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きみトリ×ラーンネット 10代とトリセツをつくる授業 第1回レポート

きみトリプロジェクトの稲葉麻由美です。

ひとつ前の記事でご紹介しましたが、神戸のオルタナティブスクール「ラーンネット・グローバルスクール」さんとの協働で、10代の皆さんと一緒にトリセツをつくる授業が始まりました。


実際にスクールに行く予定でしたが、東京と神戸で緊急事態宣言が発令されていることを考慮して、オンラインでの実施となりました。

1学期のテーマ「イヤだとOKのトリセツをつくる」の背景

1学期は、わたし の担当です。
書籍『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』の第1章「あなたの心と身体のこと」をベースに、「イヤだとOKのトリセツをつくろう」をテーマにしました。

わたしは、『きみトリ』で「性と生のトリセツ」という項を書きました。
この中で「性的同意(性的な行為を行う前に相手から明確な了解を得ること)」について触れています。
しかし、それまでのコミュニケーションでお互いの同意を取ることをしてきていないのに、いきなりその年齢になったから性的なことだけは同意をとろうね、と言ってもできるものではありません。
大切なのは性的なこと以外でも、普段から相手に同意をとるコミュニケーションが習慣となっていることです。
その習慣をつくるためには、「同意とは何か」を考えるきっかけや、ステップが必要です。

そこで小学校5,6年生のみなさんには、
●自分の「イヤだ」はどんなときに出るんだろう?を見つめる
●その「イヤだ」は相手への反応として出てしまうことが多い。けれど、実 は自分の内側にあることに気づく
●自分の「イヤだ」は大切。あったままでいい
●「イヤだ」だけだと人とつながるのは難しい。だから「こうしてほしい」「これならOK」の「リクエスト」が出せるようにしたい

これらについて考えること、話して(表現して)みることを通して、自分のことを知り、自分も相手も大事に、やさしく温かいコミュニケーションを育める人になってもらいたいと考えました。
私のそんな願いから、このテーマを選んでいます。

授業当日は、「事例説明」-「問いかけ」-「対話」-「意味づけ」を繰り返し、自分の「イヤだ」を大切にしながら、周囲の人とよりよい関係をつくることについて考えてもらいました。

はじめての小学生向け授業をふりかえって

オンラインで小学生向けにワークショップを、しかも授業として実施するのはわたしにとって初めての経験でした。
準備の段階では、子どもたちが安心して話せたり、関心をもって参加できるような授業にするにはどうしたらいいのか考え、きみトリサポーターの力も借りながら、コンテンツづくりに取り組みました。
何度もやり直すことで、「自分はいったいここで何を伝えたいのか?」「なぜ、自分は子どもたちに伝えたいのか?」ということを改めて自分自身に問い直し、言語化していく作業となりました。このプロセスは、わたしにとっても、大変貴重な学びとなりました。

授業当日はワクワクドキドキでしたが、オンラインという環境の制限の中でも子どもたちはたくさんのことを受け取り、積極的に参加してくれました。子どもたちが、たくさん考え、たくさんシェアしてくれたことがとてもうれしく、豊かな時間となりました。

また、現地ではナビゲータの方が子どもたちとの間をつないでくださったり、授業後にフォローを入れてくださったことで、スムーズな運営となりました。(本記事のカバーの写真はナビゲータさんによるグラフィック・レコーディングです)
ナビゲータさんたちにとっても初めての体験の中、お互いに手探りで協力し合って、授業を届けることができたことも喜びのひとつです。
(ラーンネットさんでは、子どもの学習を側面支援するという意味で先生でなくナビゲータと呼んでいます。http://www.l-net.com/navigator/

次回に向けての準備 〜トリセツをつくってみよう

次は一か月後、いよいよトリセツづくりに挑戦します。
それまでの間は、トリセツをつくるための準備に取り組んでもらいます。
まずは「トリセツをつくるとはどういうことなのか?」について解説しました。

きみトリでは「トリセツ」を
自分について、または自分の周りにあるものをひとつ取り上げて、
自分にとって「それ]は何か、わたしは「それ」をどう扱うか、
自分の目で見て確認できるようにしたもののこと
と定義しています。

トリセツに載っていることは、たとえば、
■一般的な(人から聞いた)定義と、自分だけの定義
■いつものつきあい方
■困ったときの対処方法
■事例、エピソードとそこから学んだこと
などです。

わたしたちは、このトリセツを「本」にしましたが、形はどんなものでも構いません。メモ書きでもよいし、絵やイラスト、スクラップなどなんでもいいですが、とにかく何か自分で表現して人とシェアできる(人に伝える)形にすると、人との違いがわかったり、他の人のトリセツがヒントになったりするので、おすすめです。
子どもたちには、このシェアできる形にして、授業の中で発表してもらうことに挑戦してもらいます。

トリセツをつくる準備としては、たとえば、
◇最近の出来事をメモする(配布ワークシート活用)
◇身近な人にインタビューして記録をとる
◇関係ありそうな写真や新聞記事を集めておく(スクラップ)
◇写真に記録する
◇家や図書館で本を探す。気になったところをメモして引用する。
などを挙げました。
ナビゲータさんとも進捗を共有しながら、自分でやれそうなこと、やってみたいことを探してみてもらうことになっています。

今回の授業をきっかけに

「トリセツをつくる」ための授業ですが、つくることが目的ではありません。スクールの活動の中で、実際に「イヤだなあ」と感じることに直面したら、まずは「イヤだ」と思ってOKと受け止めた上で、たとえば、「わたしは何がイヤなんだろう」「OKにできるポイントはあるかな?」と考えるチャンスにしてもらえたらと思っています。
今回の授業をきっかけに、いままでと違う視点が持てたり、いままでと違う体験が子どもたちに起こることがあれば、わたしにとって、それが一番うれしいことです。

次回の授業もまたとても楽しみです。

きみトリの授業にご興味のある方へ

きみトリプロジェクトでは、こうした継続的な学びの場を、学校、学童、居場所、コミュニティなどの方々と一緒につくります。まずは単発からの実施も可能です。プログラムにご興味を持たれた方はぜひ、ご連絡ください。
書籍購入の際は、コミュニティ単位で注文をとりまとめていただくと、割引価格での頒布も可能です。もちろん購入しなくても授業の実施は可能です。


お問い合わせ
きみトリプロジェクト
Eメール:kimitori2020★gmail.com(★→@)
ポータルサイト:https://kimitori.mystrikingly.com/
書籍購入:https://www.amazon.co.jp/dp/4866933283/


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