【開催報告】第7回SCHシンポジウム西日本レポート
学校・生徒・地域を元気にしてきた高校魅力化プロジェクト。次の一歩は、「まち全体で学びをつくる」ではないだろうか。そんな問いを持って対話の場を開きました。
10月19日(土)全国各地から、57名の参加者と3名の講師の皆さんと、26名のスタッフの合計80名を超えるメンバーで一緒に学びの場をつくりました。
大崎海星高校みりょくゆうびん局の皆さんと一緒に、準備を進めます。
まずは大崎海星高校のみりょくゆうびん局による、アイスブレイクで開会。岡山県高梁市のコーディネーター 横山さんが開発した「盛りすぎ自己紹介」というアイスブレイクを実践します。自分の得意なことを盛りまくり、紹介するという内容です。会場が大いに盛り上がります。
そして、(株)イツノマ代表取締役の中川敬文さんの基調講演が始まります。演題は『地方にワクワクを起こす、子ども参画のまちづくり』。中川さんは、2020年に宮崎県都農町に移住、(株)イツノマを起業し、「人から始まるまちづくり」「Uターンしたくなるまちづくり」に挑戦されています。例えば、中学校の総合学習で「つの未来学」のカリキュラム企画から運営(年間25時間/学年)を行っています。この授業での課題は、町のグランドデザインと紐づいており、まちを良くするための100のアクションプランに対して、子どもたちが実践する機会をつくっています。この授業から、「まちづくり部」「Green Hope」「みちくさ市」といった取り組みが発展的に生まれ、子どもたちがまちに関わり、参画していく機会が生まれています。
子どもたちのアイデアを提言だけで終わらせるのではなく、アイデアを形にし、社会に届けて、変化を生み出すところまでを経験できる。そんな学びが都農町の子どもたちに届いています。
中川さんのお話ののちには、ランチタイムです。今回のメニューは、大崎上島産のトマトをたっぷり使ったカレーライス。島でトマト農家を営む、めぐみ農園のめぐちゃんが用意をしてくれました。
午後には4つのプログラムが盛りもりに盛り込まれています。
1つ目は、「教育×まちづくりトークセッション」豊田さん、北澤さんの対話セッションです。
パネルディスカッション形式で、豊田さん、北澤さんの取り組みや実践知についてお話をお聞きしました。
災害や少子高齢化・人口減少というタフな状況がある中で、「子どもたちが自分らしく生きていける環境をつくるために、大人がどう生きる?」というテーマを深めました。
あまり考えたり計画しすぎずに、まずやってみるから、入ってみようというDACPサイクル(Do, Apologize, Check, Plan)(やってみる、謝る、チェックする、計画する)の姿勢を、豊田さんからはご共有いただきました。
一方で、北澤さんからは高校で探究の授業のサポートをしていたら、先生から頼まれて弦楽器の指導を高校生にしたりする。銭湯を事業承継し、薪ボイラーでお風呂を焚く、その建物が地域の人や子どもたちの居場所になっている。多様な形で、子どもと大人、年齢に関係なく、お互いに関わり合う場が生まれているというお話を、共有いただきました。
お二人の話から、そのまちのことを何とかしようと本気の大人がいる地域では、越境・魅力化が自然におこり、子どもたちや外の大人が混ざることで、町に新しい何かが生まれていくということを学びました。
高校魅力化プロジェクトを、少子高齢化に直面するまちにとって、一過性のカンフル剤にするのか、それとも学びと人の出会いを生み出すジェネレーターにするのか。その分かれ道にある大人のあり方は何なのか、そのヒントが得られるセッションでした。
その後は、高校生マイプロジェクト広島のブラッシュアップ発表会です。今回は、N高校、FC今治高校里山校、近畿大学附属広島福山校、加計高校芸北分校、広島叡智学園高校、大崎海星高校から、9プロジェクトの発表がありました。高校生から10分間の発表があり、その後、参加者との対話の時間が設けられています。
高校生の学びは、大いに大人を刺激しました。
たくさんのフィードバックが参加者から返ってきます。「いいね !」「こんなのどう?」
発表後には、発表者のみんなで振り返り。たくさん気付きや発見があります。
そのあとは、まちあるきフリートークです。ゲストとともに徒歩で3つの学びの拠点に移動し、それぞれの場で対話を深めます。
それぞれの場所で、ゲストとじっくりとお話をして、教育とまちに関わるテーマを考えていきます。
移住者と地元の方がどうしても関わり合うのが難しくて、どう一緒に取り組んでいけばいいのだろうという悩み相談や、先生と外部専門家がどう役割分担をしていけばいいかというお話。
高校生と大人が普段どんな風に関わり合っているのか。「絵本を作りたい」ある子の思いに伴走しているお話。
高校生のために、が強くなりすぎて、大人がしんどくなってしまう。「高校生のプロジェクトを応援する」のではなくて、「〜さんが『〜をやりたい』って言っているから応援するよ」という、自然に繋がってお互いを応援していける形が良いのでは?という問い。そのための交差点が、町にあればいいな、というお話。
などなど、様々なトピックについて、ゲストと参加者の交流が生まれました。
そして、最後に1日の学びを振り返ります。
以下、参加者のアンケートより一部を紹介します。
高校生の学びに触れ、子どもたちが輝ける、地域が輝けるってどういうことか改めて考えることができました。大人が用意しすぎるのも、本気にならないのも望ましくなくて、そのバランスは大事だと思いました。
まずは自分が楽しみ、やりたいことをまずやってみることが大切だと感じました。そこに興味を持った子たちが一緒にやろうとする流れがとても良いし、今後自分でも場所作りをする時に、そういう場にしていきたいと思いました!
他の高校生のマイプロを見て、今の自分に必要なのはありえんくらいのパッションともっと内容を凝らなければならないと思った。
魅力化できるできないの違いは生徒に目が向きがちだったが、本気で頑張る大人がいるかも重要だと聞いて、納得できた。地域と民間企業が繋がっていく上で突破口さえ確保できたら、そのあとは試行錯誤できる余地があるということも新たな発見だった。
新たな発想は好きから始まっている。
普段、仕事をしながら私の中で形成されている価値観とは、異なる考えや動き方をされているみなさんのお話をたくさん聞くことができて、とても良い刺激になりました。
中川さんが言われたジェネレーターという関わり。勝瀬さんの話されていた、人ありきの動きをする考え方から、肩書きを超えて顔が見える現場作りをされている大崎海星らしいものの見方。まちづくりが、自分らしく生きる場所を作ることに繋がっていること。
皆さんの感想やプログラムを振り返ると、一人一人が自分らしく生きられるように学んでいくことがまず大切で、そこには、学校や地域、大人と子どもといった垣根は必要ないのかもしれません。ともに生きていく存在として、関わり合っていく。応援したり、応援されたり。そんな関わり合うための交差点をつくることが、これから大切になってくるのかもしれません。
全国からお越しいただいた参加者の皆さん、ゲストの皆さん、ありがとうございました。また島で、そして皆さんの町で、お会いできる日を楽しみにしております。
追記
参加者のお子さんが遊べるキッズスペースとして「出張ひみつきち」を今回初チャレンジ。高校生のスタッフと、ひみつきちのくみちゃんが、とても素敵な空間をつくってくれました。
プログラムからの帰り道,高校生とちびっこが手を繋ぎながら「最初は来たくないと思ってたけど,今日1日ホントに楽しかった!」と1日の振り返りをしながら歩いていたのが印象的でした。
そんな姿をみて、これからも大人と子どもが混ざり合い、学び合う場をつくっていきたい、そう心に誓ったのでした。
最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました!
(SCH西日本 事業責任者 笠井 礼志)
毎年、SCH西日本の財源はどうするのかという問題があります。この事業は、私たちまなびのみなとの自主事業。だれに言われたわけでもなく、どこかから受託している事業でもなく、ただやりたいからやる。それだけで7年目。もしよろしければ、ふるさと納税でのご支援をご検討いただけましたら、これからもこの学びの場をつくっていく力になります。ご検討いただけましたら幸いです。
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