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【高校物理】波動分野「波の性質」 <改訂版>
波(波動)とは,「エネルギーが振動として伝わる現象」です。
例えば正弦波は媒質が単振動しているので,
媒質の動きは力学の言葉で説明できるのですが,
波動現象として見ると,干渉,回折,屈折など,
力学現象とは大きく異なるものが多くあります。
まずは,波(波動)の一般的な性質を,入試問題などを解きながら押さえ
ていき,後の講義で,
具体的な波(波動)の例として「光波」や「音波」のふるまいについて
学んでいきましょう!
(それぞれの一連のツイートの後に,
そのツイート内で取り上げた問題&解答解説をまとめた
PDFファイルを添付しておきました。
こちらも是非活用してください。)
【波の性質 その1】
「波の基本式」(講義・例題)
長崎大学(1987年) 過去問解説
波動分野で一番重要な式は何か,
と問われれば,私は「波の基本式」とこたえます。
「波の基本式」は,
波に関する物理量(波長,振動数(または周期),速さ)の関係式
という意味だけでなく,
波が等速運動であるという事実も含んでいるのです。
この長崎大学の問題の中で出てきた
「横揺れ固有周期」について調べてみると,
船長は船が共振を起こさないように,
航路を選んでいる(わざと遠回りするなど)ことが分かりました。
参考URL:
https://www.piclub.or.jp/wp-content/uploads/2019/04/ロスプリベンションガイド-Vol.45-Light_4.pdf ( 2023年4月1日 最終閲覧)
また,船だけでなく建物にも固有周期があるので,
巨大地震の時の建物の揺れ方に違いが出ることも分かりました。
参考URL:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/choshuki/choshuki_eq1.html
( 2023年4月1日 最終閲覧)
【波の性質1】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 31, 2023
波の基本式(講義・例題)
「波(波動)」分野の基本から説明(講義)をし,入試問題などで演習を重ねていきます。添付ファイル(4枚)の前半は講義,後半は長崎大学の過去問(1987年)です。
波長を 𝝀 とするのは「アルファベットの 𝑳 (= Length)にあたるギリシャ文字が 𝝀 」という説あり。 pic.twitter.com/6l4qWs9N2W
【波の性質1】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 31, 2023
(解答・解説)・(参考)
動く船から見ると,波の速さ,周期,振動数は元の値とは異なります(→ドップラー効果)。
(参考)では「横揺れ固有周期」の情報を少し。固有周期は建物にもあります。巨大地震の時,地域によって被害を受ける建物が異なるのは,この固有周期が原因の一つです。 pic.twitter.com/WybPuVSR9k
【波の性質 その2】
「慣性系・非慣性系 波に乗って波を観測」
(講義・例題) 立教大学 過去問解説
波動分野の入試問題で,
力学分野の知識を必要とするものが少なからずあります。
下の立教大学の過去問は,そんな問題の一つです。
「難問題の系統とその解き方」という本があります。
その本の問題の中で,これが生徒から一番質問の多い問題です。
そして,私はその本の解説に不満があります。
なぜその式を立てるかという必然性が見られない解説だから。
問3の解法のポイントは2つ
1.観測者の座標系が「慣性系」(慣性力がはたらかない)。
ただし,その座標系での速度は相対速度で求め,
力学的エネルギー保存則を立てる。
2.波の基本式から 𝒄 は 𝝀 で表せるが,
𝑻 が 𝝀 や 𝐜 の関数である可能性に注意する。
【波の性質2】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 3, 2023
慣性系・非慣性系 波に乗って波を観測
(講義・例題)
添付ファイル(4枚)の前半は「慣性系・非慣性系」の講義(力学範囲),その講義の内容をもとに後半の立教大学の過去問を解いてください。慣性力は,観測者が加速度運動することによって生じる力です。観測者の立場を明らかにしょう。 pic.twitter.com/cNMV5cHwoa
【波の性質2】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 3, 2023
(解答・解説)
教科書を注意深くみると,横波の例として水面波は出てきません。どの教科書も参考(またはコラム)として「水面に伝わる波は,横波でも縦波でもなく,水の各部分は,鉛直面内で円運動に近い運動をしている」とあります。実は,媒質は非常に複雑な動きをしているのです。 pic.twitter.com/Qeq1MQjcxu
【波の性質 その3】
「波の強さ」(講義・例題)
岐阜大学(1995年) 過去問解説
波(波動)とは,「エネルギーが振動として伝わる現象」です。
正弦波は媒質が単振動しているので,
波のエネルギーには単振動のエネルギーが関わってきます。
単振動の復習も兼ねて,
例題の岐阜大学の過去問(1995年)<改題>を解いてみてください。
【波の性質3】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 5, 2023
波の強さ(講義・例題)
正弦波は媒質が単振動しています。単振動のエネルギーが波のエネルギー,「波の強さ」につながっていきます。添付ファイル講義の後の岐阜大学(1995年)の過去問を解こう。波のエネルギー(波の強さ)は何に比例するのでしょうか。 最後は音波の振幅の数値計算です。 pic.twitter.com/U7JxugpJTH
【波の性質3】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 5, 2023
(解答・解説)
音波の振幅は「ナノレベル」すなわち「分子レベル」。その振動を耳はとらえることができるのです。しかも,目が振動数405~790THzと,せいぜい2倍の振動数範囲の可視光線しかとらえられないのに,耳は20~20000Hzと約1000倍の範囲の音を聞けることは興味深いんやねぇ。 pic.twitter.com/ri7UYyOhqs
コラム:「ピコアミノ酸」
音波の振幅がナノレベルであるということで,思い出した話がありました。「ピコ・アミノ酸」です。10年前の話なのですが…。
下のツイートを読んでください。そして,私の妥協案も是非!(笑)
【ピコ・アミノ酸】(10年前の話)
— マナ物理 (@manabu_physics) September 15, 2020
ラックス(Lux)というシャンプー。パッケージにこう書いてあった。
「ピコ・アミノ酸配合」
これだけだったら「ふ~ん そうなの」と見過ごすが,そのピコ・アミノ酸なるものの説明もあった。
「ナノサイズよりも小さいアミノ酸。高い浸透性で,髪の奥まで浸透する成分」 pic.twitter.com/LjClh5CgY6
【波の性質 その4】
「横波・縦波のグラフ」(講義・例題)
波(波動)は大きく2つに分けられます。横波と縦波です。
これらは,媒質の振動方向と波の進行方向との関係で定義されます。
縦波を縦波表示のまま理解するのは難しいので,
「縦波⇒横波変換」を行います。
変換の仕方は毎回同じです(左向きに進む波であっても)。
「横波⇒縦波変換」もマスターしよう!
【波の性質4】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 8, 2023
横波・縦波のグラフ(講義・例題)
添付ファイルは横波・縦波の説明と例題。横波とは,波の進行方向に視線を向けたとき,「垂直(横方向)」に媒質が振動している波。縦波は「平行(縦方向)」です。波形のグラフ(横軸 𝒙 )はある瞬間を写真におさめたと考えられます(時間が止まっています)。 pic.twitter.com/HEgdpdPhc0
【波の性質4】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 8, 2023
(解答・解説)・(オマケ)
必ず絵を描きながら考えよう! 最後,オマケのページ(豆知識)を入れておきました。「魚の横縞・縦縞の謎」については,釣り人が魚を釣り上げたときの魚の見え方だという説があります(諸説あり)。
疑問:阪神タイガースの選手のユニホームは,本当は横縞? pic.twitter.com/zEB1GcDw7N
【波の性質 その5】
「縦波(疎密波)」(講義・例題)
信州大学(1987年) 過去問解説
鹿児島大学(1997年)<一部> 過去問解説
「縦波⇒横波 変換」はもちろん重要なのですが,
縦波を縦波表示のまま分析できる力も必要です。
信州大学の過去問(1987年)を解きながら,
縦波の波長や振幅を,縦波のグラフから読み取る練習をしましょう。
鹿児島大学の過去問(1997年)の一部も載せておきました。
是非,自分の答案をつくった上で解答・解説に進んでください。
そして,この問題に関連した「常識を覆す観測結果」も紹介しています。
興味深い事実がここで明らかになります。
【波の性質5】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 10, 2023
縦波(疎密波)(講義・例題)
添付ファイルは縦波(疎密波)の説明と信州大学の過去問(1987年)。鹿児島大学の過去問(1997年)の一部も紹介しています。縦波は,媒質の変位の様子が分かりづらいので,横波に変換することが多い。
教科書に書いてあることが変更される可能性にも言及しました。 pic.twitter.com/GDyWZ9aYcF
【波の性質5】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 10, 2023
(解答・解説)
おもちゃ「スリンキー」があれば,この実験はできます。スリンキーは優れもので,縦波も横波もつくり出すことができます(ちなみに,「ウェーブマシン」は,あんなに高価なのに横波しかつくれません…)。
下は(補足)「液体中の横波」のリンク。https://t.co/W4QeJINjBo pic.twitter.com/kdAaFqq1D3
【波の性質 その6】
「縦波(疎密波)」(実戦問題)
千葉大学医学部(2014年) 過去問解説
入試問題を解くことで,縦波の基本を押さえていきましょう!
千葉大学医学部の過去問(2014年)です。
縦波を縦波表示のまま解かせたいときは,
どうしても図が多くなります。
横波のように,複数の時刻の波形を一つの図に入れることができない
からです。
ところで,千葉大学入試問題の出題者,
この問題を20分で解くのも大変なのに,
さらに試験時間を短くするのは止めてください!
千葉大医学部の理科のこの年の試験時間は,
2科目120分(この問題は20分で解かなければならない。短い…)。
2020年,問題の分量は変わらないのに,2科目100分になりました。
何のために試験時間を短くしたのか。
受験生にはじっくりと考える時間を与えてほしい。
【波の性質6】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 12, 2023
縦波(疎密波) (実戦問題)①
添付ファイル(7枚)は千葉大学医学部の過去問(2014年)。縦波の基本を確認しつつ考察させる問題です。媒質の変位を縦波のまま答えさせるのですが,縦波表示は分かりにくいので,一度横波に描き換えましょう。複数時刻の波形を一つの図で表すことができます。 pic.twitter.com/qiTHNOe5Bp
【波の性質6】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 12, 2023
縦波(疎密波) (実戦問題)②・(参考)
添付ファイルの4枚目に【参考】として「音の大きさ(音が大きく聞こえる場所)」について,気になる話題を載せておきました。「変位の振動」か?「密度(圧力)の振動」か? この辺の話を詳しく知りたい人は,下のリンクから。https://t.co/pVsFGWQ2AE pic.twitter.com/DdNoA2p2EF
【波の性質6】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 12, 2023
(解答・解説)
やはり,波動も力学と同様に「図(絵)を描くこと」が重要です。そこは面倒くさがってはダメ。定常波のそれぞれの位置での振幅については,計算で求めることもできますが,入射波(図4)から類推して描くことも可能。𝒅/4 が1目盛であることに注意です。 pic.twitter.com/uloOBwVhR8
【波の性質 その7】
「重ね合わせの原理」(講義・例題)
東京理科大学 過去問解説
「重ね合わせの原理」で説明される現象は,
私は最も波動らしい現象だと考えています。
「重ね合わせの原理」を間違って使っている人も見受けられるので,
東京理科大学の過去問を通して,
作図方法を確認しておきましょう。
「重ね合わせの原理」および「波の独立性」から,
「かめはめ波」の必勝法が見えてきます(笑)
【波の性質7】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 14, 2023
重ね合わせの原理(講義)
添付ファイルは「重ね合わせの原理」の説明と,「作図による自由端反射波・固定端反射波」の手順を示したものです。その後,東京理科大学の過去問で作図の演習をします。選択問題なのですが,実際に手を動かして作図をしてください。最後の問題は《やや難》。 pic.twitter.com/0MTfa8SPd6
【波の性質7】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 14, 2023
重ね合わせの原理(例題)・(参考)
添付ファイル(3枚)は「重ね合わせの原理」を使った東京理科大学の過去問です。4枚目に「波の独立性」と「かめはめ波」との関係についての考察をしておきました。「かめはめ波」は本当に波動なのでしょうか。もし仮に波動だとしたら,その必勝法とは? pic.twitter.com/XIc647czXS
【波の性質7】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 14, 2023
(解答・解説)
三角波の合成は,波が折れ曲がるところで区間分けをすると,結局は線分と線分の足し算となります。それぞれの波の区間の端の変位を合成して,合成した端の 𝟐 点を直線で結べば,合成波のできあがりです。この問題,どの瞬間を時刻の基準とするのかに注意が必要です。 pic.twitter.com/RXHTEpwSKk
【波の性質 その8】
「位相・波の式」(講義・例題)
岡山大学<改題> 過去問解説
波の干渉(強め合い,弱め合い)を語る上で重要な物理量「位相」。
実は,位相を使わず干渉を論じることも可能なのですが,
その説明にはどこかウソが入り込みます。
本格的に干渉を理解したいのであれば,
「位相」は避けて通れません。
物理教員が波動分野で最も教えにくいと感じている
(と私が想像している)のが「波の式(正弦波の式)」です。
なぜそう思うのかというと,2000年代から2010年代に
「波の式(正弦波の式)」が教科書から消えていた時期
があったからです(教えるべき内容から削除されていた)。
2変数関数やからねぇ…。
あれを丸暗記させるのであれば,確かに難しい。
「波の式」は覚えるのではなく,毎回,導き出すのです。
【波の性質8】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 17, 2023
位相・波の式(講義)
「位相」の説明を教科書ではどう行っているのか,代表的なものを示しておきました。その後,波の式(正弦波の式)の【講義】に進みます。今回は「時間差」に注目して導出しましたが,もちろん「位相差」から導くことも可能です(解説の補足に載せておきました)。 pic.twitter.com/wfS0QrJFhN
【波の性質8】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 17, 2023
位相・波の式(例題)・(講義の補足)
添付ファイルは岡山大学の過去問<改題>です。入射波の式を求め,さらに固定端反射波の式も求めます。
【講義の補足】では,「波の式(正弦波の式)」を「波の基本式」を使って変形。さらに,「波の式」の位相に注目して「波の基本式」を導出します。 pic.twitter.com/FPZdpTg27G
【波の性質8】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 17, 2023
(解答・解説)・(補足)
反射板を「反射波の波源」と考えるように誘導がかかっていて,「固定端」の意味を考えさせる問題となっています(入試問題でよくある設定)。また,原点の振動の式から一気に自由端反射波の式が求められることも示しました。(補足)は「位相差」に注目した解答。 pic.twitter.com/F7Ra7SwYPp
動画も観てください! 「位相」をかみ砕いて説明してみました。
「波の式(正弦波の式)の導出」を動画でも行っています。
コラム:「正弦波の式」
「正弦波の式」で思い出しました。
大学生の時の模試採点のバイト。
理不尽な採点基準に憤りを覚えたものです…。
一時期話題となっていた
「新テスト」の採点者に大学生のバイトを採用するかどうか問題。
採点者が正しく理解していても,
基準がダメならばそのシステムは破綻している場合がある
ということは覚えておいた方がいいです。
そうです。
— マナ物理 (@manabu_physics) November 6, 2019
一応、物理学科の学生を集めているはずです。
私もやりました、そのバイト。
波の式(正弦波の式)を答えさせる問題で、コサインで答えたものは❌をしろという指示だったので、なぜですか?とチーフの人に聞いたときの返答がメチャクチャでした。
「正弦波だから」
【波の性質 その9】
「位相・波の式」(実戦問題)
富山医科薬科大学 過去問解説
富山医科薬科大学の過去問で「波の式(正弦波の式)」の導出の練習です。
「ある媒質の単振動のグラフ」から「波形のグラフ」
が描けるようになろう! (逆もできるように,やね)
三角関数が苦手な人用に,途中式も示してあります。
三角関数の公式は覚えるのではなく,毎回導いてもいいね。
大した労力やないよ。
【波の性質9】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 19, 2023
位相・波の式(実戦問題)・(補足)
添付ファイル(3枚)は,富山医科薬科大学(2005年に富山大学に統合)の過去問です。波の式(正弦波の式)の練習問題。単振動のグラフから波形のグラフを描けるようになろう。(補足)には三角関数の公式の導出方法を示しておきました。参考にしてください。 pic.twitter.com/924YJLbyiU
【波の性質9】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 19, 2023
(解答・解説)
ある時刻での波形のグラフを描く3つの方法
・波の式(正弦波の式)を求めて,その時刻の値を代入した式のグラフを描く。
・その時刻の原点の変位を求めて,そこから波形のグラフを描く。
・時刻0での波形のグラフを描き,その時刻までに進んだ距離だけ平行移動させる。 pic.twitter.com/Q0AI5fv2cf
【波の性質 その10】
「定常波の式の導出」(講義・例題)
福井大学(1996年) 過去問解説
「波の式(正弦波の式)」から「定常波(定在波)の式」を導きます。
通常,三角関数の「和積の公式」を使いますが,
少し工夫すれば「加法定理」だけで導出できます。
定常波の式を見ると,位置 𝒙 と時刻 𝒕 が分離されています。
それぞれの三角関数のふるまいに注目してください。
例題の福井大学の過去問(1996年)では,
波の式(正弦波の式)の位相部分をより深く考察していきます。
【波の性質10】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 21, 2023
定常波の式の導出(講義)
波の式から定常波を導きましょう。その際,三角関数の「和積の公式」が必要になるのですが,「加法定理」のみで処理をする方法を紹介しました。定常波の式を見ると,位置 𝒙 と時刻 𝒕 が分離されています。それぞれの三角関数のふるまいに注目してください。 pic.twitter.com/OknKoiKhMg
【波の性質10】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 21, 2023
(例題)・(解答・解説)①
添付ファイル(2枚)は福井大学の過去問(1996年)です。波の式(正弦波の式)の時刻 𝒕 の係数と位置 𝒙 の係数の符号を見ただけで,その波が 𝒙 軸の正方向に進むのか,負方向に進むのかが分かります。その区別の仕方については,問1(1)で考えていきましょう。 pic.twitter.com/EhY7XXV5Gc
【波の性質10】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 21, 2023
(解答・解説)②
「波の式(正弦波の式)」は「波の基本式」もその中に含みます。いや,その波のすべての情報を含んでいるのが「波の式」なのです。「定常波」は「定在波」ともいいます。定常波の式の導出は,加法定理でいいのですが,【講義】の中で紹介した方法を使ってみました。 pic.twitter.com/xbxVL8VOQf
【波の性質 その11】
「定常波の式の導出」(実戦問題)
青山学院大学 過去問解説
「波の式(正弦波の式)」から「定常波(定在波)の式」の流れを
青山学院大学の過去問を解くことで,再度確認しよう。
定常波の「節」(「腹」)が半波長ごとに現れることは重要。
この事実が「2点波源問題」や「弦の固有振動」につながっていきます。
【波の性質11】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 24, 2023
定常波の式の導出(実戦問題)
・(解答・解説)①
添付ファイル(2枚)は青山学院大学の過去問。波の式(正弦波の式)→定常波の式の導出は,入試問題でよくあるパターン。注:3枚目以降は解答・解説です。この問題には解説動画があります。https://t.co/TlNwNAscHihttps://t.co/HMgm5VQdPG pic.twitter.com/d5AGHQhC54
【波の性質11】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 24, 2023
(解答・解説)②
動画では「位相」に着目した問題解説を行いました。参考にしてください。これからは「位相差」で波の式(正弦波の式)が導出できるようにしなければなりません。後ほど講義で扱いますが,2点波源問題,薄膜干渉問題などでも「位相差」を利用した解法を示していきます。 pic.twitter.com/pkKycBFzp7
解説動画もつくってます!
【波の性質 その12】
「二点波源問題<経路差>」(講義・例題)
徳島大学(1993年)<改題> 過去問解説
二点波源問題(波の干渉)をまずは「経路差」で議論できるようになろう。
強め合いの条件や弱め合いの条件は,
その式だけ見たら「呪文」です(笑)
「物理ってなんだか難しいなぁ」と思わせるには,
この条件式を見せればいい。
「物理を知らない日本人にとって,
物理が『呪文』になってしまっている。
『訳の分からないもの』の代表が物理なんだなぁ」
と感じることが多いです。
テレビドラマでの扱い方にそれが現れています(ツイート参照)。
【波の性質12】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 26, 2023
二点波源問題<経路差>(講義)
2つの波がある点に同時にやってきて重ね合わされたとき,その位相差によって強め合ったり弱め合ったりします。この現象を波の干渉といいます。本来であればこの議論は位相差ですべきですが,ここでは「経路差」で説明しています。「位相差」は後ほど。 pic.twitter.com/snJQl0uiSh
【波の性質12】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 26, 2023
二点波源問題<経路差>(例題)
添付ファイル(4枚)は徳島大学の過去問(1993年)です。典型的な二点波源問題。最後に 𝐀𝐁 間に生じている定常波(定在波)の腹と節の振る舞いについての問題を追加しました。ちなみに,水面を伝わる波の速さは水深が同じならば等しい(水深の平方根に比例)。 pic.twitter.com/DjKYezNbkl
【波の性質12】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 26, 2023
(解答・解説)
「校長がかわれば学校が変わる」というドラマがありました。荒れた高校に赴任した校長が改革を成し遂げる物語。初め,崩壊した物理の授業で教員が呟いていたのは「干渉条件」。ドラマ終盤,学校改革後の彼は? 私の興味はそこだけ…,映し出されたのは英会話の授業…。 pic.twitter.com/U6NqRlncnE
下の動画は,二点波源問題の経路差による説明です。
【講義】内容とほぼ同じです。参考にしてください。
【波の性質 その13】
「二点波源問題」(実戦問題)
金沢大学(2011年) 過去問解説
二点波源問題はまずは図を描くことが大事です。
その際,波源間にできる定常波の節と腹を考えよう。
これで解決する問題も多いのです。
この金沢大学の問題は,
腹線上を移動する山の速さについて考察する問題が含まれています。
元の波の速さより速くなるという,
なかなか興味深い結論が出てきます。
【波の性質13】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 28, 2023
二点波源問題(実戦問題)
添付ファイル(4枚)は,金沢大学の過去問(2011年)です。作図,干渉条件,節線の数,腹線上を移動する山の速さなどさまざまな角度から二点波源問題を掘り下げていきます。近似も出てきますが,これは式の上での近似と図形での近似の2つのとらえ方ができます。 pic.twitter.com/trLhUFYRb0
【波の性質13】
— マナ物理 (@manabu_physics) April 28, 2023
(解答・解説)
経路差の大きさは 𝒙 軸上が最大で 𝟐𝝀 です。すると自ずと節線の数も決まるのですが,それは 𝐎𝐀 上の「節」の数を数えれば分かることです。(6)は,波面の移動距離に着目し,微小直角三角形(近似)で解いてもいいのですが,三平方の定理を利用する解法を示しました。 pic.twitter.com/4D6I3lhYQZ
二点波源問題<経路差>(練習問題)
二点波源問題の練習問題です。
PDFファイルは問題&解答で,その下は解説動画です。
【波の性質 その14】
「二点波源問題<位相差>」(講義)・(例題)
名古屋大学(2020年)<一部> 過去問解説
二点波源問題(波の干渉)を「位相差」で議論できるようになろう。
位相で考えると,
同位相波源でも逆位相波源でもどちらも同じ解法です。
(反射が絡んでくる問題でも同じ解法です)
この名古屋大学の問題を通してそれを体感してください。
この問題は「位相」を前面に押し出した内容となっています。
訂正: 2つ目の投稿で「二点波源問題<経路差>」という題名
をつけていますが,これは「二点波源問題<位相差>」の間違いです。
【波の性質14】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 1, 2023
二点波源問題<位相差>(講義)
本来,波の干渉(二点波源問題)は位相差で議論されるべきなのですが,すべての教科書では経路差で説明をしています。同位相(逆位相)の話をしているにも関わらずに,です。ただし,私は何でもかんでも「位相差」で議論せよというスタンスではありません。 pic.twitter.com/olsGLc5Jx2
【波の性質14】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 1, 2023
二点波源問題<経路差>(例題)
添付ファイル(4枚)は名古屋大学の過去問(2020年)の一部。波の位相に焦点をあてた問題です。最後に,二点から出た水波が強め合う角度を求めます。実はこのあと,設問(2)で波源が4点から多数の点へと展開していきますが,残念ながら今回はカットしました。 pic.twitter.com/p88O6cJIv1
【波の性質14】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 1, 2023
(解答・解説)
位相差を利用すると,ダイレクトに,注目している媒質の変位を求めることができます。同位相波源や逆位相波源のときの強め合いや弱め合いの干渉条件もスムーズに立てることができます。イメージをしなくても機械的に問題が解けるという意味では優れていると思います。 pic.twitter.com/t2BulbNsUB
下の動画は,二点波源問題の位相差による説明です。
【講義】内容とほぼ同じです。参考にしてください。
【波の性質 その15】
「個数差 → 位相差」(講義)・(例題)
東京大学(1989年) 過去問解説
「個数差」は途中で波の速さが変化する設定などで有効な考え方です。
通常,「位相差」は「光路差(もしくは 経路差)」から求めるのですが,
【講義】で「個数差」から「位相差」が求められることを示したあと,
例題を解いていきます。
特に,設問Ⅱにはいろいろなアプローチがあります。
解説・別解で紹介した以外の解法も考えられると思います。
【波の性質15】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 4, 2023
個数差 → 位相差(講義・例題)
前回の講義では,「位相差」で干渉条件を考えました。この講義で「個数差」→「位相差」として,議論をさらに進めます。添付ファイルは東京大学(1989年)の過去問。今回扱うのは厳密な二点波源問題ではありませんが,このタイミングで解いてほしい問題。 pic.twitter.com/EGJiBQWrgc
【波の性質15】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 4, 2023
(解答・解説)
「設問Ⅲ」は「波の基本式」を立てて解きます。その際 𝐂𝐃 間を進む波は,どちら向きの波も振動数は等しく 𝒇 です。ドップラー効果(後日,「音波」で扱います)が起こらない限り,振動数は不変です。(補足)で 𝐂𝐃 間に生じる合成波(特殊な定常波)について論じました。 pic.twitter.com/aju9H4PmsD
【波の性質 その16】
「平面波の反射・干渉」(講義・例題)
大阪大学(1992年)<改題> 過去問解説
平面波の反射・干渉は実際に実験をしてみれば
何が起こっているのか分かるのですが,
問題図だけでは,なかなかイメージしづらいようです。
補助線の引き方のコツさえつかめれば,大丈夫!
「節線(腹線)がなぜ,壁に平行に等間隔に並ぶのか?」
元の問題にはなかった問題をつけ加えてあります。
さらに,問題を解いたら分かりますが,
壁に平行な方向に進む進行波の速さは,
元の波の速さを超えています。
これは非常に興味深い。
この平面波が光だったら,それは「光速を超える」
ということを意味します。本当にそんなことが起こるのでしょうか?
(光速を超える現象については,「音波」のドップラー効果で
扱う予定です。お楽しみに~。)
【波の性質16】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 8, 2023
平面波の反射・干渉(講義・例題)
添付ファイル(4枚)は「平面波の反射・干渉」講義。平面波とは「波面が直線または平面である波」。平面波の反射・干渉問題ではいつも同じ作図をします。注目するのは波面で構成された「ひし形」。補助線をうまく引くことで様々な物理量が見えてきます。 pic.twitter.com/T83w1OR4by
【波の性質16】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 8, 2023
(例題)・(解答・解説)
添付ファイルは大阪大学の過去問(1992年)の改題。平面波の反射・干渉を取り上げている問題集は多いのですが,節線(ふしせん)が 𝒙 軸に平行に並ぶことを説明したものがないので,その問題をつけ加えました。その解法は,光波の「薄膜による干渉」と同様です。 pic.twitter.com/32Wu3DVKap
【波の性質 その17】
「平面波の反射・干渉」(実戦問題)
早稲田大学教育学部 過去問解説
平面波の反射・干渉の典型問題をもう一問。
解説動画も参照してください。
最後の2問(問7,8)は,波の基本式にこだわった解説としました。
(別解もあります)
平面波の反射・干渉は,作図をすることから始まります。
波面で構成された「ひし形」に注目すると,
さまざまな物理量が見えてきます。
少し時間を経過させ,ひし形を動かすと,
定常波や反射板に平行に進む進行波の様子もとらえられます。
【波の性質17】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 10, 2023
平面波の反射・干渉(実戦問題)
添付ファイル(3枚)は,早稲田大学教育学部の過去問です(注:4枚目は「解答」)。問6までが平面波の典型問題。問7・8は,反射板を動かしたときの反射波の振動数を考察させる問題です。誘導にのってください(ただし 誘導にのらずに解くことも可能です)。 pic.twitter.com/RAbkjOT9In
【波の性質17】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 10, 2023
(解説)
「波の性質16」で強調しましたが,注目するのは波面で構成された「ひし形」。補助線を引くことで様々な物理量(元の波,定常波,反射板に平行な進行波の波長など)を見い出そう。解説動画もどうぞ。https://t.co/q5GgHiUUCEhttps://t.co/DPWbKUoFduhttps://t.co/TprFqkSkuL pic.twitter.com/Nzho89qDeV
【波の性質 その18】
「屈折(屈折の法則)」(講義)・(例題)
センター試験本試験(2015年) 過去問解説
「屈折の法則」(スネルの法則)の導出がこの講義の目標ですが,
屈折率の定義からていねいに見ていきましょう。
これは,教科書的な「屈折の法則の導出問題」ですが,
いろいろと疑問の残る導出法となっています。
屈折という非常に興味深い現象は,
光波で「プリズム」や「レンズ」に応用されます。
【波の性質18】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 12, 2023
屈折(屈折の法則) (講義・例題)
添付ファイル(4枚)は,波の基本的性質の一つである「屈折」に関する講義。「屈折の法則(スネルの法則)」の導出を行います。「(絶対)屈折率」は本来,「基準となる媒質中での波の速さ」を「注目する媒質中での波の速さ」で割ったものと定義されます。 pic.twitter.com/geCJhOjP0d
【波の性質18】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 12, 2023
(例題)・(解答・解説)
添付ファイル(2枚)はセンター試験本試験の過去問(2015年)。幾何学(図形)的な情報から,「屈折の法則(スネルの法則)」を導いています。最後,屈折率を導入すれば,おなじみの公式が得られます。まったく異なるアプローチで導くことも可能 → 次の実戦問題で。 pic.twitter.com/b58QcUWTbp
【波の性質 その19】
「屈折(屈折の法則)」(実戦問題)
東京大学後期日程(2004年) 過去問解説
「屈折の法則」は,どの教科書を見ても,
入射波の波面(が境界面に触れて)から屈折波の波面(となる)まで
の議論から導いています。
ところが,光波での薄膜の干渉問題などでは,
その間に含まれる入射波と屈折波の波の数が等しい(光学距離が等しい)
ことを「屈折の法則」で説明しているものがあります。
これはおかしな話です。
「屈折の法則」を導出する際の「大前提」が成り立つ理由を
「屈折の法則」に求めているのですから(苦笑)
この無限ループから抜け出すことができるキーワードが
「フェルマーの原理」(1658年) です。
「光がある点から別の点に進むとき,2点間の光学距離が最短になる
ような道筋を進む」
(その後,「光学距離が極値をとる」に修正された。)
(1661年,フェルマーの原理による光の屈折の説明がなされた。)
【波の性質19】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 15, 2023
屈折(屈折の法則) (実戦問題)(補足1)
添付ファイル(3枚)は東京大学後期日程の過去問(2004年)です。「フェルマーの原理」を使った「屈折の法則(スネルの法則)」の導出。教科書的な導出とはまったく異なります。「極値」の考え方が出てきますが,誘導があるのでそれにのってください。 pic.twitter.com/qydzXm0Fow
【波の性質19】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 15, 2023
(解答・解説)(補足2)
𝒙 の2乗の項は,微小量の2乗ということで消えます(1回目の近似)。その後,近似公式を適用することで2回目の近似を行います。これは本来,「微分」を使って議論すべきです(補足2参照)。補足2を読んだ後,補足1に戻ってください。反射の法則の導出です。 pic.twitter.com/EKbx7vLdsK
【波の性質 その20】
「ホイヘンスの原理・衝撃波」(導入・例題)
首都大学東京(2007年)<改題> 過去問解説
「衝撃波」は特別な波のように感じますが,
ホイヘンスの原理で説明できます。
さらに,衝撃波の波面は等速度運動します。
マッハ角について述べたあと,「マナブ追加問題」を用意しています。
私の解答例を超える答案が出てくるのを待っています(笑)
【波の性質20】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 17, 2023
ホイヘンスの原理・衝撃波(導入)
「衝撃波」について,入試問題(+マナブ問題)を通して考察していきます。添付ファイルは5年前の私と理科部のある生徒( 𝐏 君→東大現役合格(文系))との会話文(一部創作)です。入試問題(首都大学過去問)だけ解きたい人は次のツイートに進んでください。 pic.twitter.com/UKKD3zAsHX
【波の性質20】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 17, 2023
ホイヘンスの原理・衝撃波(例題)
添付ファイル(4枚)は首都大学東京(現:都立大)の過去問(2007年)の<改題>です。波に関する基本的な性質の説明から始まり,最後は「衝撃波」に関する考察を行っています。このような「作図を伴う入試問題」がこれから増えていくと私は予想しています。 pic.twitter.com/eb88jxzAqz
【波の性質20】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 17, 2023
(解答および「マナブ追加問題」)
「ホイヘンスの原理」(素元波に共通に接する面は波面を表す)で屈折の法則を導出し,「衝撃波」の波面を描く問題へと続きます。
「マナブ追加問題」はお遊びですが,私自身の長年の疑問を結構マジメに出題しています。是非,トライしてみてください! pic.twitter.com/2x86GaVYNZ
以上です。お疲れさまでした。
マナブ