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マイナス金利ってどういうこと?存在するの?金融のプロ田渕直也先生に聞きに行こう


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日々の経済、社会のニュースには何となくわかったような気になっていること、実はわかっていないことがたくさんあります。

このコラムではそんな疑問、質問、ことの本質をその道のプロフェッショナル、賢人に聞いてみようというものです。プロの方々の著作を中心に解説をご紹介していきます。

第1回は「マイナス金利」です

植田日銀総裁が黒田前総裁からバトンを引き継いで約3カ月が経ちました。5月、6月の日経平均は2カ月連続の2000円台の上昇と、日経平均の算出以来の初めてのことで、マーケット面では順調。しかし円安はどんどん進み145円台に。

 振り返ると黒田前総裁が10年間強烈に進めた「異次元緩和」のメニュの一つに「マイナス金利政策」(2016年1月導入)があります。マイナスの金利ってどういうこと?
一体何?

 これを田渕直也先生が、『金融の基本』という著書で見事に説明されています。

マイナス金利政策は文字通り金利をマイナスにする政策、つまり本来金利をもらうべき預金者やお金を貸した人が逆に金利を支払うということ。もっとも日銀が民間で行われる取引の金利をマイナスにするように強要することは出来ないので何をマイナスにするかというと、日銀当座預金(銀行が日銀に預けている預金)の一部にマイナスの金利をつける。銀行に金利を払わせるということ。例えば2019年8月の金利は日銀当座預金の余剰残高にー0.1%が課せられました

 えー預金者の銀行が金利を支払う!なんという強権、とびっくりしますね、さすが日銀強いと思いました。

 日銀は金融の量的緩和手段として大量の国債を銀行から買入れ、その購入代金を売り手の日銀当座預金に振り込み余剰資金を積みあがらせる政策を発動、さらにマイナス金利をそれに課していたということです


 銀行は日銀当座預金に余剰資金を置いてマイナス金利を課せられるよりもそれより少しでも条件の良い貸出等に資金を回すようになるはず、その結果貸出しが伸びたり、貸出金利が下がる効果が期待できるということ。

-0.1%の支払い金利に対し、無担保コール翌日物の金利(銀行が資金繰りを行うために、銀行間で今日借りて明日返すという1日限りの取引のための金利)もー0.05%~-0,06%くらいの小幅なマイナス金利になる。こうして実際の銀行間取引金利がマイナスになることで、短期国債の利回りもこれに連動してマイナスへ。

 えー!国債の金利までもマイナスへ?損をすることがわかっていて国債を購入?

田渕先生が以下わかりやすく解説 

①国債がさまざまな取引の担保用資産として広く使われていて、値段が高くても(利回りが低くても)一定量の国債を確保したいというニーズがある ②̠̠マイナス利回りの国債を買うくらいなら現預金にしておいたほうがいいのでは?しかし日銀当座預金から現金を引き落として、巨大金庫にためておくことは非現実的 
③たとえ利回りがマイナスでもそれより高い値段で売れば損はしない 105円でかった債権が満期に100円で戻るなら、満期まで待たずに105円かそれ以上売ればいい などです。




 今回は「日銀のマイナス金利政策」について田渕直也先生に教えていただきました。ありがとうございます。
 ニュースの本質がわからなくなるのは、メディアが最初は詳細を報じると、もうそれは「以前紙面や番組で説明したこと」として当たり前のように伝えますが、毎日忙しい人にとってはわからないことだらけです。立ち止まって確認することで理解も興味も深まりますね。

これからじっくりゆっくりいろんな話題を取り上げます
お付き合いをお願いします





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