静岡県公立高校の理数科人気を考える —「本当にわが子に合っているのか」という問い

理数科の倍率が高い—。静岡県の公立高校入試において、この傾向がここ数年続いています。浜松では浜松南高校、県内では磐田南高校や清水東高校、韮山高校など、理数科を設置している高校では軒並み高い倍率になっています。多くの親御さんから「なぜこれほど理数科が人気なのか」という問いをいただきます。

令和7年度静岡県公立高等学校入学者選抜 志願者数一覧(変更後)

▲ 静岡県教育委員会のホームページより

そこで今日は、理数科人気の背景を探りながら、お子さんの進路選択について一緒に考えてみたいと思います。

静岡県公立高校理数科の人気要因

理数科が人気の理由として、よく次のような声が聞かれます。
以下は静岡県の公立高校入試で理数科が中学生に人気が高い理由を表にまとめたものです。

これらの要因により、理数科は将来性と学びの楽しさを兼ね備えた選択肢として中学生に魅力的に映っており、静岡県内では高い倍率が続いています。


確かに理数科では、通常の学科よりも理数系科目の授業時間が多く設けられ、探究活動や実験なども充実しています。優秀な生徒が集まり、お互いを高め合う環境があることも事実です。

でも、ここでもう少し深く考えてみましょう。

「そんなときは深呼吸」—冷静に考えるべき点

数年前ですが、中学3年生の保護者からこんな相談を受けました。

「うちの子は文系の方が得意なんですが、周りの友達が皆、理数科を目指していて焦っています。どうしたらいいでしょうか」

このように、本来の適性よりも周囲の雰囲気に流されてしまうケースは少なくありません。私はいつもこう答えます。「そんなときは深呼吸」と。

冷静に考えてみると、理数科が「すべての生徒に適している」わけではありません。むしろ、お子さんの個性や適性によっては、普通科や他の専門学科の方が伸びる可能性があります。

もう一度、「なぜ理数科なのか」を問う

理数科の人気は、現代社会における理系人材の需要増加や、医療系などの安定した職業への期待、また学校のブランド力など、様々な要因が絡み合っています。しかし、それらの外的要因よりも重要なのは、お子さん自身の内発的な動機です。

「独創的なことをすべきだ。群れを追ってはいけない」という言葉を私はよく使います。周囲の流れに乗るのではなく、お子さん自身が本当に望む道を選ぶことの大切さを伝えたいのです。

以前、通常の普通科から東京大学理科三類に合格した生徒もいます。彼女は理数科ではありませんでしたが、自分の興味を深く追求し、必要な学習を自ら組み立てていきました。重要なのは、「どの学科に所属するか」ではなく、「どのように学ぶか」という姿勢なのです。

最後に — 親としての役割

親の役割は、お子さんの可能性を最大限に広げることです。理数科に行くべきか悩んでいるなら、まずはお子さん自身の声に耳を傾けてみてください。そして、様々な可能性を一緒に探ってみてください。

理数科が人気な理由を知ることも大切ですが、それ以上に大切なのは、「わが子にとって何が最適か」を見極めることです。

あなたのお子さんが、自分らしく輝ける進路を見つけられますように。

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