出会いが無い僕は休みの日に運命の人に出会う為家を飛び出しました。
ある一件の着信で僕は家を飛び出る事になった。
〇〇:もしもし。ひかるが急に電話するなんて珍しいな
ひかる:うん。いきなりごめんね。ちょっとご報告があるんです。
ひかるは電話越しでも分かるくらい嬉しそうな声で僕にそう言う。
僕の名前は山下〇〇。社会人2年目の24歳。電話で話してるのは中学の同級生の森田ひかる。
〇〇:どうしたの?なんか嬉しそうだな。
ひかる:彼氏が出来ました〜
〇〇:は?嘘やろ?
ひかる:ごめんね〜
〇〇:ひかるに負けるとは思わんかった
僕とひかるは親友みたいな感じ。男女の友情は成立しないみたいな言葉はあるけど、ひかるとは成立していると思う。まぁ一回だけえっちしちゃったけど。それはご愛嬌だ。
ひかる:じゃ今からデートやけ、そろそろ切るね
〇〇:は?その為だけにかけてきたのかよ
ひかる:うん。だって、早く言いたかったんだもん
〇〇:ほんと腹立つわ。まぁ楽しんでこいよ。
ひかる:うん。ありがとう。
〇〇:どうせ別れるんだし
ひかる:ほんとやな事言うね
〇〇:じゃあ楽しんでこいよ。
ひかる:うん。
そう言い、ひかるは電話を切る。
〇〇:とうとうひかるにも彼氏が出来ちゃったのか
僕は少し焦り始めていた。
僕は携帯を開いて、LINEの女友達、電話帳に登録されている女友達、インスタが繋がっている女友達を確認した。
〇〇:やべぇな。全然居ない。どうしよ。俺、このままだと結婚出来ないまんま人生終わっちゃうよ
僕は異常に剃り残しのある髭を剃って、いつもよりおしゃれをして家を飛び出した。
〇〇:なんか良い出会いがあれば良いなぁ。
何も考えずに家を飛び出して3時間後。
〇〇:何も考えずに外に出るもんじゃねぇな。
??:〇〇〜
後ろから僕の名前を呼ぶ女性の声が聞こえる。
〇〇:ん?
僕が後ろを振り向くと
ひかる:何してんの?
〇〇:あ、ひかるか
デート中のひかると遭遇した。僕はひかるの横に居た彼氏さんに軽く会釈した。
ひかる:〇〇が靴履いてるなんて珍しいね。ボウリングでも行くの?
ひかるはバカにしたような感じで僕にそう言う。
〇〇:バッティングセンターに行くんだよ。
僕は適当にひかるにそう言い、耳に付けていたイヤフォンを外す。
ひかる:あ、そう。じゃあね。
〇〇:うん。楽しんで
僕は再びひかるの彼氏に軽く会釈し、2人の後ろ姿を見届けた。
〇〇:はぁ。もう家帰るか
僕はゆっくり足を運んで家に向かった。
僕は家に帰ると、すぐにズボンをジャージに着替え、靴下を脱いでコンビニに向かった。
〇〇:なんかおしゃれしてたのがバカみたいだ。運命の出会いなんてそんな上手く行くわけないよな。
僕は気分転換でいつもとは少し違うコンビニに向かった。
??:〇〇。
後ろから女性の声が聞こえる。
〇〇:え?夏鈴?
夏鈴:あ、覚えてるんだ。
〇〇:当たり前でしょ。こんな所で何してんの?
夏鈴:何してんのって別に家に帰ってる所だけど
〇〇:夏鈴、家ここら辺だったんだ
夏鈴:うん。久しぶりだね。
〇〇:高校の同窓会ぶりじゃない?
夏鈴:いや、私同窓会行ってないから
〇〇:え?そうだっけ?
夏鈴:うん。適当な事言わないでよね。
〇〇:いや、絶対来てたと思うよ?
夏鈴:いや、行ってないって
〇〇:いや、絶対来てた。俺、夏鈴と喋った記憶あるもん
夏鈴:私が行ってないって言ってるんだよ?
〇〇:えーじゃあいつ振りだよ
夏鈴:え?高校の卒業式以来じゃないの?
〇〇:ほんとに言ってる?
夏鈴:ほんとだってば。
〇〇:なんか夏鈴、綺麗になったな
夏鈴:適当に喋ってるでしょ?
〇〇:いやいや、そんな事ないよ。
夏鈴:でもさ、〇〇変わってなさすぎない?
〇〇:え?そんなに変わってない?
夏鈴:うん。変わってないね。付き合ってた時と何も変わらない
〇〇:懐かしいな。
彼女の名前は藤吉夏鈴。高校の同級生で僕の元彼女。
夏鈴:ほんとにあの時、〇〇って私の事好きだったの?
〇〇:え?急にどうした?
夏鈴:いや、高校の時の私って別にクラスでも端っこの方に居たし、〇〇とは正反対な学校生活送ってたからさ
〇〇:いや、俺は1軍女子みたいなタイプの女あんま好きじゃないし
夏鈴:すっごく失礼な事言ってるよ?
〇〇:でも、夏鈴もそうじゃない?あんま一軍の人たち好きじゃなかったでしょ?
夏鈴:まぁそうだけど。それで好きだったの?
〇〇:いや、めちゃくちゃ好きだったよ?じゃないと告白なんかしないし
夏鈴:それなら良いけど
〇〇:急にどうしたのよ?
夏鈴:いや、ちょっと気になっただけ。
〇〇:逆に聞くけどさ夏鈴は、俺の事好きだったの?
夏鈴:好きだったと思うよ。
〇〇:何でそんな曖昧な感じなんだよ。
夏鈴:〇〇に謝りたい事があるの
〇〇:え?俺に?
夏鈴:うん。〇〇に告白された時さ、私ほんとは全然〇〇の事好きじゃなかったの。
〇〇:そうだったんだ
夏鈴:でも、あれだよ?別に嫌いとかでは無かったの。恋愛感情は持った事無かっただけ
〇〇:じゃあ何で付き合ってくれたの?
夏鈴:私、今までまともな恋愛した事無かったし、彼氏が出来た事無いってのがなんか嫌だったから仕方なく
〇〇:そうだったんだ。なんかめちゃくちゃショックだわ
夏鈴:ごめん。でもね、付き合ってからは〇〇の事すっごく好きになった。
〇〇:あーそれはどうも。
僕は少し夏鈴に苛つきながら話を聞くと、、
夏鈴:もう一個だけ謝りたい事があるの
〇〇:え?ちょっともう聞きたくないわ
夏鈴:ごめん。これだけ聞いてほしい
〇〇:うん。なに?
夏鈴:私が〇〇の事振った日の事覚えてる?
〇〇:そりゃ覚えてるよ。あんな怖い夏鈴見た事無かったもん
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高校2年生。
僕と夏鈴が付き合って1年の記念日の日
【放課後】
夏鈴:もう付き合って一年経ったんだね。早いよね
〇〇:ほんと早いよな。あっという間だった。
夏鈴:今日どうする?2人でご飯でも食べに行く?
〇〇:あーごめん。今日、用事があって無理なんだよね。
夏鈴:え?嘘でしょ?今日記念日なんだよ
〇〇:別に夏鈴、記念日とか気にしないタイプかなって思って用事作っちゃった
夏鈴:え?もうまじで言ってる?
〇〇:うん。ごめんね。
夏鈴:せめて一緒に帰らない?
〇〇:ごめん。それも無理なんだ
夏鈴:ねぇ浮気してるの?
〇〇:え?してないよ
夏鈴:じゃあ何で?こんな記念日に用事があるのよ
〇〇:それは仕方ないじゃん。
夏鈴:もういい。帰る
そう言い、夏鈴は教室を飛び出し屋上に向かった。
夏鈴:はぁ。もうダメなのかな。
夏鈴は屋上から見える野球場を眺めながらそう呟いた。
1時間後
ずっと屋上に居た私は気持ちが少し落ち着き、帰ろうと思い立ち上がると、屋上から〇〇の姿が見えた。
夏鈴:やっぱりじゃん。
〇〇は一つ下の女の子の肩を持ちながら一緒に帰っていた。
次の日
私は〇〇に激怒し、別れる事になった。
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〇〇:それが理由だったんだ
夏鈴:うん。それ見ちゃったから別れるって言った
〇〇:それで謝りたい事ってどうゆう事?
夏鈴:妹の瞳月ちゃんの親友の優ちゃんを助けてたんでしょ?虐められてたから
〇〇:もうそんな前の話覚えてないよ。
夏鈴:何であの時言ってくれなかったの?
夏鈴は強く〇〇にそう言う。
〇〇:いや、だって夏鈴が振った理由知らなかったし
夏鈴:ほんとにごめん。
夏鈴は深く頭を下げる
〇〇:ちょっとやめろって。俺が夏鈴に嘘ついたから悪いんだよ。
夏鈴:ううん。私が悪いの。じゃあまたね。
〇〇:え?
夏鈴:私は〇〇にその事を言えたから良かった。これからも頑張ってね
夏鈴はそう言い、僕の元を離れ帰ろうとする。
〇〇:夏鈴、ちょっと待ってよ。
夏鈴:ん?なに?
〇〇:もう一回やり直そうよ。
夏鈴:え?やり直すって。
〇〇:まだ夏鈴の事好きなんだ。
夏鈴:〇〇はほんとに高校の頃から変わってないね?サンダルにジャージってのもほんとあの頃と一緒
〇〇:夏鈴とデートする時もこの格好だったもんな
夏鈴:うん。ほんとに恥ずかしかった。
〇〇:ごめんな。でも、これからも恥ずかしい思いさせちゃうかもだな
夏鈴:ごめんね。
〇〇:え?
夏鈴:私、もう結婚を前提に付き合ってる彼氏が居るの
〇〇:え?そ、そうだったんだ
夏鈴:うん。だから、ごめんね
〇〇:おめでとう。
夏鈴:え?
〇〇:結婚式くらいは呼べよ?めちゃくちゃ盛り上げてやるから
夏鈴:あ、ありがとう
〇〇はそう言い、ゆっくりと私の元から離れていった。
私は遠ざかる〇〇の背中をただ眺めるしか無かった。
〇〇:よし、明日も運命の人を探す旅に出かけるか
僕はあくびをする振りをして目に溜まった涙を拭き取った。
[終]
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