子どもの読書脳を育む - 読書が織りなす脳の不思議な変化
「読むのが得意な人」の脳には特徴があるということをご存知でしょうか。先日、WIRED.jpの記事でこのテーマについて興味深い研究が紹介されていました。この記事をきっかけに、子どもたちの読書について、私たちができることを考えてみました。
私たちの脳は、読書を通じて驚くべき変化を遂げていきます。特に成長期にある子どもたちの場合、その変化はより顕著なものとなります。今日は、「読むのが得意な人」の脳にどのような特徴があるのか、そして私たち親として何ができるのかについて考えてみましょう。
読むのが得意な子どもの脳の特徴
「読むのが得意な人」とは、文章を読んで内容を正確に理解し、読んだ内容から新しい気づきを得たり、自分の考えを深められる人のことを指します。例えば、物語を読んで登場人物の気持ちを理解したり、説明文を読んで要点を把握できたりする人です。このような読解力の高い子どもたちの脳には、いくつかの興味深い特徴があります。
例えば、言葉の意味を理解する部分(左側頭極:ひだりそくとうきょく)が特徴的な構造を持っており、様々な情報を上手く結びつけることができます。まるで、たくさんの引き出しを持つ整理棚のように、新しい情報をスムーズに受け入れ、既存の知識と関連付けることができるのです。
また、音を認識する部分(左横側頭回:ひだりおうそくとうかい)も発達しており、文字を音声としても理解しやすい構造になっています。このことは、例えば物語を読むときに、登場人物の会話を頭の中で自然に「声」として感じられる理由の一つかもしれません。
読書による脳の変化
興味深いことに、これらの特徴は生まれつきのものではありません。読書を重ねることで、脳は少しずつ変化していきます。例えば、継続的な読書習慣を持つ子どもたちの場合:
文字を認識する領域(視覚単語形状領域)が発達し、文字をより素早く正確に認識できるようになります
想像力を司る前頭前野が活性化され、創造的な思考力が育まれます
様々な脳の領域をつなぐ神経回路が発達し、情報の処理能力が向上します
親として考えたいこと
ここで立ち止まって考えてみましょう。「うちの子は本を読まない」と悩んでいる方も多いかもしれません。しかし、こんなケースもあります。
ある小学生のお母さんから聞いた話です。息子さんは本を手に取ることはありませんでしたが、図鑑を見るのが大好きでした。そこでお母さんは、息子の興味に合わせて恐竜や昆虫の図鑑を一緒に見る時間を作りました。すると次第に、息子さんは図鑑に書かれた説明文も読むようになり、関連する物語本にも興味を持ち始めたそうです。
このように、子どもたちの「読みたい」という気持ちは、私たち大人の小さな工夫や関わり方で大きく変わることがあります。
おわりに
脳科学の発見は、読書の持つ可能性の大きさを教えてくれます。しかも、それは決して焦る必要はないのです。大切なのは、子どもたち一人一人の興味や関心に寄り添いながら、読書の楽しさを一緒に見つけていくこと。その過程で、子どもたちの脳は自然と「読書脳」へと育っていくのではないでしょうか。
次に読書するときは、いつもと少し違った視点で子どもと本を開いてみませんか? きっと、新しい発見があるはずです。