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114本目『ドナルドの狩はつらいよ』No Hunting 1955年【ドナルドダック主演作をすべて観る】

監督:ジャック・ハンナ/公開:1955年01月14日 

あらすじ:

 ご先祖の霊に取り憑かれてしまったドナルド。ご先祖様の意思に従って狩猟場へ出かけると、マナーの悪い猟師たちで大盛り上がり。争うように動物たちを刈りまくっており、森や自然はボロボロ。もはやただの戦場と化していた。もちろんドナルドは動物と間違えられ、大勢の猟師たちに命を狙われてしまう

コメント:

 別になんの動機もなかったのに、部屋に飾ってあった肖像画と目が合っただけでご先祖様の霊が憑依し、たちまち洗脳されてしまうドナルドが悲しい。ドナルドは喜怒哀楽がハッキリした性格だけど、だからと言って自分の意志をしっかり持っているタイプではないと思う。行き当たりばったりで対処療法的というか、それは現代社会に生きる人が常に陥りがちな問題というか、それは自分にも当てはまるわけだけど、そういう精神的な弱さや不安定さがあるから、すぐに憑りつかれてしまう。他人事とは思えない。とはいえドナルドはまったく悪くない。ただ単に運が悪かっただけで理不尽すぎる状況にたちまち巻き込まれてしまう
 とにもかくにも人間は愚かという風刺のメッセージが貫かれた傑作。狩猟場の利用者たちが捨てたゴミでいっぱいになった川を見ている鹿は、特にクレジットが出ているわけではないが、完全に「バンビ」のカメオ出演である。

備考:

『ドナルドの猟はつらいよ』という旧邦題もある。
・ディズニープラスに配信なし。
・1956年の「第28回アカデミー賞」の最優秀短編アニメーション賞にノミネートされている。授賞したのは、ワーナー・ブラザーズの「メリー・メロディーズ」シリーズの一作『チーズはいただき(Speedy Gonzales)』「悪いネコたん」ことシルベスター・キャットが登場)。

・シネマスコープ作品。のちにスタンダードサイズに再構成してタイトルバックを差し替えたバージョンも存在する。エンディングで急に画面が右にパン(移動)するところに注目。


次回:


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