大学通貨の教育利用なんてものを考えてみた
ビットコインの相場が上がったり下がったりしている。いつもの定食屋で吉野先生と仮想通貨の話で盛り上がる。哲学、倫理、研究、教育の話以外にも、たまに経済(ギャンブル含む)の話も出てくる。最後は、通貨とは何か、という本質的な議論となった。ふと、大学独自の通貨を作れば、教育や地域貢献に使えるのではないかと思いついたので、書き残しておく。(小野堅太郎)
九歯大がある北九州小倉出身の作家といえば、松本清張である。彼のデビュー作といえば「西郷札」であり(直木賞候補)、西南戦争で西郷隆盛が資金調達のために発行した幻の地域通貨を題材にしています。お金とは、考えれば考えるほど興味深い存在で、モノポリーや人生ゲームといったボードゲーム、ソーシャルゲームをやってるときのお金もちゃんとした通貨として楽しませてくれます。その延長線上にギャンブルがあるのかな、と思っております。
というわけで、誰でも通貨を作ることはできるわけです。既に「マイル」や「なんとかポイント」といった消費に応じて付加されるものは社会に浸透しており、日本国通貨を使用することなく、飛行機に乗れたり、なんらかのサービスや品物を買えたりしています。ビットコインのような暗号資産は相場変動しますが、法定通貨に従うデジタル通貨であれば安定しているため決済をすんなりできるメリットがあります。
最近ようやく電子マネーが広がりつつありますが、地域通貨もいろんなところで利用されています。これをふと、本学で作ったらどうなるかな、と考えたわけです。ネットで調べてみると、会津大学と新潟大学で既にこのような構想が進行していました。つまり、私なんぞが思いつくずっと前に、キャンバス通貨は検討されていたようです。詳細は存じませんので、私の考えを自由に述べさせていただきます。批判や改善策などをコメント欄にもらえるとうれしいです😊
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本学では、コピー機印刷やパソコンからの印刷において、学生は「印刷ポイント」というのをもらっています。足りなくなれば、大学事務局でお金を追加してポイントを課金しています。これもう既に大学仮想通貨みたいになっているわけです。「通貨」と言い切るためには、もっと流通させる必要があります。九歯大(きゅうしだい)ということで、「QCコイン」と名付けます。
QCコインは誰でも所有できますが、九歯大内でしか使用できないデジタル通貨です。印刷だけでなく、教科書、実習消耗品、学食などに使用可能です(私の空想ですよ)。本学には大学生協がないのが残念です。その他にも提携できれば、本学伝統の巨大QB/OG組織の同窓会主催の有料セミナーや近隣定食屋での支払いも可能です(繰り返しますが小野の空想です)。もし九歯大限定の商品(ノート、シャーペン、ネクタイピン、お土産クッキーなど)を開発すれば、これらの支払いはQCコイン支払い限定となります。
QCコインは本学学生であれば、毎年一定コインが給付されます。新年度4月1日に200コイン、1コイン10円相当として、1学生2000円、大学院生も含めて750人ほどいますので、150万円を大学は支出します。1000円単位で課金でき、10%増の110コインが追加できます(1コイン9.1円)。
ただし、QCコインは持っていても、年度最終日の3/31に所有分から10%自動的に引かれてしまいます。ですので、出来るだけ年度内に使い切る方が得策ですし、課金も年度初めが最も効果的です。
QCコインは、成績や課外活動で特筆すべき結果を残した学生に追加付加されます。学内の種々のコンテストでの受賞者にも贈られます。現金化が困難で、かつ用途が学生活動、同窓会及び地域貢献に限られるという利点があります。
QCコインは譲渡可能ですが、学生間の取引では10%引かれます。一方、保護者、OB/OGなどからの学生への譲渡は「寄付」とされ、引かれるどころか5%追加されます。こうなると学生が直接QCコインを追加するよりも、寄付される方がお得です。例えば、一万円で1100コインとなり、それを寄付すると1155コインとなります(1コイン8.7円)。主な寄付ルートは、学生保護者からなる後援会と同窓会からになります。ただし、教員から学生への寄付は禁止です。オンラインでの課金処理ができるようになれば、保護者からの仕送りの一部がQCコインを介するようになるでしょう。
QCコインの利点をまとめてみます。学生からすると大学生活での基本的な支払いに現金が不要となり、学業などの貢献によるコイン加算はモチベーション向上に役に立ちます。大学や保護者、その他の団体にしても、現金を直接学生に渡さないため、ギャンブルや遊興費に使われる心配がありません。寄付の形を取れば、今まで以上の援助ができます。
とはいえ、多くの欠点も想像されます。そもそも決済システムには何を利用し(QRコード?、ブロックチェーンは?)、誰が管理するのか、そして運用コストがどのくらいかかるのかがわかりません。流通、ブランド化するために長期運用の方策を考えないといけません。付加価値の低いグッズを作ってしまったら、大赤字です。
先行して実施した大学の中で成功事例が出てきたら広がっていくかもしれません(会津大学、新潟大学)。机上の空論とはいえ、いいアイディアだと思うんだけどなぁ〜。