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【高校物理】共通テスト対策 2025

受験生が苦手としている問題は,
図形的な要素が絡んでくる(作図が必要・束縛条件など)
相対速度,相対加速度(観測者を自分で設定する)
1本の式を立てただけでは解けない(二層構造)
定義(用語,関係式)を知っていないと解けない
いつもと異なる設定,問われ方である(ひっかけ)

一昨年,昨年に引き続き,今回も上記の問題を集めてみました。
今年は,取り上げる問題を,
西暦2000年以前のセンター試験・共通1次試験の追試・本試の過去問
を中心としました。何となく…では解けない問題ばかりです。
どの問題からでも解くことができます。
興味のわいた問題だけでもいいので是非解いてみてください!

注: 𝕏(旧ツイッタ)に投稿してから,できればその日中に note にも投稿(追加)していく方式をとりました。
全8回(力学2回,電磁気2回,波動,熱力学,原子物理,小問集合)です。


マナブ


【共通テスト対策 2025】その1 力学1
(力積と運動量・力学的エネルギー保存
   ・万有引力のはたらく運動)

問題1: 1990年追試,問題2: 1988年本試,問題3: 1995年追試

力学問題を苦手としている人は「図(絵)」を描けない傾向にある
これが私の結論です。
仮に図(絵)が描けたとしても,
絵が小さすぎる,正確でない,細かい所にこだわりすぎている…
というのも問題です。
共通テストの問題は,ほとんどに図がついていますが,
それは「はじめの状態の図」であることが多く,
「次の状態の図」は自分で描く必要があります
問題1を解くときには,必ず「次の状態の図」が必要です。

問題2は,計算をしていく過程で規則性に気づけるように
問題が構成されています。二層構造問題の連続です。

問題3は,実際の問題では,この小問の前に3問の小問があり,
運動エネルギーの式変形に気づけるようになっていましたが,
その小問を削除して,二層構造問題としました。


【共通テスト対策 2025】その2 電磁気1
(線型加速器・回路中のコイルのふるまい)

問題1: 1987年本試,問題2: 1994年追試

【問題1】は「荷電粒子の加速」をテーマした問題です。
はじめはイオン1つに着目して議論を展開していますが,
問4ではイオンの「集団としての運動」を考えさせています。

【問題2】は,回路中のコイルのふるまいを考えさせる問題です。
最後の問題は,
入試ではグラフを描かせることはまずありませんが,
解答・解説で述べたことをふまえて選択できるようになろう。
「なぜコイルがあると,電流が連続的に変化するのか?」
疑問を持った人は,下のリンク先を参照してください。
https://x.com/manabu_physics/status/1419765329383673857


【共通テスト対策 2025】その3 力学2
(リサジュー図形・分裂前後の運動の比較)

問題1: 1987年追試,問題2: 1981年本試

問題1は,初期条件に注意をして解こう。
リサジュー図形(互いに直交する二つの単振動を合成して得られる
平面図形のこと)は,私大・二次試験では見かけますが,
一次試験では珍しい。

問題2は「考え方・式の立て方に焦点を当てた問題」のひとつです。
それは次のような問題です。
・より計算量が少ない解法がある(対称性に注目する)問題
・「使用できる物理量」を選択肢で予め確認しなければならない問題
・保存則が成り立たないときの対処が必要な問題
・1本の方程式を解くだけでは答えにたどり着かない二層構造の問題

1981年の共通1次試験本試験(理科2科目で120分)は大問4問で,
第1問目はA問題とB問題に分けられていました。
問題2はそのB問題として出題されたものです。なかなかの分量です。
第3回目の共通1次テスト,まだ手探り状態だったのでしょう。


【共通テスト対策 2025】その4 電磁気2
(コンデンサの充電放電時の電流値
 ・金属板を挿入したコンデンサ)

問題1: 1988年追試,問題2: 1988年本試

電気回路問題を2問。
問題1は,コンデンサの充・放電を扱った問題。
充電が始まった瞬間および充電途中にコンデンサに流れる電流を求めます。
最後は「LC振動回路」も登場します。
旺文社の全国大学入試問題正解で《やや難》の評価をされた問題です。

問題2は,受験生が苦手としている「中身の見えるコンデンサ問題」。
電気容量(静電容量)の式は必須です。
問2は,実際の電荷の符号がどうなるかを考えなくても,
電荷保存則とキルヒホッフ第2法則の連立方程式を解いた結果,
それは明らかになります。
機械的に解けるようになろう。


【共通テスト対策 2025】その5 波動
(二点波源問題・ドップラー効果・概算)

問題1: 1992年本試,問題2: 2000年追試

問題1「二点波源問題」
問われているのは「概算」です。
だいたいの値を見積もる,というのは計算だけのことではなく,
これは「大まかな図を描く」というタイプの問題です。

問題2「ヤングの干渉実験」「ドップラー効果」
ヤングの干渉実験の問題は,
与えられた近似式を使わなくても光の経路差は求められますが,
近似式を利用した解法もマスターしよう(記述対策)。
ドップラー効果の問題は,
問題1と同様「概算」がテーマになっています。

波動問題は,
ここで取り上げた問題以外にもたくさんの設定のパターンがあります。
ポストの中では「光波」について紹介しましたが,
「波動」全般について,
気になる(確認しておきたい)設定の問題があれば,
下のリンク先を参照してみてください。
https://note.com/manabu_physics/m/mcd97dd3b73bb


【共通テスト対策 2025】その6 熱力学
(気体の分子運動論・気体の状態変化)

問題1: 1990年本試,問題2: 1992年追試,問題3: 1985年追試

問題1
力学と熱力学が融合する問題です。
力積 𝑰=𝑭・𝒕 において,𝒕=𝟏 のとき 𝑰=𝑭
すなわち,単位時間あたりの力積=力 です。
問題2
小問集合。符号に注意です。
「気体がした仕事」か「気体がされた仕事」か,ミスをしないように。
問題3
どの物理量が一定であるのかに注目をして,
「状態方程式」「熱力学第 𝟏 法則」を立てていきます。
熱力学は力学ほど解法の選択肢はたくさんありません。


【共通テスト対策 2025】その7 原子物理
(原子核の崩壊・半減期・中性子の発見)

問題1: 1987年本試,問題2: 1990年追試

「原子物理が一番面白い」そう言ってくれる生徒が毎年います。
それは,他の分野ではあまり味わえない
「このあとどうなるんだろう?」
という物語(歴史)があるからだろう,と私は考えています。
科学者の失敗,考え違いの数々…
その後,現象をうまく説明できる仮説が登場し,
他の実験でもその仮説の正しさを裏づける証拠が現れます。
その繰り返しが面白いのでしょう。

原子物理は19世紀末~20世紀初め頃からの物理学史です。
問題2の中性子発見から約10年後には,太平洋戦争が始まります
科学の大発見が戦争に結びついていく。
科学者は自分の意思に関係なく,戦争に関わっていくのです。

注:
2つめのポストのリンク先について。
添付ファイルの題名が【熱力学総復習】となっていますが,
もちろん【原子物理総復習】です…。訂正します。


【共通テスト対策 2025】その8 小問集合
(組立単位,電磁波の種類,熱効率)

問1: 1980年本試,問2: 2018年追試,問3・4: 2017年追試
問5: 1993年本試

小問集合は,すぐに頭を切り替えなければならない難しさがあります。
一つ目の選択肢が明らかに答えだと分かれば,
以下の選択肢を見ない勇気も必要です。
また,ひっかけ問題も考えられます(個人的には好きではないですが)。

では,この問題の解説を読んで,共通テストに臨んでください!


以上です。
全力が出せるよう,祈っています。

マナブ


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