小説製作秘話&裏話『紅白薔薇に口付けを』#2
お久しぶりです。藤波真夏です。
仕事に忙殺させられ、従って体調不良もありなかなかnoteの更新ができず申し訳ありませんでした。
かなり時間が経過してしまいましたが、今回は前回の続きを書いていこうと思います。
*今回も本編の内容に踏み込んだ話をしますので、重大なネタバレが含まれますので、あらかじめご了承ください。
小説リンク掲載しますので、そちらから読んでみてください。
https://ncode.syosetu.com/n5809dw/
少し不思議な冒頭シーン
さて、この物語の主人公は、紅原旭(あかはらあさひ)という青年です。
時代背景は大正時代です。
物語の冒頭シーンは、帝国ホテルで行われている最年少文学賞の授賞式です。
新進気鋭の新人小説家が喉から手が出るほど欲しい、名誉ある文学賞です。そんな名誉ある文学賞を受賞した人物こそ、主人公の紅原旭です。
新聞記者に囲まれ、インタビューを受ける旭。
取材もほどほどに、シャンパンの酔い覚ましをするためにホテルのバルコニーへ向かいます。
そこで真っ赤な薔薇と真っ白な薔薇が飾られているのを発見します。
彼はこんな行動をとります。
主人公が涙を流しています。
しかもここで彼が口にした「紅薔薇」という言葉。これが、この物語のタイトルでもあり重要なキーワードになっていきます。
この帝国ホテルが登場する第一幕はここで終了し、第二幕へと進んでいくと、時間が遡っています。
冒頭で主人公の旭が文学賞を受賞したのが、二十歳の時ですが、第二幕では旭はまだ学生服に袖を通していた学生になっています。
少し混乱する方もいるかもしれませんが、先に言うと、『紅白薔薇に口付けを』という小説は、紅原旭の過去の出来事を題材にしたものになります。
少し不思議な冒頭シーンではありますが、彼がどんな経験をして文学賞の栄光を手にした小説家になったのかをたどるお話になっていきます。
もう一人の主人公
さて学生の頃の旭は一体どんな人物だったのか?
箇条書きにしてまとめるとこのようになります。
国語や英語は成績優秀、だけど数学は苦手の文系男子
読書家(部屋に本が平積み状態)
実家はあまり裕福ではない
歩きながら読書して美しい世界に酔いしれる
元々読書が大好きな文系学生。それが旭という人物です。
正直主人公にしてはパッとしない…、そう思っている方は多いかもしれません。大正解です。パッとしない、ごく普通の人なんです。
そんな旭に運命の出会いが訪れます。
本好きが講じて、旭は国一番の蔵書率を誇る国立図書館へ向かい、大好きな本を読みあさります。大好きな本に囲まれて周りが見えず、その際、接触事故を起こしてしまいます。
ぶつかった女学生は旭の心配をよそに行ってしまいます。その際、旭はステンドグラスのような綺麗な栞を拾います。
旭はその栞を返すために男子禁制の女学校へ向かいます。しかし、旭が見たのは息を飲むほどの惨状でした。
昨日ぶつかった女学生が壮絶な嫌がらせ、いじめを受けているところでした。旭はその女学生を助け、名前を聞きます。
その女学生は白河紅葉(しらかわもみじ)といい、この物語のもう一人の主人公なのです。
そんな紅葉は旭に意味深な言葉を告げます。
紅葉と旭の短い会話ですが、この意味深な言葉の意味はなんなのか?
旭は言葉の意味もわからず、帰路につくことになります。
羨望の紅薔薇、侮辱の白薔薇
さてここで物語は動き出します。
旭が学校へ行くと、旭が紅薔薇に選ばれたと大騒ぎでした。そして逆に紅葉は白薔薇に選ばれてしまいます。
ここで紅薔薇と白薔薇という物語の重要なキーワードが登場します。
#1で、この小説を思いついたキッカケとして、相棒との喧嘩を綴らせていただきました。
紅薔薇を羨望の的にしたのは、私が学生時代に経験したコンプレックスである相棒の影響です。
赤いジャージを着ていた相棒、白い服を着ていた私。
赤は完全に期待と羨望と期待感に満ち、逆に白は期待もなく、自信なさげ…。
しかも紅薔薇は自分が羨望の的である自覚がない。私はそれを学生時代に相棒に重ね合わせて、己の白薔薇(侮辱)と戦いながら執筆をしていました。
紅薔薇に選ばれてしまった旭も「どうして?!」「なんで僕が?!」と終始驚き、戸惑い、自分が紅薔薇に選ばれた理由が分からずにいました。彼もまた、無自覚なのです。
そのことに嫌気が差し、侮辱の白薔薇のレッテルを貼られた紅葉は、旭に対して怒りを吐いて、目の前からいなくなります。
本編を読んでみれば分かりますが、紅葉は白薔薇に選ばれたおかげで、白薔薇というレッテルを貼られて苦しみます。
そんな紅葉は旭を拒絶する言葉を大量に言いますが、社会人になった今見てみれば当時私が相棒に抱いていたコンプレックスに対する精一杯の叫びのように感じます。
中盤になると旭も紅葉も大人になりますが、中盤になってようやく二人はお互いのことを理解し、邂逅することになります。
中盤になるまで、二人は一切歩み寄ろうとしませんでした。
学生時代の私もそうでした。
もしかしたら、当時の私と相棒もこんな感じだったのかもしれません。
ただ、あれから時は流れてしまい、今では風化してほとんど覚えていないことが多いです。当時の私が何を思ったのか…私でも分からないんです。
ここから先は、読んでいる皆様の想像にお任せするとしましょう。
おわりに
少し脱線気味になりましたが、ここで#2は終わりにしたいと思います。
次回の#3で『紅白薔薇に口付けを」のコラムを終わりにしたいと思います。また、次回の更新をお楽しみにお待ちください。
☆Manatsu Fujinami☆
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