【ソニックブランディング】騒音: 大音量は文化遺産を破壊する
今回、1つの重大な問題を定義する。それを改善すれば、日本は世界一の観光大国になる一歩の手助けになるだろう。
日本の良さを引き出せると確信している。
現代日本の音風景
昔、河口湖の紅葉を見に行った。とても素晴らしくて感動した。
しかし、近くで営業していた出店が、大音量でアイドルの曲を流している。
一瞬で、その場所の風情が失われた。
まず前提として、日本では公共の場でのBGMやサウンドデザインが過剰に使用されている事実がある。
都市を歩いていると、流行の音楽が無差別に流れていたり、お店に入ると大音量のBGMが繰り返し鳴っていたりする。
また、ニュース速報、台風情報、ミサイル警報から、公共の場でのアナウンスやサイン音まで、日本ではさまざまなサービスで音が使用されている。
一方、逆に無音が良いわけでもない。
音を活用することは、マーケティングやブランディング、そして都市デザインの重要な一部である。
そして、人間は無音を嫌う。間を長く感じストレスになったり、方向感覚が掴みづらくなり不快になる傾向がある。
結論を言う。
サウンドデザインを広義に考え、相互サービスとの物語を考えながら、総合的にデザインするべきである。
サウンドデザインは、国や都市デザインにおいて重要な要素であると考えている。
なので、タイトルにつけた「日本」というワードを使用したのだ。
国が取り組むべきプロジェクトであると信じている。
大音量
まずは、最も大きな問題について書いてみる。
だが、解決するのは簡単である。
BGMに関する最大の問題は、音量です。
大音量でクラシック音楽とロック音楽を聴き分ける実験を行った結果、音楽のジャンルを区別することができないだけでなく、どちらの曲かも識別できない結果が出た。
大音量は、音楽そのものを変質させ、かえって騒音となる。
さらに、大音量は人の健康に害を及ぼし、まるで見えない悪性ウイルスのようなものなのだ。
大音量は全てを無力化する。
適切なBGMを選んだとしても、音量が大きければ逆効果になり、好きな音楽さえも騒音に変わってしまう。
まず、お店のコンセプトを考慮し、適切な音量設定を行うことが重要である。高級レストランと大衆居酒屋では、BGMの音量は異なるはずだ。
BGMの選曲は難しい側面があり、明確な正解は存在しない。
しかし、音量調整は誰にでもできる。
だからこそまず試してほしい。
音量設定のポイント
とにかく、お客目線になって考えてほしい。
この音量なら会話の邪魔にならないのか?
この音量ならお店に入りやすいのか?
徹底的にお客目線になって考えてほしい。
「もし自分がお客だったどうなのか?」
音量は周りに影響を与える。
BGMが大きければ、会話の声も大きくなる。
隣のテーブルの会話が大きければ、自分たちの声も大きくなる。
掃除機の音でテレビが聞こえなければ、テレビのボリュームを上げる。
このロジックによって騒音が生まれる。
例えば、渋谷の交差点の周りは大音量だらけだ。
車の音、電車の音、工事の音。
その音に負けないように、人々は会話し、お店は大音量のBGMでお客を誘致する。
物語を考える
すでに結論を書いてしまったが、もう少し詳しく説明する。
自分のことだけを考えないでほしい。
自分のお店はどんな場所にあるのか?
そこにはどんな人がいるのか?
お客は何をしたいのか?
従業員はハッピーなのか?
場合によっては、大音量がマッチする状況もあるだろう。
まずは、最適音量を主観で決めないで、環境、人、デザイン、時間帯、など総合的な物語として考えて、決めてほしい。
次回は、第二の問題、「最適な選曲」について書いてみる。