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『Cafe Groovin' Records』2024年11月4日オンエア「ビートルズ特集」の文字起こし(前編)

毎週土曜日の23時から、埼玉県鴻巣市のコミュニティFM「フラワーラジオ」からレコードの音を届けるラジオ番組『Cafe Groovin' Records』をお送りしています。残念ながらRadikoなどでの聞き逃し配信はやっていないので、過去の放送の雰囲気をどうにかお伝えしたいなと思って、いま流行のAI文字起こしを使って番組全体を文字起こししてみました。さすがにそのまま使えるクオリティではないので、余計な部分を削ったり、読みづらい部分を直したりはしましたけど、最低限の労力でこういうものをお届けできるのはちょっと面白いなと思いましたので、ここに公開してみます。


オープニング

Cafe Groovin' Records。
こんにちはこんばんは、真鍋新一です。
ただいまの時間は私、真鍋新一が鴻巣・フラワーラジオからお送りする、『Cafe Groovin' Records』。この番組では、60年代から80年代を中心に、素晴らしい音楽をレコードの音でご紹介していきます。1週間をGroovin'な気持ちで過ごせる曲を、当時のレコードのサウンドでお楽しみください。

 さて、11月に入りまして。前回に引き続きまして現在公開中のドキュメンタリー映画『リバイバル '69 伝説のロックフェス』に関連する音源をお届けしようというふうに思っていたんですけども、ここへ来てですね、大ニュースが入ってまいりました。

 「ビートルズ最後の新曲」ということで、それまでも少しずつ情報は解禁されていて、「発売日はだいたいこのあたりになるだろう」、みたいなことが言われていたんですけども、この1、2週間で急に話が進みまして、そして11月2日の夜10時から配信が始まって、たちまちですね、世界中がビートルズの新曲を目の前にして、ああだこうだともう大騒ぎになってるという現在でございます。

 そういうわけで、今回のことをさすがに無視するわけにはいかないというか、もうビートルズしか聞きたくなくなってしまいましてですね。途中まで収録のために準備していたものを全部先送りしまして。今日はもうビートルズしかかけない! という特集にしようと思いました。その新曲「Now and Then」はジョン・レノンが残したデモテープの音にポールとリンゴとジョージが音を出して、レコードの上で再結成した、そういうものだったんですけども、1995年に先にリリースされていたこの1曲をお送りしたいと思います。「Free as a Bird」。『Cafe Groovin' Records』、最後までごゆっくりお楽しみください。

●ザ・ビートルズ「Free as a Bird」

 ザ・ビートルズ「Free as a Bird」でございました。
 去年ジョン・レノンのドキュメンタリー映画『音楽で世界を変えた男の真実』の特集をやったときにもかけましたけども、改めてビートルズ再結成ソングの振り返りということで「Free as a Bird」をもう一度をかけてみました。『ビートルズ・アンソロジー』という未発表曲集に収録された新曲だったわけなんですけども、このときオノ・ヨーコさんはジョンのデモテープを3曲用意してたんですね。1曲目「Free as a Bird」、2曲目が「Real Love」で、これはそれぞれアンソロジーの『1』と『2』に収録されております。

 ただ、その時に3曲目の新曲をなんとか仕上げようとしたんだけど、結局当時はうまくいかなくて、28年ぐらいほったらかしにされてたらしいんですけども、今回AIの技術でジョンの声を取り出す技術がかなり進歩しました。じゃあこのタイミングでまた作ろうっていうことで、最終的にポールとリンゴで仕上げをして、今回最後のビートルズの新曲としてお届けされたのがこの「Now and Then」だったということでございます。

 確かにジョンは亡くなってしまったわけなんですけども、とはいえそのジョンの音に残りの3人が音を足すことによって、すごくマジックが生まれる。それが「Free as a Bird」のなによりの魅力だったと思います。なんかね、「元々ボツになるような大したことのない曲じゃないか」みたいなことを、どっかでそういう意地悪なことを言った人がいたんですけども、いやそうじゃないんだと。リンゴのドラムに、ジョージのギター、ポールのベースが絡まり合うと、やっぱりビートルズになるんだっていう。確かに、「Free as a Bird」はジョンにしてはすごくリラックスした気軽な感じで書かれた曲で、シングルのA面にして勝負するような曲とは違うかもしれない。でも、ビートルズはビートルズだっていうことでね。そういう意味では次の1996年にリリースされた「Real Love」のほうが、さらにキャッチーで個人的には好きでございます。同じような工程でジョンのデモテープにポール、ジョージ、リンゴが音を加えて作ったものでございます。ザ・ビートルズ「Real Love」。

●ザ・ビートルズ「Real Love」

 ザ・ビートルズ「Real Love」。ということで、冒頭2曲。1990年代に発表されたビートルズの再結成シングルである、「Free as a Bird」と「Real Love」を続けてお聞きいただきました。どちらの曲もプロデュースはジェフ・リン。ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のメンバーでございまして、ジョージ・ハリスンとは『クラウド・ナイン』というアルバム、それからトラベリング・ウィルベリーズなどを一緒にやっている人ですね。なので言う人が言うと、「ジェフ・リンの色が強すぎてこれはビートルズじゃない」とかいう人もいるにはいるんですけれども、とはいえですよ。

 さっきの話にまた戻ってしまうわけですが、今回「Now and Then」も聴いた上で改めてこの2曲をじっくり聴き直してみたわけなんですけども、やっぱり思うことはですね、この「Free as a Bird」と「Real Love」に関しては、かなりジョージの存在に気を遣ってアレンジなどがされているなというふうに思いました。

 今回の「Now and Then」にも確かにジョージのギターが入ってるそうなんです。1995年に途中まで作業をした時点でジョージのギターは入っていたということなんですけども、ただ今お送りした2曲に比べると、ジョージの影がやっぱりどうしても薄いですね。仕方ないです。1995年の段階で途中で作業が止まってしまって、その後ジョージが亡くなったので、これ以上はどうしようもない。なので、やっぱりビートルズの4人のバランスはちょっと崩れているのかなと、そういうふうに思いましたね。

 「Now and Then」の後半で聞かれるスライドギターは、ポールがジョージの真似をして弾いているっていうことらしいんですよ。そういうところもとてもビートルズらしいというか。よく考えたらビートルズだってメンバー1人しか参加してない曲とかあるし、別にメンバーが欠けてても「ビートルズ」って名乗ることにはなにも問題がないです。だから、この2023年にですよ? 一応メンバーの貢献度にいろいろ差はあるにせよ、「これがビートルズだ!」って言える曲がこうして新曲としてリリースされたことをですね、私は素直に喜びたいなと思っております。

インターミッション

 今回の『Cafe Groovin' Records』は「ビートルズ特集」。今まで「ビートルズカヴァー特集」とかね、「ジョン・レノン特集」とか、いろいろやってはきましたけど、ストレートにビートルズの特集をするっていうのがなかなか。どうせ1回でまとまるわけないし、なんか王道ばっかりでつまんない感じになっちゃったら嫌だなとか、いろいろ余計なことを考えてやってこなかったんですけども、新曲が出た今、ビートルズ特集をやらなくてどうするの?っていうことで、そういう気持ちを持って今日の放送をやってみたいと思います。

 で、最近もまたビートルズのレコードを買っているんですけども、日本盤のシングルです。ビートルズが活動してた頃に日本で出ていたシングル盤って数百円で安いので、レアなものは何万もするものもありますけども、数百円で買える程度のものをチマチマと買い集めるっていうことをやっていました。なんでそんなことしてるかっていうと、お金があんまりなくてイギリスのオリジナル版とか買えないとかそういうことは置いといてですね、「当時の日本でビートルズはどういう音で聞かれていたのかな?」っていうことをちょっとこの耳で確かめたくなって。それで実際に買ってみたら、いろいろと発見がありました。なので今日は全て日本盤のシングルでビートルズの曲をピックアップして聞いていただこう、というふうに思います。今回の新曲、「Now and Then」のカップリング曲は彼らのデビュー曲の「Love Me Do」でございました。

 その次のシングルの「Please Please Me」でドカーンとビートルズがブレイクするわけなんですが、こちらのデビュー曲はポップでいい曲なんだけども、なんというか、扱いが今までそんなに良くなかったというか、ないがしろにされていたところがどうもあったような気がします。ただ今回、新曲のカップリングということで、先日の夜はおそらく当時以来ですよ。おそらく当時以来、たぶん一番多くの人がこの「Love Me Do」を聴いていた瞬間だったのではないでしょうか? 今日も日本盤シングルの「Love Me Do」っていうのを持ってきました。ビートルズの記念すべきイギリスでのデビュー・シングルなんですけども、日本では「All My Loving」のB面というかたちでシングル発売されておりました。この曲を改めてこういう形で紹介するのもなんだか不思議な気分がいたしますが、お聴きいただきたいと思います。ザ・ビートルズ「Love Me Do」。

● ザ・ビートルズ「Love Me Do」

 ザ・ビートルズのデビュー曲、「Love Me Do」を聴いていただきましたただ、この「Love Me Do」には2バージョンあるんですよね。最初にイギリスでシングル発売された、リンゴがドラムを叩いてるバージョン。それからその後で、セッション・ミュージシャンのアンディ・ホワイトという人を呼んできて録り直したバージョン。アルバムに「Please Please Me」に入っているのは、この録り直したバージョンなんですけども、日本で発売されたシングルもこの録り直しバージョンでリリースされました。今回の「Now and Then」のカップリングに入ったのは、最初にリンゴが叩いたシングル・バージョンで、しかもそれがDolbyAtmosでステレオ化されている。モノラルミックスしか音源は残ってないのに、現在の技術で本当に見事なステレオになっておりました。技術の進歩には本当に感謝しかありません。他にも「She Love You」とか「I’ll Get You」とか、テープがモノラルしかない楽曲がありますんでね。今後発売される『赤盤』にはちょっと期待をしてしまいます。

 日本で最初に発売されたビートルズのシングルは、アメリカでの大ブレイクに倣って、A面が「抱きしめたい」、B面「This Boy」。このカップリングでリリースされたといわれておりますが、本当は「Please Please Me」と「Ask Me Why」が先だったんじゃないか? とか、発売は同時だったんじゃないか?とか、いろいろ諸説は乱れておりますが、とりあえず定説としては「抱きしめたい」が最初、ということになっておりますので、日本で最初に発売されたビートルズのレコードの音をお聴きいただきたいと思います。その後に出たベストアルバムでは、ステレオミックスが入っておりましたけれども、当時出たシングルはモノラルでございます。「抱きしめたい」「This Boy」2曲続けてお聴きください。


前半ここまで。後半へ続きます。

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