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双子の姉妹


木曜日の朝。‬
レースのカーテンをひろげて窓辺から射し込むやわらかな陽だまりを眺めている。‬
移り住んで三巡目の春となるこの部屋が、いまはぼくを守り、癒やしてくれる。‬

物件選びでは敷地内にほこらがあることを迷っていたが、‬
‪家主さんらしき方がいつも手入れされていて、‬
‪毎日手を合わせて出かけ、帰宅する習慣がついたのは幸いなことだった。‬‪

*‬

昨年の元旦に、‬
‪この部屋は引っ越し前からすでにぼくを待っていたのかも、と受け取れることがあった。‬

その日届いた年賀状の差出人におぼえのない夫妻の名前が一枚。‬
‪笑顔を向けた晴れ着姿の姉妹の写真がプリントされて、‬
‪「元気にしてる?うちの双子は4月から小学生になるよ〜!」と黒のマジックで書いてある。‬

しかしそれは、‬
‪ぼくと同じ苗字の女性名に宛ててのメッセージなのだった。‬

この部屋の前の住人なのだろうか。‬

異なる苗字なら、宛先の部屋番号が同じでも配達はされないだろうし、この年賀状をぼくが受けとることはなかったはずだ。‬
こうしたことは不動産に尋ねたりしても守秘義務があるし教えてはくれないだろう。‬

逸る想いがあって先方にはお返しの年賀状でこの件を伝えたけども、訝しがられてはしまいかとあとで反省をした。‬



数ヶ月経って、近くの総合病院から同じ宛名の女性にまた郵便物が届いた。‬‪

もしや「彼女は変更届けが出せないままだった」のではないか?‬

誤配達です。
こちらの住所にこの宛名の方は現在居住されていません。



記入した付箋を貼り、

ぼくはポストにそれを投函した。






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