小説製作秘話&裏話『紅白薔薇に口付けを』#3

 藤波真夏です。
 さて、今回も前回同様、『紅白薔薇に口付けを』小説制作秘話&裏話を綴っていこうと思います。
 今回も本編の内容にかなり触れますので、ネタバレを含みます。予めご了承ください。

 小説リンクを掲載しますので、先に読んでもらえるとこのノートの内容がわかるかと思います。

https://ncode.syosetu.com/n5809dw/


紅薔薇の新人小説家

 さて、紅薔薇に選ばれ羨望の的に意図せずなってしまった旭ですが、文学好きが高じて、小説家を目指すようになります。
 大学生の時に、大小説家の大木夏目に才能を認められ、大学卒業後は小説家を目指して大木の弟子となります。

 有名な小説家の弟子となり、全てが順風満帆の生活と思われていますが、学生時代につけられた紅薔薇のレッテルの恐ろしさを今になって思い知らされることになります。

 元々大木は旭の才能を見出した為に弟子入りのスカウトをしました。
 しかし、旭はこう思ったのです。

 もしかしたら大木先生は自分が紅薔薇であることを知っていて、それで弟子入りを勧めたのではないか?

 これだけではありません。上記の考えが勘違いであることが分かった後も、紅薔薇の恐ろしさは止まりませんでした。
 ただ道を歩いているだけでも、すれ違った人全員が旭に気づいて挨拶をする。まるで自分の中にいる紅薔薇という獣が暴れて、存在感をさらけ出しているかのようでした。

 紅薔薇は、白薔薇とは真反対の印象を持つものです。
 しかし、羨望も行き過ぎれば白薔薇と同等の苦しみを味わうことになる。それを旭は大人になってようやく自覚し始めたのです。
 過剰な期待に押しつぶされそうになって自分を見失う。
 
それが、紅薔薇の恐ろしさなのです。

 そして白薔薇のレッテルに苦しむ紅葉も登場し、二人は大人になって傷を舐め合うように関わりを強めていきます。

 もっと書いて行きたいのですが、#2でも書きましたが、これは旭が経験した過去の経験を遡っていると書きました。この物語の結末こそ、旭と紅葉の今後のことを書いていますが…、ここではあえてお預けにしておこうと思います笑
 実はこの物語の結末は…かなり尾を引くラストになっています。
 是非最後まで読んでみてください。


そして、物語は現在へ…。

 物語の結末を迎えた最終幕では、冒頭の授賞式会場へ場面が戻ります。
 何がとは言いませんが、旭はここで涙を流しています。なんで涙を流すのか? それは、物語の結末を読んでみれば理由が分かるかと思います。

 旭が最年少文学賞を受賞した作品は、史上初の紅薔薇と白薔薇を題材にした作品で、今まで帝都の闇に埋もれていたことを紅薔薇の当人である旭が、生々しく描いたものです。
 その小説のタイトルが、

 紅白薔薇に口付けを

 なのです。

 もうお分かりですね。旭が書いた作品を読んでいたという設定で小説は進んでいきます。
 旭はこの文学賞を足がかりとして様々な作品を発表して、大木と並ぶ文豪として歴史に名を残していきます。あえて自分が紅薔薇と公表して生き抜いたのですが、紅白薔薇に口付けをの後で、彼はどんな人生を歩んだのでしょうか?
 それは、読者の皆様のご想像にお任せしたいと思います。


登場人物にはモデルがいた?

 さて、ここからはこの物語に登場する人物達に触れていきます。
 登場人物達の中には、実は…

 実在した日本を代表する文豪の名前をモデルにしています。

 主人公の紅原旭とヒロインの白河紅葉は完全に私の創作ですが、二人を取り巻く登場人物達は日本を代表する文豪の名前から命名しています。

 まずは、旭の大学の先輩で良き理解者である、高野泉(たかのいずみ)。
 彼のモデルとなった文豪は、泉鏡花です。
 泉鏡花は、明治から昭和を生きた小説家で幻想的な小説を数多く残しました。高野泉の泉は、もちろん泉鏡花の泉から。では、高野はどこから来たのか?
 実は泉鏡花の残した名作に「高野聖(こうやひじり)」という作品があります。その高野から拝借して命名しました。

 次は、そんな高野泉の妻で芸者である、高野すず。
 彼女のモデルになったのは文豪ではなく…、先述した泉鏡花の奥さんの名前から命名しました。高野夫婦は同じ泉鏡花から命名したんです。

 そして旭の小説家の師匠である大木夏目(おおきなつめ)。
 彼のモデルになった文豪は、夏目漱石です。
 夏目漱石といえば、「我輩は猫である」「草枕」「三四郎」「それから」など多くの小説を残した文豪です。夏目は夏目漱石から命名しました。

 他にも文豪の名前をモデルにした登場人物達がいますが、誰をモデルにしたのか考えてみてください。


終わりに

 いかがでしたでしょうか?
 藤波真夏初めての大正時代を描いた作品。そして、少し切ない終わり方をする作品です。
 元々は喧嘩が元で生まれた作品です。それを思うと喧嘩がどうつながっていったのか今思うと不思議です。
 では、今回はこの辺で失礼いたします。
 次回の更新をお楽しみにお待ちください。

 ☆Manatsu Fujinami☆


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