伝えたいという思いがあれば、言葉なんていらないかもしれない~世界のおばさんは通じ合っている話~
両親とドイツのアウクスブルクという街に旅行で行った時の話です。
アウクスブルクでは、日本人どころか東アジア系の住民、旅行者を全く見かけないので(私たちが訪ねたときは一度も見かけませんでした)、アウクスブルクの住民は日本語には馴染みが無さそうな感じです。
私と父は観光中にトイレに行きたくなり、ドイツのガレリア・カウフホーフというデパートのトイレに行くことに。トイレから戻ると、トイレのすぐ外にいるはずの母がいなかったのでデパート内を探していると、エスカレーター付近にあったアクセサリー売り場で、とりあえず物色している母を見つけました。←おばさん特有
すると、母だけでなく、母の隣に地元のドイツ人らしきご婦人が一緒にいるのを見つけました(ご婦人は店員さんではなく、普通にデパートで買い物している人です)。
2人は昔からの友達ですか!?というような雰囲気で笑い合ってます。
でも、実際、母はドイツ語どころか、英語も全然話せません。
「あれ?どうやってコミュニケーションとってるの?ドイツ人らしきご婦人は、実は日本語ペラペラなん?!」と不思議に思い、軽く近づいて2人の会話をちょこっと聞いてみると...
「母はもちろん日本語」
「ドイツ人らしきご婦人はドイツ語」
お互い、自分たちの言語で話しています。
ご婦人と離れてから、母にご婦人とどんな話をしていたのか聞いてみると...
ここからは母の推測です。
ご婦人
「このネックレスには、このピアスがよう合うよ!しかも、2つ買うと割引になるらしい!」←母いわく、これをご婦人はドイツ語で言ってたそうです。
母
「これ、ツーで割引?でも、私、金属アレルギーだから、これ付けられない!」←母は一応がんばって英語を話そうとは試みたらしいです。数字だけですが(笑)
ご婦人
「あー、アレルギー...それは残念やねぇ...」
母
「ごめんねぇ...」
このような会話を、お互いジェスチャーを駆使しながら、ドイツ語と日本語で5分くらい行われていたようです。
(ちなみに、ドイツ語を話せる友人によると、アレルギーはドイツ語らしいので、母の金属アレルギーのことが、ご婦人に伝わったのかもしれません。)
共通言語があることは、スムーズなコミュニケーションや誤解を招かないためには大切です。そして、共通言語がないと、相手と話してみようとなかなか思えないと思います。
しかし、母やドイツ人らしきご婦人は違います。2人には共通言語がないにも関わらず、果敢にもそれぞれバラバラの言語で会話しています(そして、その会話が成り立っています)。
この姿から、世界のおばさんはみんな通じ合っているということを学んだのと同時に、共通言語がなくても、相手に「伝えたい」という思いがあると相手とコミュニケーションはとれる(場合もある)ということを学びました。
ノンバーバルコミュニケーションを実際に見て、英語教育に携わっている端くれとして、なんだかちょっと嬉しくなる出来事でした。
※ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)とは会話や文字などの言語を介さないコミュニケーションのことでり、言語以外の要素であるジェスチャーや表情、声のトーンなどによりメッセージをやり取りをします。