に謝った。だが、玲を揶揄っていた事は心の中に置き止めた。
玲:でも、良かった。
〇〇:ほんとにごめんね?
玲:ううん。大丈夫。それでさそれでさ、私の髪の毛どう?
〇〇:あ、あーめちゃくちゃ似合ってるよ?
玲:ほんと?
〇〇:うん。最初見た時、可愛すぎてびっくりしたもん
玲:え?ほんと?〇〇鈍感だから気づいて無いと思った
〇〇:いやぁさすがに気づくよ。小田倉さんも気付いてたし
玲:え?
〇〇:小田倉さんは俺のイメージだけど結構鈍感だよね?
玲:う、うん。
〇〇:あとさ、小田倉さんと遊び行くの俺も一緒に行きたい
玲:え?何で?
〇〇:い、いやあれだよ?別に小田倉さんが可愛いから一緒に行きたいとかじゃないよ?
玲:何で?
玲は不思議そうな顔でそう言う。
〇〇:ん?
玲:私と麗奈ちゃんが遊び行く事知ってるの?何で麗奈ちゃんに髪の毛褒められた事知ってるの?
〇〇:え?
玲:だって、〇〇寝てたんでしょ?
玲は薄目で僕を見つめ、更に追い込む。
玲:ねぇ何で?ねぇ何で知ってるの?寝てたんだよね?
〇〇:い、いや
玲は少しずつ僕に近づいてくる。
玲:〇〇?正直に話そっか。
〇〇:玲、近いよ。
10分後
〇〇:ほんとにごめんなさい。
僕は玲に全てを白状した
玲:はぁほんと最悪だね。
〇〇:だって、扉越しの玲可愛すぎるんだもん
玲:そうやって言っても許さないもんね。
玲は顔を少し赤らませながら、そう言った。
僕はこの後もずっと玲の容姿を褒めちぎった。
小田倉さんに髪型は褒められていない事を教えてあげようと思ったが、それはまた別の機会にする事にした。
玲:ねぇ他は他は?
〇〇:えーっと
玲:もう無いの?
子犬のような表情で玲は僕の言葉を待っている。
[終]
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