敬語トレーニング ―確認テストに挑戦4ー
これだけは覚えておきたい敬語表現ばかりを集めた確認テストです。
基本シリーズ20問と応用シリーズ10問があります。
一日1問ずつでもいいので、自分のペースで挑戦してみてください。
解いていくうちに、これまで曖昧だった部分がきっとクリアになるはずです。
基本シリーズ 4 (問16~問 20)
基本シリーズ4も、引き続きビジネスの場でよく使われる敬語表現を取り上げています。
ビジネスマナーと敬語は切っても切れない関係です。問題を解きながら一つ一つ適切な敬語表現を確認することで、皆さんのビジネスマナーも同時に磨かれますよ。
問16 適切なのは、a、bどちらでしょうか。
お客様に対して...
「もしよろしければ、ご伝言を ( a 承りますが。 b お聞きになりますが。 )」
【答え】
a もしよろしければ、ご伝言を承りますが。
【解説】
私の動作「聞く」を、図右側の謙譲語「承る」と置き換えて表現している a が適切です。他に「お伺いいたしますが」などの表現もあります。
誤りの b は、「聞く」を図左側の尊敬語「お聞きになる」と置き換えています。これでは、自分で自分の動作を高めてしまい、不適切です。
問17 適切なのは、a、bどちらでしょうか。
お客様に対して・・・
「かしこまりました。課長にたしかに ( a お伝えします。 b 申し伝えます。 )」
【答え】
b かしこまりました。課長にたしかに申し伝えます。
【解説】
a、b ともに謙譲語ですが、両者には違いがあります。
a は、「伝える」を図左側の謙譲語I「お...する」に入れて、「お伝えします」としています。謙譲語Iは敬うべき相手を立てて、その相手に向かって伝えるというときに使います。しかし、ここでは課長は立てるべき人ではなく、お客様に対してへりくだるべき人ですから、謙譲語Iは使えません。
図右側の謙譲語II「申す」を使って「申し伝えます」としている b が適切です。謙譲語Iでは、お客様の前で社内の人を立てることになりますが、謙譲語IIを使えば、聞いているお客様に対して丁重に表現することができます。
★ポイント★
謙譲語I = 「伺う」「申し上げる」型と呼ばれ、敬うべき相手が明確にいて、その人に対して、自分側の動作や物事をへりくだって表現することで、敬意を表す働きをします。
【例】伺う、申し上げる、拝見する、お(ご)・・・する/いたす等
謙譲語II = 「参る」「申す」型と呼ばれ、自分側の動作や物事を聞いている相手に丁重に表現する働きをします。謙譲語Iのように、明確な敬うべき相手を持ちません。丁重語とも呼ばれます。
【例】参る、申す、存じる、おる、いたす、お(ご)・・・いたす等
問18 適切なのは、a、bどちらでしょうか。
お客様に対して...
「私もこれから(自社の)展示会場へ ( a 参ります。 b 伺います。 ) 」
【答え】
a 私もこれから(自社の)展示会場へ参ります。
【解説】
a、b ともに「行く」の謙譲語ですが、違いがあります。
b は、「行く」を図左側の謙譲語I「伺う」と置き換えています。謙譲語I「伺う」は敬うべき相手を立てて、その相手の所へ行くと言うときに使います。ここでは、お客様に対してへりくだるべき所(自社展示会場)へ行くと言っていますので、「伺う」は不適切です。
この場合、図右側の謙譲語II「参る」を使っている a が適切です。謙譲語IIを使うと、聞いている相手に配慮した、丁重な表現になります。
問19 適切なのは、a~cのどれでしょうか。
お客様に対して・・・
「(私は)田中様のお名前は以前から ( a ご存じでした。 b 存じ上げておりました。c 存じておりました。)」
【答え】
b (私は)田中様のお名前は以前から存じ上げておりました。
【解説】
aは私の動作「知っている」を、図左側の尊敬語「ご存じ」と置き換えています。これでは自分で自分の動作を高めてしまい、不適切です。
b「存じ上げる」もc「存じる」もどちらも「知っている」の謙譲語ですが、違いがあります。
謙譲語I「存じ上げる」は人や名前に使われ、謙譲語II「存じる」は事柄に使われますので、この場合、謙譲語I「存じ上げる」で表現している b が適切ということになります。
【練習】 適切なのは、a、b どちらでしょうか。
1)はじめまして。担当の佐藤と ( a 申し上げます。 b 申します。)
2)その件については、( a 存じ上げませんでした。 b 存じませんでした。)
3)週末には祖母の家へ ( a 参ります。 b 伺います。)
【解答例】
1)b はじめまして。担当の佐藤と申します。
・謙譲語I「申し上げる」は、敬うべき相手を立てて、その相手に向かって自分の意見等を言うときに使います。
・一方、謙譲語II「申す」は、自分の名前など自分側のことを、聞いている人に丁重に表現するときに使います。
・ここでは、自己紹介で自分のことを述べていて、立てるべき明確な相手はいませんので、謙譲語II「申す」が適切です。
2)b その件については、存じませんでした。
・謙譲語I「存じ上げる」は人や名前に使われ、謙譲語II「存じる」は事柄に使われます。
・ここでは「その件」という事柄ですから、謙譲語II「存じる」で表現している b が適切です。
3)a 週末には祖母の家へ参ります。
・謙譲語I「伺う」は敬うべき相手を立てて、その相手の所へ行くと言うときに使います。
・ここでは、へりくだるべき相手(祖母)の所へ行くと言っていますので、「伺う」は使えません。謙譲語II「参る」を使って、聞いている相手に配慮した、丁重な表現にします。
問20 適切なのは、a、bどちらでしょうか。
お客様に対して・・・
「会議が ( a 長引いております。 b 長引かれております。) 恐れ入りますが、もう
少々お待ちいただけますか。」
【答え】
a 会議が長引いております。 恐れ入りますが、もう少々お待ちいただけますか。
【解説】
事物や動物には尊敬語を使いませんので、a が適切です。
b は、「長引く」に尊敬語「...れる」を付け加えて、「長引かれる」としています。敬うべき人が出席している会議なので、つい尊敬表現にしてしまうかもしれませんが、不適切です。
【練習】 次の表現を適切に直しましょう。
1)ご乗車予定の新幹線が故障なさったそうです。
2)ランチセットにはお飲み物がお付きになっています。
3)社長のお宅には大型犬が3頭もいらっしゃるそうです。
【解答例】
1)ご乗車予定の新幹線が故障したそうです。
2)ランチセットにはお飲み物が付いています。
3)社長のお宅には大型犬が3頭もいるそうです。
基本シリーズ4では、謙譲語I、謙譲語IIの違いにも触れましたが、いかがでしたか。分かりにくいようなら、まず、今回取り上げた表現から使ってみましょう。
適切な敬語表現を身につけることで、皆さんのビジネスマナーもどんどん磨かれるはずです。