「間取り」があらわす家族文化~築25年のアパート②
こんにちは。ゆかいです。在韓10年目を期に韓国生活の回想録を書いています。
今日は私が最初に住んだ部屋の「間取り」について回想します。
前回はこちら。
韓国人が大好きな形容詞は、「大きい」、「高い」、「はやい」じゃないかと思う。「からい」も。
でも、外国人の私が感じたのは「近い」だった。
人と人の距離が近い
「どうして間取りの話が対人距離と関係あるのか?」
と思われるかもしれない。
でも、人と人の距離が近い韓国の家族文化を表しているようにしか思えなかった。
そんな私が当時住んでいた部屋の間取りはこちら。
気づかれたかな?そう、廊下がない。
玄関から中に入ったら、すぐリビングがあるのだ。つまり、廊下を取り払ってあるので、広くスペース活用できて良し。
広いリビングで、家族仲良く団らんできて素敵!
明るい家庭、お互いを思いやる愛情あふれるファミリー…。
でも、いいことだけではなかった。
間取りのデメリット
ケンカして気まずい夫婦や、思春期で不機嫌な子供には間違いなく不便な間取りということに気づいた。
家に帰ってきても、家族に挨拶してリビングを通らないと自分の部屋に引きこもれないからだ。
部屋はあるが、いつもドアが開けっぱなし。今ならしっかり閉めると思う。でも、当時はしょっちゅう義母が来ていたので、なぜか閉めるといけない気持ちになった。悪いことをしているような…。
個々の時間と空間を大事にしてきた私にとって、違和感があった。だって、疲れたときに一人で引きこもれないから。
韓国語漬けで頭がわれそうな日も、逃れられない。
「変わっている。冷たい」と思われるかもしれないが、一人の時間大好きな自分には、ときどき隠れる場所が欲しくなる間取りだった。
韓国の家族文化あるあるな話
韓国の家族の絆は強く、そして近い。
結婚したら別世帯になるという認識が薄い人も多い。そもそも日本のような「ウチとソト」の感覚はない。
だから家族が集まると、お年寄りから孫まで居間でゴロゴロする。大人になっても親と手をつなぐ人もいる。
そんなときにピッタリな場所が廊下のない広々リビングだ。
みんなで居間にテレビを見ながらくつろぐ。
ときどき喧嘩しながらワイワイガヤガヤ…話し声やテレビの音が家中に筒抜けなので、部屋にいても全部聞こえる。いい話も聞きたくない話も。
泣いて笑って喧嘩して一生懸命生きる家族。
古いアパート(マンションのこと)の間取りは、そんな韓国の家族文化を垣間見させてくれると思う。
間取りが変わった
でも最近の新築アパートは、間取りが違う。
廊下がある。
私は最近の間取りの方が好きだけど、義父母は昔の間取りのほうが落ち着くそうだ。それはそうだろうな。
家族のあり方が変わってきたんだなぁと思っている。(つづく)