2回も伊勢佐木議員を読んだのだから何か応答したい、氏名標ももらったし。でもなにを?
参加してきた。
かもめマシーンによる南京事件のリサーチ、それらをふまえた観客参加型のパフォーマンス。
南京事件を巡る議事録からつくられたテキストを観客からくじで選ばれた人が読む。
タイトルのとおり、わたしは2回同じ議員のテキストを読んだので何か応答したい、でもなにを?
〈伊勢佐木議員1回目〉
数週間前、リハーサルに参加した。
参加する前に
プロジェクトの始動から過去のリサーチの様子はかもめマシーンのnoteや萩原さんのSNSから追うことができた。(アーカイブへのアクセスが良好すぎる)
このまま事前準備なし・ノーガード状態で行っていいのか?でもここに新たな知識をいれるのもノイズになる気がする……ひとまず、自分が持つ、知識・イメージを書き出してみた。以下、メモ。
・南京事件、南京虐殺、南京大虐殺
・戦時中、日本軍が南京市を襲撃。非戦闘員、捕虜への暴行、殺害、強姦。
・慰安婦問題、慰安婦像
・名称や被害者数?被害の範囲等?で謎に論争がある
・戦争、平和に関連する行事の多い8月にきくことが多いイメージ
・慰霊の式典があったような
・ほとんどひとと話したことがない
・小学生の頃は南京大虐殺と習った気がする
・小学生のときに読んだ資料集に、生存者の体験談が載っておりその内容が強く残っている。母と姉が強姦、殺害される間、隣室で隠れていた、というもの。遺体の描写が生々しくこわかったけれど、友人や家族に話せなかった。話題にしてはいけない気がした。
このメモをスマホに忍ばせて参加することにした。(なお、1回も引っ張り出すことはなかった。)
会場である高架下スタジオSite-D集会場は名前のとおり、高架下にあった。時折通過する電車で空間が揺れる。自然光が差し込んで時間経過で印象が変わるいいところだと思った。
室内にはスクリーンの前に長机がくっつけられた会議用のテーブルと椅子、それを取り囲むように空間に広げられた参加者用の椅子があった。
テーブルに6つ、氏名標が寝かせてあるのが印象にのこっている。
スクリーンにはどこかの部屋が映し出されていた。画像かと思ったが、萩原さんが作った、模型の会議室の様子をリアルタイムで映していた。模型の部屋の窓からはこちらの室内の様子が少し覗ける。会議室とわかりにくいとの声もあったが、なにより机や椅子、ロッカーのミニチュアがやけにリアルなことに感動し、全部作ったのか尋ねると、Seriaで購入したとのことだった。Seriaすごい(感動返上)。是非本番も置いてくれるよう伝えた。
ぽつりぽつりと人が来る。
私ういてる。気がする。
身内感とオープンな雰囲気の間にいた。
わたしにできることもなにがしかあるだろう精神を奮い起こそう!ともぞもぞしていたが、関係者のBabyが私と遊んでくれたおかげでかなり素のまま参加できた。
企画の説明がされる。テキストに登場する議員のうち誰を読むかのくじを引いた。
それぞれの役名の氏名標の前の椅子に座る。
伊勢佐木、弘明寺、戸部…なんだかきいたことのある名称。近隣の駅名だ。流石に実名は使えないとのこと。
試しに氏名標を立ててみる。おろしてみる。
立ててみる。おろしてみる。
![](https://assets.st-note.com/img/1735579548-nb87ywSQ4dauJhTzA5lpLoXZ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1735579548-5fdDvQWLeuHgms1R9h4r2k7Z.jpg?width=1200)
(部屋の隅の床で撮影してごめんなさい)
たのしい!!!俄然やる気。
テキストが渡された。
片面印刷で20…数ページだったと思う。
テキストを読むときには間違えてもいいのでゆっくりと、という指示ののち、リハスタート。
そういえばリハだった。
全て読んでみてわかったが、伊勢佐木議員は今回のテキストでの発言が多く、少し、大変だった。
初見のテキストをゆっくり喋ることを意識しつつ、会議の流れを追う。できるだけ他の議員の方をみたいが、言い回しのややこしい部分をテキスト上で確認していると結果みれない。途中から議員をみることを若干諦めた。
伊勢佐木議員は、「私は〜〇〇と思う」という発言が多かった。それを読み上げると、私が伊勢佐木議員の思考や感情をなぞるような感覚があった。感情移入。
ややこしい言い回しや、議員同士の言い間違いの訂正などおかしみがある場面では笑いが起きた。
時間の流れもあるテキストで、コロナ禍に行われた会議ではマスクが実際に配られ、それをつけてテキストを読んだ。また、オンライン会議も行われ、その際にはスクリーンに映し出された部屋にZoom会議の画面の模型が置かれた。
長く感じたテキストは1時間30分?ほどで読み終わった。ここまでが第一部。第二部に入る前に休憩と準備をしながら第一部の感想をちらほらいいあう。
わたしは氏名標をたてたりおろしたりが楽しい!!!と伝えた。テキストではいくつかの会議がまとめられてその前後でたてる、おろすだったのが不満だった。一回の会議ごとにたてたりおろしたりしたいと主張した。
第二部、どんな会だったか説明するのが難しい。
概要は第一部を経て、参加者全員が思ったこと、考えたことを付箋に書き出し、気になる付箋についてトークする。
内容を説明できるほど理解できたものは少ない。
戯曲と考えたときの面白みや社会構造について話していた気がする。
言語化が苦手と誤魔化してきたけれど、私は世界に対する解像度が低いのだと思う。なんでこんなに無知なんだろうと思いながら話を聞き、南京の正しいアクセントの位置はどこなんだろうと考えていた。
唯一話したのは、話題にタブーを感じるのは加害妄想なんじゃないかということと、細やかな配慮や憶測が生まれないから言語が違うほうが話しやすいんじゃないか、ということだった。今になって後者は無責任極まる発言だったなと思う。ふたつともまったく逆の意味なんだけど、でもだけど、同じ言語または異なる言語の話者というだけで思考や文化の幅を決められてしまうとそこからはみ出した発言をしづらい。はみ出した発言に過剰な反応があるんじゃないかと。
(↑ここまでが12/10までにかいたこと、2週間前の私はなにかぐるぐる考えていた。恐らくこれがAAF戯曲賞の志望動機にかいた〈怒り〉の発露ではあったかも、後付けだけど)
(ちなみに第2部が不完全燃焼感のこして終わったあと、本番も来たいですまじに、みたいなことを言って帰った。)
(↓ここからは12/24以降にかいたこと。文章に変化ありそう。投稿するのはいつになるのか、MerryChristmas?)
〈おずおずダイアログのはなし(ミニ)〉
伊勢佐木議員2回目だと思いましたよね。
そんなに長くは書きません。
リハの次の週に参加したので地続きで印象に残っています。
参加者のひとりがおっしゃっていたことが大事だと思ったので、書きます。意訳です。
「以前は、この件に関する自分の体験や抱いている感情の中から誰かに聞いてほしいことをしゃべって満たされていた。感情的に泣くこともあった。この場で自分の話を受け入れられることを重ねて、はじめて、この件について考えて発言・行動してみることができるようになった」
〈伊勢佐木議員2回目〉
12月7日に参加した。
6日が初日だったので、会場に向かいながらSNSで感想を探る。4、5件みつけた。感想書きづらいのか、投稿しよ!となるタイプの参加者ではなかったか、もしかして言語が違う?そもそもキャパが小さかったはず…SNSで勢いがあるようにみえてる劇団って結局関係者と観客側が積極的にSNS投稿する(発信する)タイプだよな。
単純な情報量の差…投稿したくなる魅力の発見…などと考えつつ、かなりリラックスして電車に揺られていた。もう私の役目は終わってる…誰かが読むはずの伊勢佐木議員の発言がどうきこえるんだろう、どうわかるんだろう、わからないのかな。わくわく。
会場は日本語と英語が半々くらいに聞こえた。
少し賑やか。今日は満席だったはず。
清水さんに促されくじを引く。
あ、なんかかいてある。
トリハダがたった。(この時点でまだわかってない)
なんだろうな〜トリハダ。と思っていた。
ひとまず、その日持っていた大荷物を隅に置かせてもらった。
前説含め司会進行は清水さん(日本語)、萩原さん(英語)。
英語、聞くのはわかる、ある程度。読むのもそこそこ。勉強ーーーー
全体がぎり見えるはしっこの暖房にいちばん近い席を選んで座る。
コンビニで買ったコーヒーを暖房の上に置いた。
もうなんかこの2文でわたしの油断っぷりが凄い。促されてくじをみる。
うっすらと伊勢佐木の文字。わたしかーーー
ヒキが強い。
くじで当たったからといって強制ではない(念の為)。譲ることもできる。
譲っ……譲らないことに決めて、でも萩原さんに大丈夫か確認する。大丈夫とのことだった。寛容。
リハに参加していてよかったと心底思った。
2度目の伊勢佐木議員の発言たち。
前回より一生懸命さは減り(いいことなのか?)、少し余裕があったので会議中に考えていたことの記録メモ↓
①くじで選ばれたとは思えない、なんか役に"あってる"面々
②前回は感じなかった、会議の中で「いま、自分(伊勢佐木議員)には同意してくれる人がいる/増えた/減った」「いま、誰も賛同者がいない」という、会議に参加している6人の勢力図(?)の変化の意識。
③②にかいた賛同者がいない状況での発言する際に声出しづらいな、言いづらいなという感覚。しかし、会議だから、彼女は発言をしているから、だったら重心を倒して前のめりになり、よりマイクに声が乗るように発言が届くように、など。
④南京事件の南京の部分の発音、わたしは前の人の発音に寄りがち。
⑤オンライン会議に感動。
⑥水飲むタイミング揃った瞬間に仲間意識うまれた。
⑦この会議で専門的な知識って何か使ったっけ?
今思い出しながら書くよりも、当時のわたしのメモをそのままのせたほうが本当だと思うので、補足はしない。
読み終わった。
1時間20分くらい経っていたと思う。
第2部の前に休憩。
その間に、「伊勢佐木議員がんばって発言していたね」「おつかれさま、がんばったね」などと声をかけてもらった。頑張っていたのだろうか…
伊勢佐木議員のおかげで好感度があがってしまう現象が起きる。
休憩の間に第2部の準備として、
「なんでわたしは□□□なんだろう?」
「Why do/am I □□□?」
と印刷された紙の□□□の部分を各々埋めた。
リハとは違う第2部になる予感。
はしっこの席に戻る。コンビニで買ってきたコーヒーは暖房の上で冷えていた。
第2部は、各々が書いた紙を回収し、最初のくじのようにひき、そこに書かれている他者あるいは自分の、「なんでわたしは□□□なんだろう?」「Why do/am I □□□?」を読み上げる。読み上げられたものは書き出し、スクリーンに反映された。誰かが読み上げた後はなんらかのリアクションをおすすめ(?)された。
おずおずダイアログの問いだしに似ていた。
わたしのなんでわたしはがあなたの口からでる。
はじめて『俺が代』をみたときの裏返るような感覚を期待したけれど、そんなでもなかった。その場での共有。うん。そのくらい。
ひとりひとつ読み上げて第2部は終わった。
終了〜
少しのこっておはなしする。
「日本人はしょうがなく発言する」と言われ、とても良いと思った。例えば、なあなあで〜よりも、しょうがなくのほうがあってる。的確だ。
初日の伊勢佐木議員の様子をきけた。男性が読んだらしい。ききたかった!一部分しかきいていないけれど、そこで感情を表せるのはやはり男性だからではないか?と思った。会議の場でそれは効果的でないのでは…とか。
Babyとも遊べた。彼は私のトランクをつかまり立ちのおもちゃにしていて動き回っていたので、少しハラハラした。
差し入れを渡して退散する。
今年会うのは最後かも、と会場を出たあとに気づいた。でも来年も会うだろうから(謎の確信。こわい)。
そうだ、終わったあとに萩原さんに伊勢佐木議員の氏名標をもらっていいか、いや、欲しいです!と言った。おゆるしがでたので貰った。
その日は東京の知人の家に泊まらせてもらった。
こういう企画に参加してきた!と報告して氏名標をみせた。動かしてみてください!あがるから!などと盛り上がるわたしに「なんだか墓標みたいですね」と返す素敵な知人。
墓標かもしれない。
再演が再演されるまでこれは必要ない。もう使わないから、あんなに寛容に氏名標をくれたのかもしれなかった。
さて、もうあんまり書くことがない。
応答したいと思ってnoteを書き出したのは24日前らしい。いちおう当日に動き出してはいる。
現時点でだいたい五千字になるかならないかの記事にこれだけの時間かけて何をかきたかったのか、24日前の私に問いたい。
手をつけた記事を完成させるために企画を反芻し、思い出す作業の中で、〈怒り〉について考えが芽生えた。それを元に第2回の戯曲/演出集中キャンプの志望動機をかいた。
それが応答になるかもしれませんよ…?
ならないかも。
ってところでどうでしょうか。
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