【3】note紙上実践セミナー/動画付:消滅可能性自治体からの脱却講座:市長の自己改革を優先する
1.「自己改革が伴う改革」を避ける市長と職員
■現在の継続には未来はない
「失われた30年」と称される、日本の長きにわたる成果不足とそこからの人口減は、現在の継続では市民の未来はないことを「明確」に証明しています。特に2050年からの消滅可能性が予測される「消滅可能性自治体744」には、これまでの小手先ではない「抜本的な改革の早期の実行」が不可欠です。
■成果不足と人口減の原因は
自治体の成果不足と人口減の原因の1つに、行政組織に地域社会の安定と発展に貢献できる「成果を産出する能力:マネジメント(経営)」が欠落していることがあげられます。
これは、過去何度も、先進自治体の首長、学識経験者、経済界から指摘されてきた課題です。ドラッカーも「公的サービス機関のマネジメント(経営)がなすべきことの基本は、企業のマネジメント(経営)がなすべきことの基本と何ら変わらない、公的サービス機関がマネジメント(経営)を活用して成果をあげることは、マネジメント(経営)に関する最大の課題の1つである(『マネジメント:上』)」とします。
しかし、自己改革が伴う改革には首長と職員は力が入らず、少数の自治体を除けば、結局は元の「前例型の行政運営」から抜け出すことができていません。これが現在の成果不足と人口減に結びついています。
2.改革で優先されるのは、常にリーダーの自己改革
■改革に挑まないリーダーはその役割を辞するべき
成果不足と人口減の原因は「経営力不足」であることは明らかです。それでも、これから26年後の2050年から消滅が予測されている744自治体で、抜本的な改革に挑もうとしないリーダーは、リーダーとしての役割を即座に辞するべきです。
■危機に対応するのがリーダーである
ドラッカーは「幸か不幸か、いかなる組織にも危機はくる。必ずくる。その時がリーダーに頼る時である」とし、そこで必要なのはイノベーション、つまり現状の刷新であり改革であり、そこで必要なことは、どのような環境変化にも対応できる「百戦錬磨の組織」を構築すべきと語ります(『非営利組織の経営』)。
そして「体系的に刷新を行うよう態勢を整えなければならない。その先頭に立つのがリーダーである」とします。
■改革へのリーダーの認識
そのリーダーに必要なのが、改革を成功するための前提である、改革は脅成ではないとの認識です。改革は次の発展を可能にする「機会の発見」です。変化の時代、自己を変えることなく、環境に適応することはできません。リーダーは市民に「自助と共助」を求める前に、喜んで以下の「4つの自己改革」に取り組まなければなりません。
3.リーダーに必要な「4つの自己改革」
(1)「改革ビジョンの提示し改革を宣言し語る」への自己改革
市長の最初の自己改革は、改革ビジョンの策定と宣言です。組織が変化を受け入れるには、まずリーダーがその変化を受け入れ、改革の先に実現すべき組織像を提示する必要があります。改革ビジョンで、①実現すべき改革の概要を明確にし、②リーダーとしての改革への本気度を示し、③現場でその意義を語ります。
(2)市民を創造できる「市民起点徹底」への自己改革
2番目の市長の自己改革は、市民起点への変換です。経営改革は市民のために「自己の成果産出力」を改革し高めることです。よって市長は、改革の内容的にも、何かを決定する際にも、上手くいかなかった時でも、内部の都合ではなく、「市民の観点」から検討し決定します。これが徹底できないと改革は「内部の都合」で遅延、そして運休になります。
ドラッカーは、組織の目的は顧客(市民)の創造とし、顧客(市民)の本音を把握し、それを価値創造プロセスに反映して提案し、「満足する顧客(市民)」を創造せよとします。その創造とは、働く市民の増加(創造)、健康な市民の増加、学ぶ人の増加であり、この積み上げが地域に住む住民の増加(創造)になります。
必要なのは行政組織が「できること」の実行ではなく、顧客(市民)に必要な「為すべき難事」を行政組織が「できるようにする」にするのがリーダーである市長の責任です。市長の内部志向から市民起点への徹底した自己改革が必要で。その具体的な取組は行政組織へのマーケティング導入です。
(3)政治から「経営の責任者」への自己改革
3番目の市長の自己改革は「経営者」としての役割強化です。市長は「地域の安定と発展」を行政組織(市役所)通じて実現する責任者です。よって市役所には社会に貢献できる成果が必要です。これを実現するのが「経営」です。「政治」だけでは組織を健全に機能させることはできません。スローガンだけで終わります。
ドラッカーは「公的組織が成果をあげる上で必要なのは偉大な人物ではなく経営の仕組み」とします(『マネジメント:上』)。市長は肩書きと指示命令で組織内を統括する権力志向から、市民が生活する社会の安定と発展に貢献できる「成果」を産出できる経営の仕組み構築者への改革が不可欠です。市長は経営の専門家です。
(4)肩書きから「範」で人を動かすリーダーへの自己改革
最後がリーダーシップの発揮です。リーダーシップとは肩書きや権力てはなく「範」です。それは市長が「市民増」に向けて、肩書きや権力ではなく、(1)改革ビジョンを掲げて、「範となる考動」と「(3)経営の仕組み」で組織を徹底した「(2)市民起点」のもとで機能させ、同時に職員が活き活きと働ける経営状態を実現することです。市長にはこの実現に向けた永久の研鑽と自己改革が必要です。
以上の市長の4つの自己改革への取組方法は、既に準備されています。後は市長の決断だけです。その決断による自己改革が、消滅可能性自治体脱却の最初の鍵になり(下記書籍参照)、その自己改革の継続が組織(市役所)を変え、地域に市民増をもたらし、行政組織の存在を意義あるものにします。
4.動画:市長の自己改革が脱却最初の鍵になる
以上の内容を動画にまとめました。全体の把握にご活用下さい。
次回(4)は2050年消滅可能性自治体からの脱却「4.脱却に不可欠な部課長の経営力を高める」を予定します。ご期待下さい。す。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?