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ザ・ゾンビーズ『ゾンビーズの世界(ふたりのシーズン/シーズ・ノット・ゼア)』(EPIC ECPI5-6)

この坊主のマネキン5人がゾンビーズなんですか? パッと見、こわいジャケット

 「Time of the Season(ふたりのシーズン)」でおなじみ、ザ・ゾンビーズのベスト・アルバムに見せかけて、名盤『オデッセイ・アンド・オラクル』を丸ごと収録したお得な2枚組コンピレーションです。タイトルの原題は『Time Of The Zombies』。もちろん「ふたりのシーズン」にひっかけたタイトルです。
 ジャケットの奇妙なアートワークはロスワヴ・シャイボによるもの。ジューダス・プリーストのバンドロゴやアルバムのジャケット・デザインを手がけたことで知られる方で、1972年から1988年までCBSコロムビアでチーフアートディレクターを務めていたそう。だからソニー系の作品ばかりなんですね。他にはモット・ザ・フープル『ロックン・ロール黄金時代』などが代表作。

やっぱりメガネ野郎が2人もいるのがいいですよね。

 内容はA面がデッカ時代の初期ヒットが並びます。1面に8曲も入っていますからかなりお得ですね。そして貴重なのがB面。『オデッセイ・アンド・オラクル』の後にリリースされたアルバム未収録シングルのAB面4曲と、未発表に終わったアルバムのセッションから録音済みだった4曲が収録されているのです。「彼女はみんなの愛しかたが好き」「スモーキー・デイ」はヴォーカリスト、コリン・ブランストーンのソロ・アルバム『1年間』にリメイクされて収録されました。

 ということで、2枚目の両面はまるごと『オデッセイ・アンド・オラクル』です。ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』と同じく、その後の時代の再評価によって名盤の地位を確立した作品なので、リアルタイムでの評価はそれほど高くなく、したがってセールスも良くなく、レコードで当時の盤を買おうとするのはお値段的になかなか厳しいものがあります。盲点ですが、この『ゾンビーズの世界』がリリースされてくれたおかげで多少は気軽に名盤をゲットできます。自分はいまだにこの盤でしか『オデッセイ・アンド・オラクル』を持っていません。

 見開きジャケットは英文のライナーノーツを山本安見さんが日本語訳したもの。レイアウトもほとんど同じです。当時の日本のソニーのローカライズのこだわりってすごいんですよね。そのあたりのことについては今後また何度か触れることになると思います。

 なぜか写真のキャプションだけ英語のままだったので、試しにひとつ訳してみました。

ゾンビー・リーダー、ロッド・アージェントは語る「最初は少し怖かったよ。でもすぐにリンダに慣れたし、彼女も僕らに慣れてくれた。彼女が飛んだり跳ねたり、声をあげて音楽に反応してくれたのは見ものだったね。僕らが見たなかでいちばん熱狂的な観客だった。

『Time of the Zombies』見開きジャケット

 全然大したこと書いてなかったですね。『Fabulous』という雑誌の1965年3月号に掲載されたようです。チンパンジーのリンダちゃんはゾンビーズ・ファン!

 日本盤はちょっと盤が薄いです。オイルショックの頃から軽くて薄い盤が増えてきます。US盤やUK盤はどんな音がするんでしょうね。欲しくなってしまいました。まぁとにかくお得ですし、『オデッセイ~』に比べれば人気がないですので。狙い目ですよ。


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