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『ウィンターバケーションEP 2021』

『二〇一八年のサマーバケーションEP』vol.1

『二〇一八年のサマーバケーションEP』vol.2

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神田川沿いは正月からしっかり走っているランナーと犬の散歩の人たち、初日の出を撮影しようとしている人たちがいて、よくも悪くも毎年ほとんど変化がない。毎年同じ場所にあるコンビニのおかげで場所の位置がなんとなくわかるんだけど、コンビニに関しては増えることはあっても減ってはいない。

元旦の暗いうちから歩き出して、太陽が昇っていくとそのまぶしさと光のあたたかさを知れてホッとする。いつも同じことを思うけど、太陽の光を感じて浴びながら歩くことで邪気を払っているようにも感じる。

神田川が最後の最後、隅田川と合流する地点の「柳橋」が塗装工事をしていて橋の部分が銀色のような灰色に塗られていた。去年までは緑色だったので、一度その色で補強してさらに緑を塗るのかもしれない。シルバーっぽいとなんか宇宙というか未来感があって、名前と合ってなかった。

隅田川はいつもと比べると人がかなりいた。
ランナーと散歩の人はいつもいるけど、家族連れみたいな感じの人たちが例年に比べるとかなり多くいた。地元とかに帰省しない人たち、どこか遠くに行くに行けないので近所で初詣してソーシャルディスタンスも取れる隅田川テラスに来ているのかもしれない。
コロナの影響はほんとうにいろんなところに波及している。
もんじゃストリートと呼ばれる商店街も今年は並んでいる人はいなかった。

去年は立ち入り禁止が多くて遠回りさせられた「選手村」予定のマンション群は、通行禁止の場所も多かったけど、去年よりは歩けるところが多くなっていた。ただ、誰も住んでいないマンション群が太陽の光を照らしているだけで、生活臭というものが皆無だから、やっぱりゴーストタウン感がすごい。五輪中止になったら、購入していた人たちはすぐに移り住めるのかどうか。ただただキレイな高層マンションが人に住まわれることもなく、一年以上ほったらかしにされているのはもったいないとしか言えない。

そして、最後の晴海埠頭。去年だと晴海埠頭公園は改修中で入れなかったが、なんと今年は晴海埠頭ターミナル自体がコロナのために1月12日まで封鎖されて立ち入り禁止になっていて、僕は施設の中にすら入ることができなかった。
公園も去年同様で晴海埠頭の海のほうに行ける場所がなく、施設の二階や三階という高さからも東京湾やお台場を見ることができなかった。これはどうしようもないので諦めるしかなかった。

古川日出男著『サマーバケーションEP』の舞台を辿って歩いているのがこの『ウインターバケーションEP』なんだけど、今回はこの先には行けない、閉じ込められている感じがすごくした。そして、現在は飛行機も船もダメになっているから村上春樹著『中国行きのスロウ・ボート』のオマージュ『二〇〇二年のスロウボート』的な要素もコロナによって加わったみたいだった。
こんなふうにどこにも行けないのであれば、人はやはり想像や創作の中で場所も時間も歴史も含めて、ここではないどこかに行きたくなっていくのかもしれない。
いつか気が向いた時に月島にふらっともんじゃ焼きを食べに来たときに晴海埠頭に行ってみようかな。というわけで「ウインターバケーションEP2021」完了。

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