映画のガジェットを考察してみた | vol.2『キングスマン』
映画に登場するガジェットのマイクロインタラクション考察シリーズ第二弾は『キングスマン』。
前回の『ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル』に比べて、古き良きスパイ映画にオマージュを捧げた古風なガジェットが多い作品ですが、果たしてどんなマイクロインタラクションがあるのでしょうか。
マイクロインタラクションを調べていたら、悪役ヴァレンタインの敗因も明らかに!
前回の記事はこちら↓
※画像を添付していますが、撮影したものを切り取っているので画質と画面の汚れが気になるかもしれません
※画像の権利はTwentieth Century Fox Film Corporationに帰属します
01 / 多機能メガネ
「動画のリアルタイム送信([TRANSMITTING]と表示)」とAR・VRで会議に参加できる「会議モード([CONFERENCE]と表示)」、少なくとも2つのモードが存在。録画できるモードもあるようです(画面は登場しません)。さらに音声のやりとりまで行えてしまう便利アイテムです。
・動画送信モード[TRANSMITTING]
動画をリアルタイムで送信することが可能。本モードを実行しつつ、視界に入る敵や武器の検出もできる。
・会議モード[CONFERENCE]
キングスマンメンバーでの会議時に登場。ハリー(ガラハッド)とアーサー以外はリモートで会議に参加。メガネをかけると、現地にいない参加メンバーの姿をARで見ることができます。
リモートで参加しているメンバーには会議室の状況がVRで再現されているものと思われます。
これに近いかも!
Samsung、スマートフォンやPCのモニターをVR/AR上に置き換え表示させるVR/AR切替型グラス「Monitorless」を発表
メガネのマイクロインタラクションとしては、モードの表示があります。
トリガー:メガネの装着
フィードバック:AR・VR映像の出現。モードの表示。
02 / 傘型銃
閉じた状態なら打撃武器や電気銃として、開いた状態なら防弾シールド兼失神銃、ショットガンとして使えるアイテム。さらに雨の日は雨をしのぐこともできそうです。
非常に多機能な傘のようですが、ここではその機能のうちいくつかをピックアップします。
・電気ワイヤー銃
捕縛用のワイヤーが打ち出され、ターゲットに巻きつきます。ロックされるとブルーに光り、付近の金属に強力にくっついた上で電流を流すようです。傘を閉じた状態で銃を打ち出すとこれになるのではないかと仮定。
マイクロインタラクションとしては、ターゲットに巻きついてロックが完了したときブルーに光るのが印象的です。
トリガー:ターゲットの捕縛(巻きつき)、ロック。
フィードバック:ロックが完了した時点でブルーに発光。
さらに電気が流れるときには派手に発光するいかにもな演出も。
・不明[SMOKE]
傘を開いて防弾シールドとして使用している際に表示されていたので、SMOKE=シールドモードなのかと思ったのですが、防弾シールドは傘を開いている限り常に有効なので違いそう。名前から想像するに発煙弾を打ち出せるモードだったりするのかも。
・銃:失神モード[STUN]
ゴム弾のようなものが発射され、ターゲットを失神状態にします。
・銃:ショットガンモード[SHOTGUN]
人を殺すタイプ(!)の弾丸が発射されるモードです。
上記3つのモードは傘の持ち手部分をひねることで切り替えられるようになっていて、傘内側のスクリーンに現在のモードが表示されます。
トリガー:傘の持ち手をひねる。
フィードバック:モード表示が切り替わる。
03 / 銃付き時計
劇中では通常の時計として以外に2つの特殊機能が見られます。特殊機能モードに切り替える際は、文字盤左下の突起をぐっと押し込みます。
・記憶消去[AMNESIA]
文字盤左下の突起をはじくことで弾が飛び出し、記憶消去の効果がある針状の弾丸を発射。打ち込まれたターゲットは気絶し、前後の記憶を失います。
マイクロインタラクションとしては発射後の弾丸の発光が挙げられると思います。弾丸の軌道がよく見え観客への演出としても効いてます!
トリガー:弾丸が発射される。
フィードバック:発射された弾丸が赤く光る。
・電気ワイヤー[不明]
傘の電気ワイヤー銃によく似た、ターゲットに巻きついて電撃を発するワイヤーを発射する機能もあるようです。傘の銃とは違い金属にくっつく機能はなく、巻きついて電気を流すのみ。電磁石を仕込むには、傘に比べてサイズが小さすぎるから?(とか考えましたがただの演出の都合上の可能性大)
トリガー・フィードバック:前述の電気ワイヤー銃と同様
04 / ライター型手榴弾
蓋を開けた状態が、手榴弾でいうピンを抜いた状態。発動すると赤いランプが点滅し、点滅の間隔で爆破までの時間を示します。
トリガー:ライターの蓋を開ける。
フィードバック:赤いランプが点滅し、爆発までの残り時間に応じ点滅の間隔が小さくなる。
05 / 殺人SIMカード
ヴァレンタイン社の発行した、全ての携帯やパソコンで使える無料SIMカード。ヴァレンタイン社のネットワークを利用し、通話、ネット等がすべて無料になります。
ただのありがたいカードかと思いきやもちろんそんなことはなく、ヴァレンタインの操作次第で神経信号を発して付近の人々を凶暴化、殺し合いさせる機能を持つ恐ろしいアイテム。
発動時はアプリが自動で起動し、スマホなど端末の画面に派手なアニメーションが表示されます。
トリガー:SIMカードが起動装置からの信号を受信。
フィードバック:(おそらくSIMカード使用のためにインストールが必要な)アプリが自動で起動し、信号の受信が続いている限りアニメーションを再生し続ける。
06 / 殺人SIMカード起動装置
殺人SIMカードを発動させるための、巨大なモニターを備えた装置です。この装置でSIMカードを起動すると人々が凶暴化、殺し合いに…。
開発したヴァレンタイン自身もこの装置の危険さを理解しており、掌紋認証のうえ、手のひらでモニターに触れている間だけ起動する仕様になっています。
劇中ではヴァレンタインが親機の生体認証(掌紋)を登録する様子が描かれており、生体認証時のインタラクションでは、登録状況を伝える色の変化があります。
トリガー:生体認証登録の完了。
フィードバック:掌を置いている部分の光が赤から青に変化。
余談ですが、ヴァレンタインはセキュリティを高めるために掌紋認証を選んだらしく、側近ガゼルの「スイッチでいいのに」という一言にも、危険な機械だからと反論します。(劇中でも、掌紋認証はハッキング不可の高セキュリティ!)
「掌を当てているときだけSIMカードが起動し、手を離したら中断」という仕様もきっとセキュリティ意識ゆえ。
これに対し、なぜか信号無効化チップのセキュリティはガバガバ。信号を逆探知されてヴァレンタイン社が関わっていることが判明するわ、最後の戦いではハッキングされ、チップに搭載されている「裏切り者制裁」用の爆破機能を起動されて花火大会に。
ヴァレンタインの敗因は、信号無効化チップだけセキュリティ意識が甘かったことでしょう…。周辺機器にも気を配らなくてはですね。
キングスマンと生体認証の話はこちらが面白かったです!
さいごに
敵方ヴァレンタインがデジタルなガジェットを用意してくるのに対し、キングスマン陣営の英国紳士らしい伝統的なアイテムにテクノロジーが融合したガジェットが魅力的に感じる一本でした。
時計のスイッチを押す、ライターの蓋を開けるなど、トリガーとなる動作がシンプルで身近な動作だからこそ、フィードバックのハイテクノロジー感とのギャップにグッときてしまうように思います。
以上、キングスマンに登場するガジェットのマイクロインタラクションのお話でした!
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