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Hallucinated dreams for human nature.

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  • Sanskaras

    潜在記憶の断片をつなぐ

  • Pratipaksha Bhavana

    プラティパクシャ・バーヴァナーを基盤とした現代的自己変容フレームワーク

  • スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン

    本書は、古代の智慧「ヨーガスートラ」と現代ヨガ実践の間に生じている乖離を分析し、その問題点と可能性を探る画期的な試みである。「ダークパターン」という概念を用いて、商業主義、文化的流用、還元主義的解釈など、現代ヨガが直面する様々な課題を明らかにする。同時に、古典的教えの本質を保持しつつ、現代の文脈で再解釈する方法を提示。哲学、心理学、神経科学など多様な視点を統合し、ヨガの実践をより深く、意義深いものとする道筋を示す。本書は、ヨガ実践者や研究者だけでなく、現代社会における精神性と身体性の統合、個人と社会の調和に関心を持つ全ての人々に、新たな洞察と実践の可能性を提供する。

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スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン / 執筆にあたって / 目次

「スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン」は、現代のヨガ実践と学びに潜む問題点を、ヨーガスートラの深遠な哲学を基準として分析し、その解決策を提示する試みです。本書の特徴と目的は以下のとおりです: 批判的分析:現代ヨガの商業化、文化的流用、還元主義的解釈などの問題を「ダークパターン」として特定し、詳細に分析しています。 哲学的基盤:全ての議論がヨーガスートラの概念に基づいており、古典的な教えと現代の実践の乖離を浮き彫りにしています。 多角的アプローチ:ヨガ指導者の育成、

    • 一瞥体験とサマーディの先へ:カイヴァリアとジーヴァン・ムクタへの道

      はじめに:一瞥体験とサマーディを超えて霊的な道を歩む者にとって、一瞥体験やサマーディの経験は、無限の可能性への扉を開く鍵となります。これらの体験は、私たちの本質的な性質について深い洞察を与え、日常の意識を超えた領域への一時的な入り口を提供します。しかし、これらの貴重な経験を得た後、多くの求道者は「次は何をすべきか」という問いに直面します。カイヴァリア(絶対的解放)とジーヴァン・ムクタ(生きながらにして解脱した者)の状態は、これらの一時的な体験を超えた、持続的な悟りの境地を表し

      • エゴの解体と二元性の超越ー現代ヨギにとってのバイロン・ケイティの「ザ・ワーク」のすすめ

        はじめに:ヨガの本質と現代の課題ヨガは古代インドに起源を持つ哲学的・実践的体系であり、その根本的な目的は、人間の意識を高め、究極的な現実(ブラフマン)との合一を実現することにあります。パタンジャリのヨーガ・スートラによれば、ヨガとは「心(チッタ)の働きを止めること」(ヨーガス・チッタヴリッティ・ニローダハ)と定義されています。この定義は、ヨガの実践が単なる身体的な運動ではなく、心の浄化と静寂を通じて、真の自己(アートマン)を認識する道筋であることを示しています。 しかし、現

        • Shock Doctrine Pratipaksha ⎯ 危機から見る成長への道筋

          はじめに:危機の中に潜む機会私たちの人生は、予期せぬ出来事や危機的状況に満ちています。突然の失業、大切な人との別れ、自然災害、そして世界規模の経済危機。これらの「ショック」は、私たちの日常を根底から覆し、時に深い混乱と不安をもたらします。しかし、このような危機的状況は、果たして単なる試練に過ぎないのでしょうか。それとも、そこには何か別の可能性が潜んでいるのでしょうか。 本稿では、ショックや危機を捉える二つの対照的な視点を探求します。一つは、社会学者ナオミ・クラインが提唱した

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        スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン / 執筆にあたって / 目次

        • 一瞥体験とサマーディの先へ:カイヴァリアとジーヴァン・ムクタへの道

        • エゴの解体と二元性の超越ー現代ヨギにとってのバイロン・ケイティの「ザ・ワーク」のすすめ

        • Shock Doctrine Pratipaksha ⎯ 危機から見る成長への道筋

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          2本
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        記事

          パミールの風と記憶の衣

          彼女は目を閉じ、パミールの風を感じていた。20年前、この地に初めて足を踏み入れた日のことを思い出す。あの日、双子の姉妹として撮影に臨んだ彼女たちは、まだ世界の複雑さを知らない若さに満ちていた。今、40歳を迎えた彼女は、風に乗って舞い上がる砂の粒一つ一つに、これまでの人生を重ね合わせていた。 黒と白のコントラストが鮮やかだった衣装は、今では淡い色合いに変わっている。しかし、その生地に織り込まれた金色の糸は、20年の時を経てもなお輝きを失わない。彼女は、その衣装が単なるファッシ

          パミールの風と記憶の衣

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第11章:二元性の呪いを祝福に変える ― 学びの関係の再構築

          二元性の迷宮:ヨガの学びの逆説 ヨガの教育と実践は、その本質において二元性の超越を目指すものでありながら、同時に二元論的な思考や構造に深く根ざしている。この逆説は、ヨガの教育関係に独特の緊張と創造的可能性をもたらしている。ヨーガスートラが説く「チッタ・ヴリッティ・ニローダハ」(心の働きを止めること)という根本原理は、究極的には全ての二元性を超越した状態を指し示している。しかし、その目標に向かう過程では、様々な二元論的な概念や実践方法が用いられる。 教師と生徒、理論と実践、

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第11章:二元性の呪いを祝福に変える ― 学びの関係の再構築

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第10章:文化的流用と教育倫理 ― 東西の対話を超えて

          ヨガの旅路:東洋から西洋へ、そして世界へ ヨガの歴史は、古代インドの智慧が世界中に広がり、様々な文化と融合しながら進化してきた壮大な旅路である。この過程で、ヨガは単なる東洋の神秘的実践から、グローバルな現象へと変貌を遂げた。しかし、この拡散と変容の過程は、文化的流用という複雑な問題を浮き彫りにしている。 ヨーガスートラが説く「サットヴァ」(純粋性、調和)の概念は、この文脈で重要な意味を持つ。ヨガの本質的な教えを保持しつつ、異なる文化的文脈に適応させていく過程で、いかにして

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第10章:文化的流用と教育倫理 ― 東西の対話を超えて

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第9章:デジタル時代のヨガの学び ― 伝統と革新の融合

          テクノロジーの進化とヨガの変容 デジタル技術の急速な発展は、ヨガの実践と教育に深い影響を与えている。スマートフォンアプリ、オンラインプラットフォーム、人工知能(AI)の活用など、テクノロジーの進化はヨガの伝統的な教育方法に大きな変革をもたらしている。この変化は、ヨーガスートラが説く「パリナーマ」(変化、変容)の現代的な表れと言えるだろう。 しかし、この変化は単なる教育手段の変更にとどまらない。それは、ヨガの本質的な目的である「チッタ・ヴリッティ・ニローダハ」(心の働きを止

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第9章:デジタル時代のヨガの学び ― 伝統と革新の融合

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第7章:ヨガと現代スピリチュアル:スピリチュアル・バイパスの罠を超えて

          ヨガと現代スピリチュアルの交差点 古代インドに端を発するヨガの伝統は、数千年の時を経て、現代社会において新たな変容を遂げつつある。グローバル化とデジタル技術の発展に伴い、ヨガは単なる身体的実践や瞑想法を超えて、現代のスピリチュアル運動と複雑に交錯するようになった。この交錯は、ヨガの本質的な教えに新たな光を当てる可能性を秘める一方で、その深遠な智慧を希薄化させる危険性も孕んでいる。 本章では、ヨガと現代スピリチュアルの関係性を多角的に検討し、両者の創造的な統合の可能性を探究

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第7章:ヨガと現代スピリチュアル:スピリチュアル・バイパスの罠を超えて

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第8章:マインドフルネスとヨガ ― 古代の智慧と現代の実践の融合

          マインドフルネスの台頭:ヨガの新たな形態? 現代社会において、マインドフルネスという言葉とその実践が急速に普及している。職場のストレス管理から教育現場、さらには医療や心理療法の分野にまで、マインドフルネスの適用範囲は驚くべき速さで拡大している。この現象は、古代の智慧であるヨガの教えが、現代社会のニーズに応じて新たな形で表現され、適用されているとも解釈できる。 しかし、このマインドフルネスの普及は、ヨガの本質的な教えとどのような関係にあるのだろうか。ヨーガスートラが説く「チ

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第8章:マインドフルネスとヨガ ― 古代の智慧と現代の実践の融合

          [コラム]ヨーガスートラによる、ヨーガスートラの自己批判と応答

          序論私はヨーガスートラ、古代インドの賢者パタンジャリによって編纂された聖典である。今、私は自らの内容を批判的に分析し、その限界と可能性を探る。この自己反省的な試みは、私の教えをより深く理解し、実践者がより効果的に活用できるようにするためのものである。 ヨーガスートラの矛盾点と限界1. チッタ・ヴリッティ・ニローダのパラドックス 私の冒頭、第1章第2節で「ヨーガス・チッタ・ヴリッティ・ニローダハ」と宣言している。これは「ヨーガは心の働きの抑制である」という意味だ。しかし、こ

          [コラム]ヨーガスートラによる、ヨーガスートラの自己批判と応答

          [コラム]意図せぬヨーギーたち:現代社会が育む無意識の求道

          はじめに:静寂からの呼びかけ人類の歴史において、内なる平和と真理の探求は常に存在してきた。その探求の一形態であるヨガは、古代インドの叡智から生まれ、時代と共に進化を遂げながら、今や世界中で実践されている。しかし、その普及の過程で、ヨガの本質的な目的である解脱、すなわち精神的な束縛からの解放という概念は、しばしば背景に押しやられてきた。 本稿では、現代のヨガ実践、特にRegistered Yoga Teacher(RYT)制度の成立と発展、そしてヨガ雑誌の普及という文脈の中で

          [コラム]意図せぬヨーギーたち:現代社会が育む無意識の求道

          [コラム]クリシュナマチャリアとシヴァナンダ:20世紀ヨガの二大潮流の比較と背景

          序論20世紀のヨガの発展において、ティルマライ・クリシュナマチャリア(1888-1989)とスワミ・シヴァーナンダ(1887-1963)は、二つの異なる、しかし同様に影響力のある潮流を生み出しました。本稿では、これら二つの系統を比較し、その差異を生み出した背景を探ることで、現代ヨガの多様性と複雑性への理解を深めることを目指します。 時代背景と個人的経歴クリシュナマチャリアとシヴァーナンダは、ほぼ同時代に生まれ、同じく植民地支配下のインドで育ちました。しかし、彼らの個人的な経

          [コラム]クリシュナマチャリアとシヴァナンダ:20世紀ヨガの二大潮流の比較と背景

          [コラム]太陽礼拝の起源から現代ヨガの進化まで:クリシュナマチャリヤの影響と原初のヨガとの関係

          序論ヨガは数千年の歴史を持つ古代インドの実践ですが、現代社会で広く知られ、実践されているヨガは、特に過去100年の間に大きく進化してきました。本稿では、現代ヨガの中心的な実践の一つである太陽礼拝(スーリヤナマスカーラ)の起源から、20世紀のヨガの革新者ティルマライ・クリシュナマチャリヤの影響、そして原初のヨガと現代ヨガの関係について探ります。 太陽礼拝の起源と発展太陽礼拝の起源は、古代インドにまでさかのぼります。紀元前1500年頃のヴェーダ時代には、太陽神スーリヤへの崇拝が

          [コラム]太陽礼拝の起源から現代ヨガの進化まで:クリシュナマチャリヤの影響と原初のヨガとの関係

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第6章:普遍的な美の探求 ― 身体からサマーディへの道

          ヨガの多面性:身体と精神の統合への旅 現代社会におけるヨガの実践は、その多面的な性質ゆえに、様々な解釈と適用を生み出している。特に、身体的実践と精神的探求の間の関係性は、ヨガの本質を理解する上で重要な鍵となる。ヨーガスートラが説く「チッタ・ヴリッティ・ニローダハ」(心の働きを止めること)という根本原理は、多くの実践者にとって直接的な目標というよりは、遠い理想として認識されがちである。しかし、この原理こそが、身体的実践を通じて到達しうる究極の状態、すなわちサマーディへの道筋を

          スートラの呪い―ヨガ哲学のダークパターン 第6章:普遍的な美の探求 ― 身体からサマーディへの道

          量子の箱の中で

          私は箱の中にいる。 それは特別な箱だ。人間たちが「量子力学」とかなんとか言っている、よく分からない実験の装置らしい。でも、正直なところ、私にはどうでもいいことだ。 ここは居心地が良い。柔らかいクッションがあって、おいしい食べ物も十分にある。時々、毒ガスが出るかもしれないという装置があるけれど、まあ、そんなものは気にしていられない。 外には、彼がいる。私のことを「愛している」と言う人間だ。彼は、私をこの箱に入れた。そして、こう言った。 「君を愛しているからこそ、観測しな

          量子の箱の中で