幸せを隠さないでくれよ
この1ヶ月、たくさんの人に会うことができた。ほとんどの人がオメデトウ!と言ったあと、二言目には「大変でしょう?」と言う。
子どもができるまで、私も子育て中の人にそう言っていた気がする。だって育児といえば、寝不足になるし、赤ちゃんは泣くし、産後の身体は辛いとかなんとか、とにかく育児は大変!というイメージだったから。
そうすると大抵、言われた相手は「そうなの、全然寝てくれなくて…」と困った顔をする。やっぱり大変なんだなあ、というのが以前の私だった。
ところが実際に自分が言われる側になってみると、ちょっと思っていたのと違った。寝不足になる、赤ちゃんは泣く、産後の身体は確かに辛い。でも「大変でしょう?」と言われると、本当に、確かに大変なんだけど、それが育児の感想第一位かと言われるとちょっと違和感があった。それだけじゃないんだよな…という感じ。
まあ大変は大変なので「そうなんです、夜もなかなか眠れないし…」という、どこかで習ったようなつまらない返しをしてしまう。きっとどこかで習ったような困り顔をしていたと思う。
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先日、ライターであり、子育ての先輩でもある人に会いに行った。挨拶をしたら開口一番に「お!楽しんでる?」と聞かれた。
すごく新鮮で、しっくり来る感覚。120%の気持ちで「はい!楽しんでます!」と答えられた。自分が満面の笑みだったのがわかる。
そうか。「大変でしょう?」と言われたときにひっかかったこと。それは「大変…だけど楽しい!」「大変…でも可愛い!」といった育児のポジティブな側面が出しにくかったことだと思う。
それはたぶん、自虐や身内を下げて言う習慣が原因。幸せだったり嬉しいことを「私、幸せなの!」と人に言うことがためらわれるのは、私が日本人だからだろうか。
「結婚は幸せだよ!だけど、一緒に住んでいると喧嘩ばっかり」とか
「子どもができて幸せ!だけど、自分の時間はもうないなあ」とか
私も気がつくとやっている「幸せ、でもいいことばかりじゃないね」。今まで考えたこともなかったけど、これって幸せ自慢のように思われたくない、そういう気持ちから来ている発言なのかしら。
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それから、私は「大変でしょう?」への返答を変えた。
「大変だけど、それ以上に楽しいよ!」とか「娘がめちゃくちゃ可愛いのでがんばれます!」と言い始めた。実際、そのほうが自分の気持ちに近かった。
そうすると、自然に相手の反応も「そうだよね、可愛いもんね」と笑顔で返ってくる。なんだかいいかんじ。
私のまわりには、これから結婚・妊娠・出産・育児を控えている友人がたくさんいる。そういう人たちに「やっぱり大変?」と聞かれたとき、「楽しいよ!」と言えるだけで、お互いの気持ちのなんと晴れやかなことか。
大変は大変。でもそれ以上に幸せ。
それを隠したり、蔑んだりする必要はどこにもない。今日もデッカイ声で、笑顔で言おう。
「育児、人生、楽しいよー!」
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