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フォノアンプ+2BAND EQのシンプルなプリアンプを作る
この記事の対象読者
電子工作、オーディオ、レコード、まんちのいずれかに興味がある人。
PhonoAmp、BaxandallEQについて回路実例を調べたい人。
プリント基板のオーダーに興味がある人。
※この記事は一部JCLPCB様の協力を得てお届けしています※
きっかけ
最近レコードにハマってるんですが、そこそこ良い中国製のものがAmazonで買えてしまう今日このごろ。(ターンテーブルだけはある程度ちゃんとしたメーカーのを買おう!まんちはI○Nのターンテーブル買って開けて1分で返品連絡したぞ)
自分は機材自体が好きなので味気なさを感じ、だったら自分で作ればええんやな~ということで今回の記事に至ります。自分で作った機材は愛着も湧いて音が3割良く聞こえる。
導入
一応この手の記事を書くのは初めてなので、レコードの仕様について簡単に説明します。レコードの音はRIAAという規格に沿った周波数特性を持たせて記録されています。これは低音を削って、高音を大きくするような特性があります。また信号のパワーも非常に弱いです。
なので再生するときは増幅しつつその逆の特性の周波数補正をする必要があります。
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そのための機械がフォノアンプです。
最近の低価格帯レコードプレーヤーではLINE出力に対応しているものも多いですがそれは本体にこのフォノアンプが内蔵されています。
古いプレーヤーや本格的なターンテーブルなんかはフォノアンプが内蔵されていないものが多いのでフォノアンプを別で用意したり、フォノアンプ内蔵のDJミキサーなんかを使うわけですね。
自分は昔父が使っていた古いPioneerのプレーヤーを使ってるんですがそれは当然フォノアンプは内蔵されていません。
そのため普段はDJ用のミキサーを通して再生してるんですが、結構邪魔なんですよね。家でDJする機会も稀なのでこの機会に再生専用のシステムを作ろうと思います。
製品仕様
導入が長くなりましたが大まかな製品の仕様を決めていきます。
メインとなるフォノアンプはせっかく作るのにオペアンプで簡単に済ませてしまうのは味気ないので、ディスクリートで組むことにしました。
実際はオペアンプ式のほうがMM,MC切り替えも簡単にできて便利だとは思います。まんちはMCカートリッジとかいう高級品は持っていません。
(MCカートリッジだけで5万~10万くらいするよ)
また、個人的に今後DJミキサーを作っていきたいので、Bass,TrebleのシンプルなBaxandall風のEQ回路も付けます。EQセクションは無理せずオペアンプで設計していきます。
ただ、EQをパスしてディスクリートフォノアンプのみのサウンドも楽しめるようにスイッチを付けます。
電源は市販のDC24Vアダプターを使用。±12V弱での駆動です。
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基板作成
仕様が決まったので基板を作成していきます。
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PhonoAmpのトランジスタ作動増幅部分はぺるけさんの回路を参考にしています。著書もWEBサイトも非常に助かります。
なのでその部分は細かい回路省略しています。直接記事読んだほうが良い。
Baxandallの部分についてなかなか良い資料がなくて苦戦しましたが、実際にはこんな感じにしました。(後述しますが要修正)
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KiCADで回路図、レイアウト、ガーバーデータを作成してJLCPCBに発注。
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今回は基板$10.8+送料$13.46でした。配送業者も選べますが個人的にはDHLかFedexがオススメです。(早いので)
JLCPCBについて
自分は趣味以外にも仕事で10年以上プリント基板製造業者を使ってきていますが、数年前からJLCPCB一択になっています。
というのも中国、韓国のPCB業者が気軽に使えるようになっていくつか試したのですが、基板の質、納期、価格、豊富な基板色、注文の簡単さなどどれをとってもダントツで使いやすかったです。またサポート対応もかなり良く、チャットの対応が早いです。
また、ガーバーデータをアップロードするとそれを元に基板仕上がりイメージのモデルも見ることができ、入稿間違いなども避けられるのが嬉しいです。
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本記事内のリンクから飛ぶと割引クーポンも取得できるようなのでぜひ!
広告抜きにオススメなのでぜひ使ってみてください!
(最近Assemblyのやり方も覚えたので近々記事にしようと思います)
製作
今回は7月15日の夕方に基板を注文して、21日に届きました。だいたい5枚程度で特殊な仕様でなければ1週間程度で届きます。
というわけで届いたものを組んでいきます。
パーツは秋月とマルツで手配。
モノは揃っているのであとはポチポチ実装していきます。トランジスタは最近TO-92パッケージのものが減ってきているのでSMDパーツを使っています。
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基板完成後配線を考えつつ筐体を加工して完成!(最初電解コンデンサの向きを2箇所間違っていて電源部分の抵抗が焼けました。みんなも気をつけよう)
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まずはフォノアンプのサウンドですが、かなり良く感じます。というのも元々ミキサーを使っていたわけで、それにもEQやフェーダーなどの付随回路がたくさんあり、ミキサーを通したサウンドよりコシと輪郭がはっきりしたサウンドに感じました。(あとフォノアンプセクションにはVolを付けていないので単純に音が大きい)
次にEQをON。
こちらはちょっとEQのセンターがズレていますね。今度調整しようと思いますが、Trebreを2時くらいにするとほぼフラットに聞こえます。
手持ちのPOTを使ったのでAカーブにしていますがBカーブにすれば改善されそうな気もします。
Gainに関しても2~3時位でユニティなのでBカーブにすれば良さそう。
DJなどで使うアイソレーターとは異なる、音楽として楽しめるような自然な効き方のEQです。好み。
連続電源投入もしましたが特に発熱も見られず好調です。
なかなか良いものができた気がする。何より軽量かつコンパクト。
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欲しい人いたら基板の頒布などするかもしれません。
次は何を作りましょうかね~。最近はモジュラーシンセに興味があります。