民営化と教育摩擦

今日の学び

公益としての教育と、民営化していく流れ
「公立」の定義:税金の収集によって国が作ったもの。

歴史的に見たら、公的機関が教育を与えているケースは少ない(ムスリム地域でzakatを集めて教育したぐらい)。
私的に教育を受けることが多く、例えば、昔のイギリスでは富裕層だったらお抱えの教師を雇うことができるが、それ以外は「私立」に通う。ただ、「私立」と言っても教会が資金を支払って、無料で運営していたので、公立よりも人数は多く、もはやその境がなかった。

民営化になっていく流れとして外的要因と内的要因がある。
外的要因
・私的利用をしたいため(自己権力に従った教育をしたいなど)
・ドナーが現れたため
・国際的方針に従うため(SDGsなど)
内的要因
・宗教的影響:キリスト教について学ばせたい
・人種のセキュリティ:白人だけの学校で教えたい
・階級:下級と同じ教育を受けたくない
・Crisisが起きた時

教育の民営化とは?
Charter School:
公私連携。公立が私立にお金を支払って運営している学校。

Bridge Academy:
白人カップルによって開発された民営化した学校で、ウガンダ・ケニア・ナイジェリア・リベリアで500校以上展開。資金不足であるため、高校を卒業したばかりの子たちを6週間教員トレーニングをさせて、低賃金で働かせる。教員には一人一台タブレットを渡されて、それに書かれている内容をただ音読するだけ。同じ授業が誰でもできるシステム。

批判
・カリキュラムを第三者機関に任せている状態であり、白人によって知識が支配されている。
Bridge Academyが政府から資金も得ており、公立校を廃校にしてBridge Academyが増加している。→教育のファーストフード化(安く教育を受けられるシステム)。

ハリケーン・カトリーナと教育の民営化
アメリカ政府としては、ニューオリンズの学力の低さを懸念して、民営化したいと考えていた。学力が低かったのは、教育費の不十分さ、貧困家庭が28%、奴隷制度の影響。

フェーズ1 2002〜2004 (災害前)
地域住民による民営化反対。

フェーズ2 2005〜2006 (災害直後)
建物崩壊、緊急支援が必要。
教員も避難していたために、すぐに導入できる私立校(Charter School)を建設。
(公立校:2004年112校→2009年4校に減少、Charter  School:2004年2校→2009年12校に増加)

フェーズ3 2007〜2011
Charter Schoolでは、校長が逮捕する権利が与えられる。
学校が子どもを選ぶシステム:低い学力、家庭問題、学習障害がある人は排除される

フェーズ4 2012〜2015
人種や学習状況による学校分断が起きる。

政府としては、カトリーナ前後で民営化が進み、学力は0.28→0.4、卒業率3%→9%と教育が改善されたと言っている。
メディアや財団法人なども、カトリーナによって教育の再構築ができたとポジティブに言っている。

しかし、その学力増加の裏には、災害によって以下のことが起きたから増加したように見えているだけ。
①貧困層が地方に移動した
②政府や他のセクターから資金が集まるようになり、教育費が増加した
 (それまではニューオリンズの公立校は、白人地域よりも教育費が25%も低かった)
③教員の変革もあり、教育支出が減った

そして、Charter School導入によって分断が大きくなった。
TIER1 School :学力テストの点数が高い学校:経済力のある白人ばかり。
    自由に校内を動けて、選択授業もある。
TIER2 School:学力テストの点数は中間の学校。
    テストに最低限合格するための授業しかされない。
    警察官が駐在しているから、問題あったらすぐ逮捕される。
TIER3 School:学力テストの点数は低い学校。
    ずっとパソコンから授業を受けるだけで、教員は机間巡視するだけ。

さらに、以下の問題が。
①TIER3の「安い」私立校でも、全員にとって安いとは限らず、親が必死で学費を稼がないといけない状況
②親は民営化の学校に子どもを送りたくないと思っていても、公立校が激減したために、そこ以外の選択が排除された
③「教育改革」の一環で、黒人の経験者の教員を退職させて、新人の白人の教員を導入させ、教育の質の低下が言える。


リベリアと学校の民営化
1822年 アメリカによって植民地。
1929年 アメリカ黒人をリベリアに強制的に戻した。
(のちに、アメリカ系黒人VS住人で紛争が起き、学校を壊すだけでなく、税金システムも崩壊した。エボラの影響もあり人との接点が皆無になった。)
2016年 ニューオリンズの例を使い、Bridge Academyを建設することで、税金を他に回そうとした。

現状
2017年
・テストスコアが60%のびたとされているけど、実際は38%程度ではないかと言われている。学力向上は、以下の理由から。
①教育費が増加したから、教室の大きさ、設備を変えることができ、1クラスあたりの子ども数を減らすことができた。
②子どもたちが学校を選べるようになった。

2020年
・登校する人数が減った。
・テストスコアは2017年から一定。
・性的被害率が高い。
・政府は一人当たり$50払っていたのが$640に。


アメリカのケースとリベリアのケースの共通点
・紛争/災害による被害によって、これまでできなかった民営化に踏み込んだ。
・民営化したことによって、各家庭が学費を払わないといけない状況になった。
・ただ、その教育の質がいいとは限らない

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自分の中での不明点

・リベリアの現状の課題点の深掘り

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個人的見解

何か災害があると変革しやすいというのは、コロナで実体験済み。政府が学校に、1人1台タブレット支給しようとしていたのが、一気に加速したのがその例だし、地震が起きた後に一から街づくりをするときも、誰かの思惑が含まれているのも例として挙げられる。

国によって、私立校・公立校の捉え方が違うのも面白い。例えばコロンビアでは、国立大学より私立大学の方が賢い人が集まっていて、質がいいらしい。教育の民営化が、めちゃくちゃされているらしい。日本も私立校ってそこそもあるけど、基本的にどの私立学校にも建学の精神があって、根本に「こういう教育がしたい!」っていう思いの元創設されているから、アメリカとかリベリアみたいに国が積極的に民営化させているのは斬新だった。そして、その改悪っぷりがすごい。。

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