シンガポールでは小6で受けるテストで人生が決まる!?
日記さんプロフィール:
モデル、タレント、女優。「王様のブランチ」「世界ふしぎ発見!」のレポーターとして活躍。現在は、シンガポールに移住し6人の子を育てる。
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NIKKI DIARY IN SINGAPORE
義務教育はたった6年!?
諸岡:今週もシンガポールで6人の年子の子育てをしていらっしゃる日記さんにお話を伺います。よろしくお願いします。
日記:よろしくお願いします。
諸岡:ちょっとまた学校の話を色々聞きたいなと思ってるんだけど、シンガポールの義務教育って何年間なの?
日記:義務教育は、これまた私もちょっとびっくりしたんだけど、小学校だけなの。
諸岡:おっ、え?6年間ってこと?
日記:そう、小学校の6年間だけが義務教育。
諸岡:あら、なんかちょっと意外。
日記:意外だよね。
諸岡:うんうん。
日記:これもね、2003年とか本当に最近決まって、それまで義務教育自体がなかったの。
諸岡:へえ、そうなんだ!
日記:そう。シンガポールだと、なんて言うんだろう、小学校に入るところが人生決まる!って思ってる感じだから、
諸岡:なんだって…!?
日記:だからもう、幼稚園からここの幼稚園に入れて勉強させて、塾では中国語とか教えて、ここの小学校に入りたいって決めてわざわざ近くに引っ越してくるとか。ボランティアやると小学校に入りやすいとかっていうのもあるから、そうすると親はわざわざ一回仕事辞めて、ボランティアに集中するとか。もう、命かけてるからね!
諸岡:へええ、すごい。なんか今日もボランティア行ってたって言ってたよね?
日記:そうそうそう、それは得点稼ぎって言ったら変な言い方になっちゃうんだけど、それもあるんだけど、基本的には、ボランティアっていうのは当たり前にあって。小学校でもボランティアをやるとちょっと得点がもらえて、学校に貢献してますっていうものがあるんだけど。
諸岡:日本で言う内申点みたいなものが積もっていくわけだね。
日記:そうなの、そうなの。
6年生で人生が決まるテスト
諸岡:じゃあ、6年間にぎゅっと勉強を詰め込む感じなのかな?
日記:んー、って言うよりは、それこそいい小学校に入りたいから、幼稚園からみんながんばるわけでしょ?なんでいい小学校に入るかと言うと、小学校で、まあ言ってみれば、「人生が決まる!」みたいな。
諸岡:(汗)
日記:そこで、小学校6年生の時にテスト(脚注 1)があって、そのテストで、良い中学校に行くかとか、テクニカルの方に行くかとかって言うふうに、もうそこで分れてっちゃうのね。だから、このテストが重要で、そのテストのためにみんな頑張る。
諸岡:そんな一大イベントが小学校6年生でやってくるんだ!
日記:そう!
諸岡:へええ。日本人でいうところの大学受験に近い感覚だよね。
日記:そうかもしれないね。だからそれで、セカンダリー、中学校に行く時も、エクスプレスとノーマルに分かれて、エクスプレス行くと4年だけど、ノーマルだと5年行かなきゃならないとか、また変わってくるんだけど。
諸岡:へえ。エクスプレスっていうのは、いわゆるその、エリートな人たちがいく感じ?
日記:って、思うんだけど、大体65%くらいがエクスプレスに行ける!頑張れば。
諸岡:へえ。ノーマルっていうのは、技術とかを学びにいく感じ?
日記:そうそう、勉強の方向っていうよりかは、技術を高めていって、国で働けるようにしましょうっていう方に、もう、方針を変えて行っちゃうというか。結構まっぷたつに分かれる。
諸岡:本当だねえ。
日記:だからって、テクニカルに行ったからって大学に行けないってわけじゃないんだけど、やっぱりかなり遅れを取っちゃうから。だったらみんなエクスプレスに行くように力を入れて頑張るっていう感じかな。
諸岡:そうかぁぁ、なんか6年生で人生決まっちゃうみたいなのって、早すぎるって感じもするけどね。
日記:するよねー。ほんっとに。それが、かわいそうでもあるっていうかさぁ、私からするとね。だけど、シンガポールはそれが普通だから、やっぱりその波に乗っていかないとっていうのはあるんだけど。でもやっぱり、あまりにも厳しすぎるとか、個人差があって小学校6年生で伸びない子もいる、中学高校になって伸びる子もいるっていう意見もあるから、最近はそれをもうちょっと、テストをちょっと変えていくとか、緩めていくとか。あとはあんまりにもエリート教育、エリート教育ってなってるのを、もうちょっと個人個人の個性を見て、その方向で進めていくようにっていう教育に変えてきてるみたいで。
諸岡:へえ。
日記:そう、だからそこはちょっとね、ありがたいし、今後のシンガポールが楽しみだなっていう点ではあるんだけど。
諸岡:そうだね、そうだね。
1:小学6年終了時のテスト、名称はPSLE (Primary School Leaving Examination) 。これによってセカンダリスクールが、エクスプレスコースになるかノーマルコースになるか決まる。
シンガポール式算数とは?
諸岡:実際にでも子どもたちは小学校でどんな感じで勉強してるんだろう?
日記:小学校では、結構ガッチリ勉強してると思う、やっぱり。持って帰ってくる勉強のファイルとか、「うわぁ、わかんない!」っていうのばっかりだから。こーんなに詰めこむんだぁとは思うけど。
諸岡:大人から見てもそんな感じなんだ。
日記:思う。うん。でも、「楽しい楽しい!」って言って帰ってくるから、慣れてるんだろうね。だから、忍耐力があるような気がする、ちっちゃい子でも。「もういやだ〜」みたいになることが少ない気がする。わりと勉強すると集中してやるし。
諸岡:うんうん。
日記:あとはね、数学で言うと、「シンガポール式算数」っていうのがあって。
諸岡:ほう! 日記:それがやっぱり評価されてて、フィリピンとか他の海外でも使われるようになってきてて。バーモデルっていうのを使って、計算とかをしていくらしいんだけど。ちょっとそれ、わかりづらいからちょっと実際に小学校で使ってる長男に説明してもらいたいと思うんだけど。
諸岡:わあ、こんにちは〜!
それから君:こんにちは。
日記:実際ね、これが使ってる数学のやつで、ここに書いてあるこれがバーモデルっていうので。英語でいいよ、全部英語でいいよ。
それから君(英語で):これがバーグラフです。ケリーは3枚のカードを作りました。ジョイスはケリーと同じ枚数を3回作りました。だから、ジョイスは3枚のカードを、1,2,3回作った。そして、ケリーは1回。ケリーは1回だから、3枚のカードを持っている。ジョイスは3枚×3回だから9枚。問題は「カードは全部で何枚ですか?」だから、9+3。答えは12。
諸岡:すごーい。
日記:これ、こういうふうにあった方がわかりやすいの?普通にこの数字だけよりも。
それから君:うん。
日記:学校でもこうやってやってるの?
それから君:やってる。
諸岡:文章題を理解するために、バーモデルっていう棒グラフみたいなものを使って、まあ、見える化っていうか、ヴィジュアライズして、理解しやすくするっていうことなのかな?
日記:そうなんだと思う。
諸岡:ありがとうね!
それから君:ありがとう。
諸岡:学校楽しい?
それから君:楽しい。
諸岡:なんの授業が一番楽しい?英語でいいよー。
それから君:えっと、ミュージック!
日記:ミュージックなんだ!
諸岡:あはっ、びっくりしてる(笑)。ねえねえねえ、So-Soは、中学校行くときはさあ、エクスプレスに行きたいと思うの?それともノーマルに行きたいと思うの?
それから君:エクスプレス!
諸岡:エクスプレスなんだ。周りもみんなそんな感じで思ってるのかな?
日記:いや、思ってると思う!(それから君に)小学校6年生でPLSEのテストあるの知ってるでしょ?だからそれに向けて頑張るんだもんね?みんな。
それから君:うん。
日記:親は説明してないけど、先生がちゃんと説明して、それに向けて進んでるんだと思う。
諸岡:へええ。わかった、ありがとう!色々聞かせてくれて助かりました。よくわかりました。
それから君:ありがとう。
諸岡:ありがとう。勉強がんばってね。
それから君:バイバイ。
諸岡:バイバイ!でも楽しいんだね、本当に。小学校、塾より楽しいって言ってたよね。
日記:そう、ほんと楽しいの。塾はね、ちょっと確かに厳しい。しゃべっちゃダメとか。
諸岡:ああ。
日記:テストとかもすごい多いの、塾でね。だからその塾のテストを100点取ると、おこづかいがもらえるようにしてるんだけど。
諸岡:あは、日記家では?
日記:そうそう。じゃないとモチベーションが上がんないからさ!
諸岡:あははは。
日記:だからそれをがんばってやるんだけど、あまりにも難しいから、ちょっと嫌いっていうか、いやなんだろうね。
諸岡:そっかぁ。
「どうして勉強しなきゃいけないの?」って聞かれたら?
諸岡:今回の最後に1つ聞いておきたい質問があるんですけど、「どうして勉強しなきゃいけないの?」ってお子さんに聞かれたらなんて答えますか?
日記:…難しいね!
諸岡:難しいよね!
日記:いやそれこそ、3歳、4歳ぐらいの時から、「え、なんで今なの?なんで今勉強しなきゃいけないの?」とは言われるのね。「勉強しないと、どんどん勉強が増えるよとは言ってるの。例えば、「勉強1個、これ、今やんなくていい?」って聞かれたときに、「今やらなくてもいいよ別に、だけど、今やらなかったら他のお友達はみんなやってるから、さらにその次の時に新しい宿題だとか勉強が出ます。それで倍になって、こーーーんなにやんなきゃいけなくなっちゃうんだよ。こーーーんなに1回でできるんだったらいいけど、ちょこっ、ちょこっ、ちょこって今やって、そしたらすぐに楽しいテレビ見れたりするんだから、今やっちゃった方がいいんじゃない?」っていう風には常に伝えてるけど。
諸岡:なるほど!
日記:なんかね、できれば「勉強しなさい、勉強しなさい!」とは言いたくないとは思ってるけど、6人いるとそれぞれみんな性格が違うから。勉強しなさいって言うと、ちょっともう挫けちゃってヤダって言う子もいれば、勉強しなくていいの?って言うだけだと全く聞いてない子もいて。ちょっと叱るっていうわけじゃないけど、グイグイって言わないと動かない子もいるし。だから、私は、それぞれ6人、私が考える中でだけど、合ってるかなって思う考え方で、言うようにはしてるんだけど。
諸岡:はぁぁ、すごい。使い分けてるんだぁ。
編集後記
小学校に入る前からバイリンガル、トライリンガルになってしまうほど教育に対して意識の高いシンガポール。それだけに、小学校で人生が決まる!?なんてフレーズが飛び出すほど、子どもたちに対するプレッシャーも高そうです。ただ、「学校が楽しい!」というのはやっぱり素晴らしい声。これから現制度の見直しなどもされてさらに改善されていくようなので、日記さんが言うように、本当にこれからのシンガポールが楽しみです!それにしても、日記さんのお子さんのそれから君もまた見目麗しい。動画確認しながら思わず「イ、イケメン…」の声が漏れてしまう諸岡でした。来週もお楽しみに!
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