■流山市の完全理解:新刊『マイナスから出発した流山市の人口増戦略』-真摯に語る井崎市長-
はじめに
以下は新刊Kindle版『マイナスから出発した流山市の人口増戦略』の「はじめに」に記載内容です。
(1)Bad News:人口が減り自治体が消滅する
♦日本の長すぎる低迷
1991(平成3)年2月、バブルが崩壊します。中央政府の財政出動を中心とした対策がとられます。しかし、結果は「失われた10年」「失われた20年」になります。バブルが崩壊した原因の総括とその責任を曖昧にすることで、政策主体の自己改革は進まず、「失われた30年」になります。顧客である住民・国民は、生活向上の機会を奪われ、逆に大きな負担を背負うことになります。
こうして現在は、「激しい人口減」と「744の消滅可能性自治体の発生」が、予測されています(人口戦略会議)。さらに「失われた40年」も噂されます。既得権を好み改革を忘れた主体の惨状です。
♦ 人口減と消滅可能性自治体の発生
前者の「激しい人口減」は、国立社会保障・人口問題研究所が、5年毎に将来人口の推計値を発表する際には必ず「危機」として叫ばれます。最新は「令和5(2023)年推計」です。衝撃的な内容で「日本の総人口は2056年に1億人を割る」と明記されます。
後者の「消滅可能性自治体」は、先の2014(平成26)年に「896の自治体が消滅する可能性がある」と発表され、当時大きな話題になりました(日本創生会議)。
♦目的未達の「地方創生10年の総括」
対策として、同年に「まち・ひと・しごと創生法」を策定し、現在まで毎年当初予算で関連も含めて1兆円から2兆円が計上されます。
2024年6月に「地方創生10年の総括」が公表されます。「人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至っていない」とする総括内容が報道されます。国力の衰退を示す人口減が続き、744の消滅可能性自治体の発生可能性が高まります。
(2)Good News:自立持続可能性自治体65の存在
♦現在は「自立持続可能性自治体:流山市!」
よい事実もあります。それは100年後も若い女性が5割近く残る65の「自立持続可能性自治体」の存在です。
基幹産業がある、企業の進出がある、良好な子育て環境があるなどが自立につながる主な要因です。その中に「そのやり方は他自治体でも活用できる」といった観点から、注目すべき自治体があります。それが流山市です。20年間で市民を約15万人から約22万(2024年)に増やしています(下記書籍参照)。
♦過去は「消滅可能性自治体:流山市?」
その流山市も、実は2000年に入ると、現市長井崎氏が就任前に推計した、「このままでは2006年頃には財政破綻になる」とする危機が、訪れていました。それは、人口減、少子高齢化の進展、その対応の遅れからの危機でした。
当時の流山市は、有力な企業もない、集客できる商業集積もない、知られる観光資源もない、さらに市自体の知名度も低い、関東圏の陸の孤島とも言われた「消滅可能性」のような自治体でした。
♦流山市の「消滅可能性自治体からの脱却劇」そして「自立持続可能性自治体への挑戦劇」
しかし、流山市は、この内外の現実を真正面から捉え、地元の資源を掘り起こし耕し育てる観点から、改革(弱み是正)と発展(機会活用)の経営定石を活用し、見事に現在の人口増と市のブランド化を実現します。
この前半は「消滅可能性自治体からの脱却劇」、後半は「自立持続可能性自治体への挑戦劇」のような流山市の取組には、以下のような他の自治体が活用できる、重要なヒントがあります。詳細は各章で説明します。
①【自己改革】市役所の自己改革を優先している。
②【方法活用】経営とマーケティングといった普遍的でエビデンスの
ある方法論を活用している。
③【地元発掘】地元の資源(強み)を掘り起こし耕し育てる姿勢を
徹底している。
④【構想明示】街ビジョンを描き、市の発展に応じたストーリーのある
街づくりをしている(「母になるなら流山市」→「学ぶ子に応える
流山市」→「子どものそばで働ける流山市」)。
⑤【仕組構築】組織の状況に応じた改革の手順で仕組みを構築している。
(3)井崎市長の「How(どのように)」への着眼
♦市長・職員・市民の成果
流山市では2003年(市民約15万人)に、危機への対応不足の責任が選挙戦で問われ、新しいリーダーが誕生し、危機への対応が始まります。そして21年後の現在は、日本全体が人口減にもかかわらず、驚異的な人口増を実現しています(2024年市民約21万人)。
♦井崎市長の「How」への着眼
この流山市の発展に関して市長の井崎氏は、ひとりで成し得ることではない。市民と接して業務を遂行する部課長と職員の自己改革、その行政活動に積極的に参加する市民がいたからとした上で、次のように語ります。
成功事例(What)の学習も必要ですが、重要なのは、『何(What)をやったのか』に目を奪われることなく、『どのよう(How)にやったのか』に着目し、そこから各地域の特性にあわせた街づくりを行うことが重要です。
本書『『マイナスから出発した流山市の人口増戦略』』でも成功事例(What)の紹介はありますが、主眼はそれをどのよう(How)に行ったかを中心に記載してあります。その方法論(How)を確認し、各地域に適合した「何(What)をやるか」の取組に活かし、「人口減と消滅可能性自治体からの脱却」、そして「自立持続可能性自治体への挑戦」に活用していただきたいと思います(動画参照)。以上の内容を以下の各章で説明します。-終わり-
【目次:『マイナスから出発した流山市の人口増戦略』】
はじめに
第1章:失敗からの危機到来/自治体消滅の危機と流山市の取組
第2章:無名流山市の成功要因/無名で借金も多いマイナスから出発して成功した流山市のManagement&Marketingの威力
3章:成功の方法①【経営(マネジメント)の改革】市政は経営(マネジメント(経営))である
第4章:成功の方法②【マーケティングの改革】流山市の可能性を引き出し伝える
5章:高い評価/流山市の自治体経営とマーケティングの評価と成果
おわりに
(4)動画:新刊『マイナスから出発した流山市の人口増戦略』と既刊『こうして流山市は人口増を実現している』(同友館)の紹介
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