グラフィックデザインを教えるって具体的に何をしているのか。
自分が講師をしている「デザイン業界に就職・転職するための学校。」のグラフィッククラスで、DM制作の授業が終わりました!
自分の好きなもの(お店・イベント架空でも実在でも)の告知をするDMを作る課題。それぞれが自分の持ち味を生かしたDMを制作していただきました。このクラスでは、具体的なツールの使い方(Illustrator/Photoshop)とデザイン理論について「教えて」います。
「つくるのが楽しくて、家でどんどんやっちゃうんです。」という生徒さん。茨木のり子さんという詩人の朗読会を企画、その招待状をデザインしました。彼女にはアドバイスした修正点を反映し、1回目のデザインと比較してプレゼンしてもらいました。
情報の重要性の順番を考え、制作物に反映する!
魅力的なデザインがさらに活きて見えるよう、デザインの4原則である「整列」と、情報の重要度に合わせて文字の大きさにメリハリをつける「ジャンプ率」をお伝えして、Afterの作品にブラッシュアップしました。
パワーが有り余って、宛名を書くスペースもなくなるくらい情報で埋め尽くしていたので、優先度の低い情報は削除してもらいました。
ねらいにあわせた魅力的なデザインにこだわる!
とても目を引く良いデザインだったので、お伝えしたのはたった一つ。
「なんですげーカッコいいのに、一番大事なロゴの加工がクソダサなの…!!!!」と。
フィルターでのベベル&エンボス的な加工は、数値調整を間違えると一気に古臭くなってしまうので注意!です。
フィルターで光の方向性を確かめたら、実際に自分で光の形を描いた方がいいよ。とお伝えしたら、かっこいいロゴに生まれ変わりました。
古臭いことは、一概に悪いことではないです。が、狙ってやることと「なんか、そうなってしまった…。」ということでは、スキルとして大きく違います。
スキューモフィズムの時代から、フラットデザインへの移り変わりにより、光の表現の流行も変わっているんだよーという話などもしました。
デザインと同じくらい言葉で表現する!
私のクラスでは自由にプレゼンしてもらい、最後に人気投票をしたりします。2回目の講評会ということもあり、それぞれ工夫したプレゼンを見ることができました。
WEBデザイナーの生徒さんは、ご自身の好きなバンドのライブ告知DMを制作。さらには本業のスキルを生かしてAdobeXDでティザーサイトを制作。
DMのURLを読み込むとサイトが表示され、バンドの映像が流れるところまでプレゼンしました。
原宿にオープンするたい焼き屋さんのオープン告知DMを制作した生徒さん。「テーマソングがあるんです!」と、音楽を流しながらプレゼンしてくれました。
原宿の賑やかなイメージを感じさせる工夫をしてくれました。
体に優しいドーナツ屋さんのオープン告知DMを作った生徒さん。DMをくわえた写真をTwitterやFacebookにアップし、店員さんにそれを見せるとドーナツプレゼント!という企画を考えDMに反映しました。実際にドーナツも持ってきてのプレゼンはとても人気でした。
デザインが綺麗なことと、人の心を掴むことは別です。
だから人気投票をしたり、出来上がったものを他の人にも見てもらうことをオススメしています。
「デザイナーでない人にどう伝えたら魅力的か。どう言葉にするとわかりやすいか。どうしたら通るか。」というところにひたすら悩んだ経験を活かして講師業をしたい!と思っています。
ひとつひとつに意味があるレイアウトにこだわり、自分の狙いを言語化して伝えることの大切さを伝えたい。あとは単純に楽しいから。
それでは最後に、デザインを学ぶうえでオススメの本を。
とにかく基礎はこれでしかない!
デザイナーさん以外もわかりやすく、伝わりやすい資料作成にオススメです。この1冊だけ知っていればまずはいいかと。
講師業をする中でデザインのことを考えた記事はこちら。↓
【デザイン理論】見た目の綺麗なデザインをデザイナーしか作れない時代はとうに終わっている理論。
http://www.manaty.tokyo/entry/2017/02/25/013937
デザインの「かわいい」という表現はおじさんには通じないという理論。
http://www.manaty.tokyo/entry/2016/09/24/021922
【デザイン理論】良いデザインをつくるためには「リアリティを置き去りにしない」こと。
将来は、小さな連載を数本抱えているおばあちゃんになりたいです。