映画のガジェットを考察してみた | vol.1『ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル』
こんにちは!株式会社つみきのUI/UX事業部でディレクターをしているmanamiです。Webやアプリを作ってます!
いまうちの事業部でマイクロインタラクション(簡単に言うと、最小単位のインタラクション)の発信を強化する試みを行っているんですが、「せっかくなら好きなものでやってみよう!」ということで、映画に登場するガジェットのマイクロインタラクションを考察してみたいなと思います。
というわけで第一弾は『ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル』』。
ミッション:インポッシブル(以降MIシリーズ)の中でもガジェット満載な一本。中でもお気に入りのガジェット5つを紹介しつつ、そのマイクロインタラクションを探してみようと思います。
マイクロインタクションって何?という人も、映画・ガジェット好きならぜひお付き合いください!
※画像を添付していますが、撮影したものを切り取っているので画質と画面の汚れが気になるかもしれません
※画像の権利はParamount Pictures Corporationに帰属します
01 / ドアロック解除
冒頭、ガジェット担当とも言えるベンジーが刑務所のシステムをハッキング。刑務所内の様子はマップでビジュアライズされており、キーをえいっと叩くとロックが解除され、該当の居房の色がレッドからグリーンに変化。
レッド(ロック状態)、グリーン(ロック解除状態)のルールは実際のドアにも反映されており、ロックが解除されるとドアのランプもレッドからグリーンに変化します。
ちなみに、ハッキングではなく通常のロック解除を行う場合はどういう仕組みになっているのかというと、一瞬映る看守がドアロックを解除する様子が参考になりそう。動きを見る限り、ボタン式リモコンを押して解除する仕組みのように見えます。
ドアロックの解除を表現するのに使われているマイクロインタラクションがこちら。
トリガー:システム上でロックを解除したい居房を選択しキーをタップする。あるいはリモコンのボタンを押す(ロックを解除したいドアの前で?詳細は不明)
フィードバック:マップの該当部屋部分がレッドからグリーンに変化(複数のドアが存在する場合は不明)。ドアランプがレッドからグリーンに変化。
ここでふと思ったんです。
「刑務所なのに、ドアロックが解除されていることがこんなにわかりやすくていいのか?」と。
そうかこれ、作品内の(ドアロックの)ユーザーに向けられたマイクロインタラクションじゃなくて、観客向けの演出だ…!
ーーー
まとめると、映画をはじめフィクションに登場するマイクロインタラクションには以下の2つの意味があるんじゃないかと。
(A)作品内の人物に状況をフィードバックするもの
(B)観客に向けて状況を伝える演出
「ハッキングによるドア解除」シーンの場合、映画内の人物にロックが解除されたことをフィードバックするポーズをとりつつ、実は視聴者に「ドアロックが解除されていること」を伝えるための演出として機能してるんですね。当たり前のことかもしれませんが、きちんと考えたことがなかったので非常に腑に落ちたのでした。
02 / コンタクトレンズ・カメラ
電子回路のような模様のあるコンタクトレンズは、コンタクトレンズの形をしたカメラ。翻訳では「コンタクトレンズ・カメラ」と呼ばれていました。
劇中では「視界に入った人物の検知」「瞬き2回でシャッターを切って写真撮影する」機能が登場しますが、今回は「人物検知機能」について触れます。(撮影機能はMIシリーズ次回作でも登場するので、、)
人物検知機能では、視界に入った人物をデータベースと照合し、要注意人物や該当人物を探し当てることができます。コンタクトレンズでは細かい入力操作ができないので、入力検知開始は携帯端末から。
検知機能が動いているときはコンタクトレンズがグリーンに発光する映画的演出も。コンタクトレンズの視界内では、読み込み中の顔はホワイトの枠、一般人はグリーンの枠、要注意人物や該当人物はレッドの枠で表示されます。
検知の開始と、検知状況は以下のようなマイクロインタラクションで表現されます。
トリガー:コンタクトレンズを装着した状態で、携帯端末から該当人物、あるいは視界内の危険人物の検知を指示する。
フィードバック:検知状況を視界にリアルタイムで表示する(認識中は白ホワイト、一般人はグリーン、要注意人物や該当人物はレッドの枠)。検知された人物の名前、国籍情報も表示される。
これ、いかにも顔認識!という感じのインタラクションでわくわくしますね。スキャンのスピード感には映画内世界の技術力の高さを感じるんじゃないでしょうか。
03 / 公衆電話型ミッション連絡ツール
「ゴースト・プロトコル」でのミッション連絡ツールは公衆電話型。受話器を取り、5桁の暗証番号を正確に入力すると筐体が上下に開き、スクリーンが現れます。
網膜スキャンで身元確認が完了すると、司令が音声再生されると同時にスクリーンにはマップ等の資料が表示されます。
お約束の台詞、
「例によって君らが逮捕 殺されても当局は一切関知しない」
「この司令は5秒で消滅する」
ののち、イーサンが触ると電話機は爆発。受け取ったミッション情報は物理的にも消滅。
5桁の暗証番号→筐体が開く→網膜スキャン開始→ミッション再生→カウントダウン→ミッション情報消滅、という無駄のない流れ。フィードバックがそのまま次のトリガーへの誘導になっているのがいいですね。
全体がマイクロインタラクションといえばマイクロインタラクションなんだけど、正解の一本道しか想定してなさそうな心遣いのなさ。ミッション再生時に聞き逃してストップしたり、ミッション情報をもう一度聞く、なんてことは絶対にできなさそうなところ。
IMFの一方的な通知であるミッション連絡らしくて、MIシリーズの世界的にも観客への演出的にも正しい気がしています。
04 / IDカード偽造ツール
暗証番号を解析してロックを解除するらしきツール。カード部分を挿入すると、持ち手部分になにやら解析が行われていそうなアニメーションが表示され、8桁の番号が表示されたのちにロックが解除されます。
現実にあるツールなら、シンプルにカード部分挿入→即ロック解除でもいいところ、あえて「解析中」を示すアニメーションが作り込まれており、画面に大写しにされます。
マイクロインタラクションはこんな感じ。
トリガー:カード部分の挿入。
フィードバック:解析アニメーション。解析結果らしき8桁の数字の表示。
「解析しているぞ!」とかっこよく伝えるためのマイクロインタラクションですね。
このような演出としての意味合いが強いマイクロインタラクションはフィクション内だけではなく実際のアプリやWebのプロダクトでも存在していて、特に読み込み時間をあえて長く設定し、演出を加えるケースはよく見る気がします。
05 / 吸着するグローブ
イーサンがドバイの超高層ビル、ブルジュ・ハリファを登るという超絶アクションシーンで使われるガジェット。
手の甲にあるランプが、吸着時は「青」、異常時は「赤」に光る(ちなみに音も鳴る)ため、ベンジーが「ブルーはグルー(くっつく)、レッドはデッド(死)」というシャレにならないシャレを言うアイテムであります。
吸着している面積に応じてランプの光っている部分が変化するように見えます。(手の上部をくっつけているときは、▽の上辺部分が青く光る)。どこにも吸着していないときは正常に動いていてもランプは光らない模様。
異常信号をわざわざ説明したということはつまり、物語的には、そういうことですね。もちろん期待を裏切りません。
グローブのマイクロインタラクションはこんな感じ。
トリガー:グローブを壁面に吸着させる。
フィードバック:吸着時、吸着箇所に応じて手の甲のランプが青く光る。異常があった場合は(吸着状況に関わらず)赤く光り、異常音が鳴る。
マイクロインタラクションとしてもわかりやすくて好きですし、このシーンではグローブの色と異常時の音の演出のおかげでハラハラ感が高まっています!
さいごに
映画のマイクロインタラクションは観客への演出を強く意識して作られているので、すべてが現実のサービスやツールに活かせるとは言えないものです。
ただ、ゲームをはじめとしたエンタメ系のサービスなどだとこういった「演出色の強いマイクロインタラクション」が必要となることも多いはず。実際クライアントに求められることも結構ある印象です。
アニメーション盛り盛りで重くなっちゃう!とか、ときにユーザビリティと引き換えになったりもするので、「本当に必要か?」はしっかり検討する必要はありますが、的確に使用すれば映画のように世界観を強化できたり、ユーザーのワクワク度を高めることができるかもしれません。
なお『ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル』、他にも紹介できなかったガジェットがたくさんあるので、まだ観ていなくて気になった方はぜひ観てみてください。MIシリーズだと個人的にこちらと、次作のローグ・ネイションが大好きです!
次回は『キングスマン』あたりで書きたいな…!
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