あざとくて何が悪いの? |言葉の企画 7.11
小さな幸せは
根っこで大きな幸せと
つながっているから
ジグソーパズルの
一片ではない
-谷川俊太郎『幸せについて』(ナナロク社)
初対面で花束をもらう。
誕生日が近かったから。
はじめてのことって、
まだまだ身近にあるのかもしれない。
そんなことを思った7月だった。
言葉の企画 2回目は、『テレビの企画』
テレビ朝日の敏腕プロデューサー芦田太郎さんをゲストに2時間。
事前課題は「ゴールデンタイムの番組の企画」。
(芦田さんも事前に115人の企画書に目を通して…それもすごいです。)
当日は、実際の企画書を見せていただきつつ、
仕事に対する姿勢や企画の肝を伺いました。
あざとくて何が悪いの?
昨日(!)第三弾が放送された「あざとくて何が悪いの?」
田中みな実さん、弘中アナ、山ちゃん、ゲストの千葉雄大くん
全員愛しい、あざとさ直伝バラエティ。
この企画を立てたのが芦田さん。
企画の妙は芦田さんのnoteで解説されています。
(すごく面白いです、ぜひ。)
番組で取り上げているのは、無意識のあざとさではなくて、
芦田さん曰く“伝統芸能的な”磨かれたあざとさ。
👉見逃し配信(〜8/2まで無料)
観た時に、ちょっと救われた気がした。
それはきっと、あざとさを肯定する風を感じたからだと思います。
「あざとくて何が悪いのか?」
可愛く、美しく、計算高く生きるコトは何も悪くない。
-芦田さんのnote より
「自分らしく」「女らしく」
「ありのまま」なんて作り物なの
嫌われてたって 構わないの
-エンディング
…かっこいい
うねりを起こすテレビの力
芦田さんから感じたのは
コンテンツメイカーとしての自負でした。
“あざとさ”を肯定する風が吹いたように、
遠くまで一気にうねりを起こす力のあるテレビ。
●自分の面白いと、世間の面白いの重なりを見つける
だからこそ、自分が面白いと感じたものが
毎週毎週もっと見たいと思われる
“普遍的な(共感を生む)面白さ”なのか。
「田中みな実のあざとさは、相手を見据えた美しいコミュニケーション」「企画は、タレントの魅力を引き出す装置」
●芦田さんは、ウソに敏感
「本当にそれで心が動くのか?」
企画を考える時に、つい都合よく解釈してしまうんですが、
こうなったらいいな、に対してすごく冷静な視点を感じました。
→感情は伝染する/「あいつ今何してる?」はどうつくられたか?
●その上でのテクニック
いろんなひっかかりをつくる。ついつい人に言いたくなる。
・VTRの中で他のTVやラジオを小ネタにする、メタ構造
・セリフやBGMの選曲
・タレントさん別にカットを撮り、SNSに投稿しやすくする
はじめてのことに出会う、面白さ
拡大解釈かもしれませんが
どんなことを面白い、楽しいと感じる世の中になってほしいか。
そんなことを考えた回でした。
「あざとくて〜」が好きだな、と思ったのも
自分の価値観が変わっていく心地よさを感じたからかもしれません。
したたかだけど、他人を貶すテクニックはあんまりなくて。
自分のポテンシャルを高める“あざとさ”ならよくない?
そんな気持ちになりました。
(そして田中みな実さんが今まで見たどの番組よりかわいかった…!)
●自分の圏外にいる人に会わせてくれるテレビ
一人暮らしをはじめて半年くらい、
TVのない生活をしていました。
SNSやyoutube、ECで「心地よいすきなもの」に囲まれ
どんどん視野が狭まっていく感覚に恐怖を覚え、TVを買いました。
「自分の枠の外にいる、予期せぬ出会い」のために
テレビをつけている気がします。
●伝えたいほどの価値観ってなんだ?
芦田さんの講義は、
自分にとっての価値観を考える時間になりました。
信念、というと大げさかもしれませんが、
毎週番組を続けていくには、指針や軸がないとブレてしまう。
そうした時に、たくさんの労力やお金を使って
全国ネットで伝えたい「面白さ」ってなんだろう。
●相手を信じる、自分を信じる
阿部さんのラジオも圧巻でした…本当に。
115人ぶんのフィードバック。まさか2時間半のラジオで。
中でも「伝わることを信じて、内容を削ぎ落とそう」
「相手がどんな話を聞きたいと思うか」という話が印象的でした。
芦田さんの「自分の面白いと、世間の面白いの重なりを見つける」という話と繋がって聞こえてきました。
「テレビの企画」を通じて
あらためてテレビの魅力を考えたとき。
違う価値観に出会うチャンスを
テレビに求めているのかもしれないと気づきました。
知らなかった価値観は、きっとまた別のところに繋がっていくから。
さいごに…
●あざとくて何が悪いの?
10月からレギュラー化!だそうです。
すごい…たのしみです…!
毎週土曜 21:55〜22:25
・・・・・・
あともうひとつ宣伝です。(あざとくてすみません…。)
●能、みたことありますか?
私は図書館で調べるところからはじまりました。
そんなド素人ですが、知れば知るほどハマってきています。
解なき能、翁。
650年ほど受け継がれて来た能。
その源流となる演目「翁〈おきな〉」を考える展示が始まります。
舞台上で人が神になる。意味のわからない祝詞がある。
日本古来のものとみられていたが、ルーツは縄文時代とも言われている。
謎に包まれた「翁」にぜひ触れてみてください。
翁プロジェクト https://okina-pj.com/
2年がかりのプロジェクトの第一弾・東京展。
(私は制作進行ディレクターをしています。)
なかなか、諸手を挙げて、いらしてください!とも言いづらいのですが
都心から切り離されたような
緑豊かで、深呼吸できる穴場スポットです。
(横にある大きな肥後細川庭園も気持ちがいいです。)
不安定なご時世柄、1ヶ月ととても会期が短いのですが、よろしければぜひ。金沢・京都の巡回も予定しています。
会期 2020年7月23日 (木)~8月30日 (日)
会場 永青文庫 〒112-0015 東京都文京区目白台1-1-1
入館料 一般 1000円 大学・高校生 500円
※毎週月曜休館
●美術手帖web
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/22383
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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