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革新自治体ー熱狂と挫折に何を学ぶかー【読書感想】

「革新自治体 - 熱狂と挫折に何を学ぶか (中公新書)」再読。
今から約50年前にブームとなった革新自治体の成立と衰退を扱う内容です。以前に書いた感想をベースにしています。

革新自治体|電子書籍|中央公論新社 (chuko.co.jp)

内容のまとめ

・革新自治体は、公害や教育、福祉など住民に身近な地域課題の解決を訴えて支持された。
・しかし、地域課題とはあまり関係のない国政政党の対立が持ち込まれて支持を失った。
・高度経済成長を前提としていて、低成長時代の経済政策がなかった。
・行政への市民参加を目指したが、市民同士の利害対立に対応できなかった。
 今の地方自治にも教訓とすべきところがありそうです。

革新自治体の評価について

 革新自治体は、評価者の政治的な立ち位置によって評価が分かれます。
 革新自治体を評価する側からは、様々な地域課題に先駆的に取り組み、地方分権改革の先駆けとなったと。
 逆に、革新自治体を批判的に見る側からは、組合との癒着や財政赤字が強調されます。
 本書では、財政規律を保った革新自治体もある一方で、市民参加の取り組みについても過大に評価することはできないとしています。政治的な立ち位置にとらわれず、客観的な評価を今の地方自治に活かすことが肝要かと。

私見として

 本書を読んで考えたことは次のとおり。
・地方自治は地域課題を解決すべきものであるが、ただ理想を語るだけではなく、地に足着いた議論が必要である。
・地域経済を活性化する視点での政策は絶対に必要(もちろん、行政がどこまで関わるかという視点もある)。
・「市民参加」は、実はとても難しい取り組みである。一方で、市民を分断するポピュリズムに地方自治が陥ってはならない。

 かつて革新自治体は、地方から国政にムーブメントを起こしました。それは今でも大切なことだと思うし、今の地方自治体にもその力があると信じたいところです。

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