難民と高等教育
今日の学び
国際社会の難民の高等教育への認識
近年、難民に対して教育のサイクルをきちんと提供すべきという世論が広がっている。
今までは、人道支援(衣医食住)中心→難民の長期滞在による基本的教育の支援→高等教育(大学含む)へと繋ぐパイプが必要なのでは?と変化してきた。
国際人権宣言26条では、
「すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。」
と規定されており、
子どもの権利条約28条では、
「締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、・・・c. すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする」
と規定されている。
これらを踏まえて、SDGs第4分野ではlifelong learningの機会を難民を含む全ての人に開かれるようにと記載してあり、UNHCR refugee education 2030では、2030年までに大学適性を持つ難民の子どもを15%まで引き上げようという目標を掲げた。
難民の高等教育の現状
()の中に書かれているのは、難民ではない子どもの初等・中等・高等教育へのアクセス状況。難民と非難民で教育を受けている割合に差があるのが明確。
2019年以前は、難民の高等教育へのアクセスが1%だったことから比較すると、成長は見られるが、それでも圧倒的に少ない。
ちなみに、OEDC加盟国の25〜34歳までに聞いたところ、45%は高等教育を出ている。強制移住した生徒の母国は、比較的高等教育へのアクセスが良かった国が多い。例えばシリアでも、都市部で26%、地方で16%が高等教育にアクセスしていた。
高等教育へのアクセスの難しさ
〜富裕国において(イギリスを例に)〜
イギリスにおいて、UNを通じて移住してきた難民に関しては、入国してからすぐに教育や福祉などが手厚く受けられる。
しかし、年間10万人ほど非正規で入国してくる難民(こっちが多数派)は、多くの課題がある。
ここでも、詳しく記載しているんだけど。
難民からして困るのは、教育システムの課題と言語。
国や社会が、難民生徒の受け入れに否定的なのは、難民が高学歴になることによる雇用の問題(自国民が仕事に就けなくなるのでは?という恐怖心)。学校(及び教員)の評価の低下につながるという懸念。
教育でも仕事でも言えることだけど、たとえ母国で卒業証明(職業証明:教員免許・医師資格)があったとして、受け入れ国のレベルに達していない、そもそも資格が無効とされると、知識や経験があっても一からになる。(そして、トレーニング費用などがかかるため、結局母国と同じ地位に立てないようにされている)
〜難民キャンプにおいて(ケニアのDadaab campとタイのKaren campを例に)〜
国や社会が、難民の高等教育を提供しないのは、難民が高学歴になる→国家を動かす立場、ひいては国が乗っ取られるのでは?という恐怖心。あとは、難民以外にも貧困を理由に高等教育へのアクセスがないのに、難民にだけ特権を与えることはできないという考え。
それを受けて、York大学とEdinburgh大学は大学の講義をオンラインで、難民も非難民も受けられるようにDadaab campで行った。
より質の高い教育を受けることはできたが、授業内容に関して、ローカルの視点の欠落、ネット環境の問題、卒業資格をどうするのかという課題は残った。
➡︎どちらにしても言えることは。
・大学レベルの適性能力に引き上げる難しさ
・言語の壁。大学となれば、専門用語も多いので。
・経済的課題
・卒業証明、知識レベルの問題。
・情報の不足
・家族のサポート(チャイルドケアラーなどの問題)
・奨学金がもらえる人数の少なさ。
・女の子に関して言えば、そもそも教育を必要とされない、セキュリティの問題
ーーーーーーーー
自分の中での不明点
・
ーーーーーーーー
個人的見解
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)とかバカロレアみたいに、全ての資格・学歴とかを世界共通にしてしまえば、移動に伴う学歴移行がもっとスムーズになるのではないかと思う。
もちろん言語的課題は残るから、学歴証明だけの話ではないんだと思うけど。
次回の紛争の授業では、高学歴者に対する攻撃について勉強する予定で。今は難民にも教育を!学歴を上げられるようにサポートして!って思っているけど、高学歴になることによって被害を受ける可能性が高まるなら、矛盾につながるから、その視点からの勉強も楽しみ。