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大企業で出世する方法(4)出世の王道とは

前回の記事「大企業で出世する方法(3)3つのルート」では、出世にはコースが3のあるという話をしました。それを「基本出世」「ナナメ出世」「ピックアップ出世」と呼んでいます。


企業にもよりますが、3つのコースのうち「基本出世」がほぼ8割以上を占めると思います。


今回の記事では、もっとも一般的で普通の出世である「基本出世」についての王道をご紹介します。


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出世のための3つの基本方針

誰が出世するのか、どんな人が出世するのか、それは、一般論はあっても、絶対はありません。業種や職種によっても違いますし、企業によっても違います。

出世する人の特徴とか、出世のノウハウとか、さまざな記事があると思いますが、あくまでも参考にして、自分自身でカスタマイズが必要です。


と、前置きをして、私も一般論を言わせてもらいますね。


仕事をするにあたって、基本的な考え方はこちらです。

(1)出世を決めるのは自分ではなくて、上司である
(2)上司に自分の状況を知ってもらう(良いことも、悪いことも)
(3)上司を出世させるという視点を持つことで視野が広がる



前の記事にも書きましたが、出世に関する、よくある3つの勘違いはこれです。

(1)与えられたことをきっちりやれば出世できる
(2)とにかく数字を作れば出世できる
(3)斬新なアイディアや画期的な企画を提案できれば出世できる

前の記事を読んでいない方は、読んでみてください。


出世といっても、2段階あります。

一般職から管理職待遇になるという最初の段階と、それから上の段階です。


この記事を読んでいるあなたは、当然、上の段階を目指していると思いますので、最初の段階の説明は、手短にします。


大手企業の総合職として入社した人は、すべて、最初の段階の昇格は織り込み済みだと思います。そのような人しか採用しません。しかし、面接だけでは人物を正確に知ることはできません。そのために一応ふるいにかけるという意味合いです。

また、管理職として部下を使う立場になるので、労働基準法など管理職としての知識も必要となります。これはOJTでは細かいところまでできませんから、試験を課す企業もあります。

ちゃんと仕事をして上司からそこそこの評価をもらい、試験があるのであれば試験を突破することで、最初の段階はクリアできるでしょう。


では、これから、次のステージの話になります。
まずは3つの基本方針について説明します。

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三つの方針とは

  1. 出世を決めるのは自分ではなくて、上司である

  2. 上司に自分のことを知ってもらう

  3. 上司を出世させる

この3つです。

では順番に解説していきましょう。


(1)出世を決めるのは自分ではなくて、上司である

自分で出世のMyルールを作って、自分でその努力をしてはいけません。これは独りよがりです。

3つの勘違い(前の記事)を読んで理解すれば、わかってもらえると思います。


「基本出世」は、ほぼ、上司の評価で決まります。


例えば、あなたが係長で、評価する上司が課長だとしましょう。

普段のあなたの仕事ぶりを見ている課長があなたの評価をするわけです。企業にもよりますし、上司にもよりますが、評価というものは必ず好き嫌いがつきます。

あまりにえこひいきな評価ではまずい、ということで、二次評価者が設定されている企業が多くあります。


例えば、課長の上の部長が二次評価者になります。

部長は、1課の課長は部下に甘く、2課、3課の課長は部下に厳しいと思えば、補正したりするのです。


ここまでが、評価です。


最初の段階の昇格は、評価を中心に機械的に行うこともありますが、高い職位はそうはいきません。昇給にともなう人件費の問題があるので、昇格人数の枠はある程度決められていますし、ポストの問題もあります。


人事評価を元にして、部長や人事部が入って人数やポストなどの調整します。もちろん、3次的な評価をすることもあるでしょう。

こうして、高位の職位への昇格が決まっていきます。


昇格のための母集団に入るにはどうしたらいいのでしょうか?


そうです。最初の入り口は「上司の評価」なのです。上司が変わっても、それほど評価の基準は変わりません。どういう人が出世していくのか、見ればわかると思います。

企業によっては人事考課表を公表しているとこともありますので、その場合は内容を一応は把握しておきましょう。下の段階では減点方式の場合もありますが、上位職であれば、それほど気にしなくても良いと思います(原則)。

とはいえ、多少上司によって好き、嫌いはあります。
中には、好き嫌いだけで決まるところもありますが。


学校教育の延長では「自分の課題を提出し点数をつけてもらう」ことが評価です。そのような考えで、課題つまり仕事のノルマに対して全力投球だけだと、少しずれてしまいます。

上司は課題や成績だけではなく、「人物を評価する」からです。

もっとも、営業成績だけで評価される風土の部署もあります。
そのような職場では、それを優先すれば良いでしょう。


よく「上司が自分のことを分かってくれない」という人がいます。
企業の立場から言えば、あなたこそ、上司のことを分かっていないのです。

会社はもともと、上から命令が下りて来る仕組みです。原則的に、上をわかっていなければ、組織人としてNGなのです。


もちろん悪い上司や悪い風土の組織もあります。しかし、それは出世とは別の問題です。出世するのであれば、まずは、会社を、組織を、上司を理解する必要があります。

顧客や同僚を理解して、会社の利益を少なくする人は残念ながら出世できません。これが現実です。

悪い風土を批判したくなる気持ちはわかりますが、それで出世を諦めてはいけません。出世すれば、悪い風土を変えるあなたの力も大きくなります。


出世を目指すのであれば、「上司はどんな人を評価するだろう?」と考えて、上司から評価を得ることが、最初の一歩です。

評価を受けた後「実際に、どんな人が出世しているのだろう?」と考えて、そのような人物になり幹部に選んでもらうことが「基本出世」の次の一歩になります。


「基本出世」をまとめると、今の企業の価値観の中で、「評価され、選んでもらうこと」です。


繰り返しますがポイントは、「出世は自分で決めるのではなく、選んでもらうこと」です。

自分の仕事ではなく、上司を見てください。実際に出世した人を見てください。気をつけないと、独りよがりの努力になってしまいます。


太鼓持ちとか、ごますりと言うように、上を見ている人が出世していくのが世の常です。露骨にやれとは言いません。露骨であれば敵も作りますから。しかし、上司に、会社に選んでもらえるような努力は有効なのです。

企業が利益を上げるために、「顧客にとって不利益になること」「従業員にとって嫌なこと」でも、それをやる社風であれば、正論を言っても残念ながら基本的には無駄です。
あなたに特別な才能と行動力があれば、会社と顧客、従業員を両立させる施策を実行するのはアリですが。


社内の価値観が急に変化することもあります。「今まではこのような人が出世してきたけれど、最近は、あのような人が出世してるな」ということもあるわけです。

価値観の変化は通常時は非常に緩やかで、気がつかないものです。ときどき、見直すことは必要です。


出世することと自分の倫理観がずれている場合、大きなストレスになります。この対処の方法はいずれお話ししますね。
今回は、出世のお話しですから。



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(2)上司に自分の状況を知ってもらう(良いことも、悪いことも)


仕事の基本は報連相などと言われます。

仕事を円滑に進めるためだけでなく「出世にも効果」があります。


同じレベルの能力であれば、よく知っている人の方が評価が高くなるものです。物事を頼む場合でも、よく知っている人の方が頼みやすいものです。


一方、「仕事はしているようだが、普段がどんな様子なのかよくわからない」という人は、積極的に良い評価にも悪い評価にもならず、当たり障りのない評価になるものです。そして、なにか重大な仕事や、新しい仕事を割り振るときに、仕事ぶりをよく知らない人に頼むことはありません。当然、出世の話は回ってきません。


多少できが悪くても、ちゃんと報告がある人の方が頼みやすいってこともあるのです。上司には責任がありますので、ブラックボックスになることを避けたいものです。


少し前では、タバコ部屋の仲間の方が出世しやすいとか、ゴルフ仲間が出世するとか言われたことがあります。その背景として「知っている人の評価が高くなる」「知っている人に任せたくなる」という意味合いがあるということです。
だから、タバコを吸えとか、ゴルフをしろとは言いませんよ。あなたのことを知ってもらうことが必要なのです。


ポイントは、上司が知りたい情報を、適切な時間に提供することです。結構、難しいことです。忙しい時にくだらない話をしたら鬱陶しがられます。
自慢ばかりの情報を入れるのもNGです。メッキはすぐ剥がれますし、同僚からの冷たい視線を浴びることになるでしょう。


あなたを知ってもらうためには、あなたは上司を知らなければなりません。上司は、「今、何に関心があるのか」「どんな責任を負わされているのか」「どんなことが起きると困るのか」「今、忙しいのか、暇なのか」いろいろ考えなくてはなりません。


最近ではコミュ障と言うように、コミュニケーションを苦手とする人が増えています。

これがコミュニケーションの奥深さです。メールで指示され、言われたことだけをやる、これでも、コミュニケーションですが、ある意味では最低限かもしれません。

そのような人は「作業のレベル」で、「仕事のレベル」には上がれません。当然、将来の幹部にはなれません。

自分のことを伝えるには、相手のことを知ってからでないと、伝わりません。コミュニケーションが苦手な人ほど、積極手に機会を増やし経験を積む必要があります。

出世のために、格好つけるのではなく、自分をさらけ出すくらいで良いのかもしれません。




(3)上司を出世させるという視点を持つことで視野が広がる


上司を2種類に分類してみます。さらに上を目指しているのか、当たり障りなく過ごしたいだけなのか?

上司のタイプによって、喜ばれる部下の行動も変わってきます。

上司が出世したいタイプであれば、あなたは上司が出世できるように上司の視野に立って会社を眺めてください。

残念ながら、あなたは、部下のニーズに応える時間よりも、上司のために時間を使う方が出世しやすいのです。

理想の上司像としては、部下思いだったり、顧客を大切にしたり、誠実だったりでしょう。しかし、部下思い、顧客志向、誠実な人が出世するわけではありません。

会社は利益を追求する組織です。
経営層は「どのように利益を追求するのか」「市場の変化に対してどうしていくのか」、その方針を決断します。部署はそれをどう、具体的に実行するかが問われます。

「間違った方針だから、仕事をやる気にならない」。そう思うのは、人として当たり前ですが、出世のためなら、正しい方針を打ち出して認められるか、間違った方針をやるか、どちらかです。
正しい方針を打ち出すのは、場合よって、いや、ほとんどの場合は、煙たがられるでしょう。上司の状況をよく見ないといけません。


何れにしても「上司の視野に立つ」ということは、いずれ出世したときに、自分のためにもなります。

一方、

  1. 自分の仕事をキッチリこなす

  2. 部下に仕事を分かりやすく教えてあげることができる

  3. 部下受けが良い

  4. 同僚をまとめることができる

これらの能力は「現状の職位にぴったりの能力」です。


現場のスキルは、できるのが当たり前です。あるいは、できなくても、もう一つ上の視野がある人が出世すべきです。いい人ばかりの組織が、大きな利益を出す組織にはなり得ません。

出世を目指す上司の下にいつのであれば、
「上司の実績を作る」「上司に経営層に受ける施策を提供する」。それくらいの意気込みが必要になるでしょう。



〜今日はここまで〜

出世するのは、いろいろ大変です。
企業の風土によっては、良心の呵責に悩むケースもあるかもしれません。その場合、多くの人は家族のために心を殺して頑張ってしまいます。

それがいいのか、悪いのか、判断するのは自分自身です。
「出世してから、良い風土に変える」と、思って頑張るのも一つの手です。

出世が全てではありません。
この記事は、出世を目指す人のために書いていますので、聞きたくない話もあったでしょう。
個人的には、ぼくは好きではありません。みんなに優しい世界ができるのなら、そちらに賭けたいです。

そんな会社から逃げるのも一つの方法ですが、それは、基本出世以外を検討してからにしてくださいね!(次の記事をお待ちください)


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