難民の教育支援の変遷とUNHCRの「解決策」

今日の学び

難民になるには

①避難国で難民申請→受理される

②国連から難民資格を受ける。国連での難民資格を得られたら、それぞれアメリカ・イギリス・ドイツなど「北の裕福な」国へ送り込まれる(難民の意見は聞かれない)。

それぞれの国で、どんな難民を受け入れるかは異なっている。
イギリスの場合、より脆弱な障害者などを積極的に受け入れている。
日本の場合、より日本社会に溶け込める人を受け入れている。
ただ、この受け入れもトップが変われば方針も変わるため、受け入れ数は上下する。例えば、トランプ政権に変わった途端受け入れ数が激減するなど。

難民の教育支援の変遷
難民はすぐに本国に帰る存在だったため、教育支援はなかった。

教育調査をしたときに、未就学の子どもの半分は紛争化に置かれている子どもたちであることがわかり、難民への教育も必要と考えられるようになった。母国のカリキュラムで、母国の言語による教育。つまり、母国に戻ることを前提とした教育支援がされるようになった。

難民が何十年と避難国に住むのが現状となり、母国のinformalな教育か、避難国での教育を受けるかになっている。

INEEによるミニマム・スタンダードの緊急教育として、
・コミュニティ参加
・教育環境とアクセス
・カリキュラムなど、教育的ニーズ
・教育者
・教育政策
の五つが重要であると言っている。

難民教育2030では、難民の教育統合を目指しており、
・実現可能で、持続的な教育システムの実現
・安心安全な環境を全ての子どもたちに
・教育を、持続的な将来に活かせるように
としている。

教育課題
*あくまで、スタンダードとして。受け入れ国の方針により違うケースは多くあることを前提に*

①教育の選択
難民が教育を受けるとなった場合、基本的にinformalな母国の教育を受けるか、避難国の教育を受けるかの二つの選択肢になる。

〈informalな母国の教育〉
メリット:言語や文化の一致。母国に帰った時にスムーズに授業についていける。
デメリット:帰国できなかった時、避難国での就職が難しくなる。卒業資格もない。

〈避難国の教育〉
メリット:卒業資格がもらえる。避難国の言語・文化に慣れることができる。
デメリット:母国でのカリキュラムとのすり合わせの問題で、年齢に対して学年が下がることがある。言語・文化の壁。差別やいじめ。教育費の捻出。登下校の問題。人数過多による教育の質の低下など。心理的サポートの有無。

(余談)
基本的に、難民は難民キャンプに住むのが前提となっている。ただ、その中での教育はinformalなものになることが多い。キャンプでの劣悪な環境、仕事もないので経済的困窮などの理由から、キャンプから都市に移動する難民もいる。そうなった時に、教育へのアクセスをどうするのかは重大。あとは、難民が離散することでNGOなどが支援をしようと思った時に、滞りやすいという問題もある。

(余談2)
中・低所得国で難民を受け入れた場合、そもそもの国の教育基盤が脆弱であるがゆえに、より教育の質の低下が見込まれる。

課題②
進学率の低さ。
国際社会も、当初は初等教育のみに力を入れていたのもあって、難民児童のうち、初等教育を就学しているのは63%。(全世界の児童の初等教育就学率は91%)中等教育になると24%(全体84%)、高等教育5%(全体37%)。
現在は、もっと生涯教育を入れるべきではないかという議論がされている。


UNHCRの恒久的解決策(durable solutions)
①本国へ帰る
②避難国への社会統合
「難民が、受入国社会に法的・経済的・社会的に統合して、受入国政府からの保護を享受」(HPより)
③第三国定住
「ニーズのある難民が、難民へ定住の資格を与えることに同意した第三国へ、避難国において特定されて再定住」

再定住するには、
・国連に難民として認められ、「北」の国へ送り込まれる
・家族の結合、学校や職場からの受け入れ、個人的な受け入れ
→イギリスでは、自治体でお金を集めて難民家族のスポンサーとして受け入れるなどの動きもある。
「定住」の条件と定義は各国によって違いはあるものの、定住できている人と定められている人の割合はたった1%。

国連会議でも、難民と受け入れ国の情報共有、定住できるようアシストするようにとされているが、法的拘束力もなく、また難民の状況は日々変化しているのに会議も4年に1度しか開かれず、具体的な解決へは程遠い。

現在では200万人が定住できていないとされている。

Sarah Dryden-Petersonは、現状としてトランスナショナルという手段をとっている難民も多くいることを指摘している。
トランスナショナル:様々な国を移動し続けているということ。

(余談)
難民に対して、基本的に排他的だった。
ウクライナ難民に関しては、自由な移動・学業/仕事の保護がEU内で可能。
イギリスでは何人でも受け入れる体制をとり(2022年9月までで18万人受け入れ)、3年住めば社会保障を受けられるようにした。高等教育への支援も積極的に行なっている。

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自分の中での不明点

・resettelement と integrationの違い。それぞれのメリット・デメリット。
・Dryden-Petersonは、トランスナショナルに陥ってしまうと主張しているのか、それを推奨しているのか。

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個人的見解

緊急人道支援といったら、確かに衣(医)食住の提供を考えてしまうけど、実際には教育の役割は大きいと思う。教育が、社会との繋がり、未来への希望として心の支えになっているケースもあるから。

だからこそ、政治的な利益で教育へのアクセスが遮断されたり、質が担保されないのは悔しい。

国際社会は、三つの解決策はどれも平等によい選択としているけど、第三国定住とか社会統合がよりより解決策っていうニュアンスを醸し出していて。本当にそれが、よいのかは疑問が残る。確かに、キャンプで何十年も生活するのもどうかとは思うけど、難民が何を求めているかが最優先事項な気がする。

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