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【voicy】改めて考えたい「リプロダクティブヘルスライツ」

この記事は、
私が月1回パーソナリティを務めているvoicyチャンネル「母親アップデートラジオ」で話している内容を、文字に起こしたものです。

今日は2024年6月20日(木)の配信「陣痛よりも激しい痛みを経験した話」の一部を文字にしました。

音声配信を聴きたい方はこちら。

この放送は、
私が代表を務めるNPO法人HIKIDASHIが「リプロダクティブヘルスアワード2024」で「VERY賞」を受賞したことをきっかけに、

改めて「リプロダクティブヘルスライツ」について知ってほしいということで放送しました。

リプロダクティブヘルスアワード2024についてはこちらをご参照ください。


皆さん、「リプロダクティブヘルスライツ」聞いたことあるでしょうか。
「セクシャルリプロダクティブヘルスライツ」の頭文字をとって「SRHR」と表されることもありますが、
日本語に訳すと、「性と生殖に関する健康・権利」ということで、
1960年代から「女性の健康」運動が広がったことを背景に、
1994年にエジプト・カイロで開催された国際人口開発会議で提唱されました。
 
定義として、「リプロダクティブ・ヘルス」は、
『性や妊娠・出産など生殖に関わるすべてにおいて、単に病気がないだけではなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態(=ウェルビーイング)』であることを指します。
ライツが権利なので、『リプロダクティブヘルスに関すること、自分の身体に関することを、自分自身で決められる権利が誰にもある』ということです。
これ皆さん知っていましたか?
 
私が初めてこのことについて知ったのはいつか忘れましたが、
看護学生の時だったのかもしれないなと思います。
リプロダクティブヘルスライツについて知った時、さっきご紹介した定義よりも、
その内容を指す言葉として「誰もが、産むか産まないか、産むならいつ何人産むかを自由に決める権利がある」という言葉がすごく心に残って、結構衝撃だったんですよね。
 

今この放送を聞いてくださっている方が生物学的に女性なのか男性なのかわからないですが、おそらく女性が多いのではないかなと思います。
もちろんリプロダクティブヘルスライツは女性だけのものではないですけど、身体的な機能として妊娠・出産する機能があるのは女性なので、女性の方がより自分事として感じる人が多いのではないかなと思います。
 
で、これを知った私がなぜ衝撃を受けたかというと、
「産まない権利もあるんや」ということ、なんですよね。
いや、当たり前なんですけど、でも子どもの頃から漠然と、
「いつか子どもを産むもんや」と思って生きていた人多くないですか?
 

というのも、女の子が所長を迎えた時に、お赤飯を炊く、私は炊かれた経験はないのですが、今でもそうするもんやと思っている人もいたりしますよね。

「これであなたも子どもを産める体になった」やっぱり女の子はいつか子どもを産むことを期待されているわけです。
男の子が初めて射精をしてもそんな習わしはないですよね。でも初潮は祝う。いつか子どもを産む、しかも家のために産むことが期待されている。
まあ昔ほどそこまでの意識はないにしても、でもいつか産むことが当たり前と思っていた中で、「産まない権利がある」というのは当時の私にはすごく衝撃だったんですよね。
 

ここまで聞いてお気づきの人もおられるかもしれませんが、
私が出した『げっけいのはなし いのちのはなし』という絵本があるのですが、
「月経は命を繋ぐ大切なもの、だけれども、月経があるからといって将来必ずしも赤ちゃんを産まなければいけないということもない、自由に決める権利があるんだよ」と締めくくっているのは、
実は私がこの「産まない権利」について知った衝撃を、大きくなって「いつか産まなきゃいけないのかな」という思いに苛まれるのでは無くて、「自由に決めていいんだよ」ということを早めに多くの人に知ってほしい。

特に子ども達に、いろいろな選択肢があることを知ってほしいと思って作った絵本なので、ぜひ多くの方に読んでいただけたらなと思いますし、今回このリプロダクティブヘルスアワードの賞をいただけたことをとてもありがたく思っています。
 
 
他にも、リプロダクティブヘルスライツはいろいろな権利を含んでいて、
例えば「誰もが安全で満ち足りたい性生活を営むことができる」という面もすごく大事だなと思って、それも伝えるようにしています。

性教育ってなにも性感染症や予期せぬ妊娠を防ぐことだけが目的ではなくて、大切な人と豊かな性生活を送るということも、人間にとっては大切な権利じゃないですか。

だから、性的同意なども含めて、お互いがお互いを尊重し合った関係を作るのもすごく大切なことで、私が包括的性教育の中でも、「バウンダリー、NOという権利、同意」ということをすごく大切に子ども達に伝えていっているというのはこれまでのvoicyでもお話ししてきたんですけど、
すごく大切な側面ですので、また過去のvoicyを聞いていただくか、
私の出している書籍「『げっけいのはなし いのちのはなし』から広がる世界」という絵本の副読本のような書籍にも書いていますので、良ければ読んでいただけたらなと思います。
 

安心・安全な性生活を送るためには予期せぬ妊娠への恐れがない、ということもすごく大事だと思うんですけど、
でも、日本は女性が主体的に選べる避妊法は少ないですよね。

海外では避妊インプラントとか、パッチとか、注射とか、様々な選択肢がしかも安く手に入るんですよね。
1ヶ月1000円以下で手に入る避妊法も多いけど、日本は低用量ピル、それからミレーナとか子宮内に挿入する避妊具くらいですよね、
しかも避妊目的で保険が効かないとなると、ピルは月2000~3000円かな。
ミレーナは5年で5万円とすると1ヶ月計算すると1000円くらいですけど、
若い人にはちょっとハードルが高かったりしますよね。
 

そして緊急避妊薬、アフターピルですね。
何らかの原因で避妊に失敗した時、セックスしてから72時間以内に飲むと高い確率で妊娠を防ぐことができるんですが、
今やっと試験的に一部の薬局で手に入るようになったんですけど、
でも基本は医療機関受診で、1万円前後かかります。
海外は薬局販売している国も多くて価格も1000円~5000円くらい。
病院にいくとタダでもらえる国もあります。
これ詳しくは「なんでないの」というプロジェクトのサイトがわかりやすいので貼っておきますね。
#なんでないの: シールに注射…ないものだらけの日本の避妊を変えてゆく (nandenaino.com)


 この「安全で満ち足りた性生活を営む」権利、日本は果たしてどこまで保証されているのか、こういう面からも考えていく必要があります。
 
 
そして、「そのための必要な情報、教育を受けられる権利」ももちろん保障されるべきで、
私達はここですね、性教育、それも人権をベースにした包括的性教育の普及啓発というところに取り組んでいます。

ですので、包括的性教育とこのリプロダクティブヘルスライツは深く結びついていますし、リプロダクティブヘルスアワードのホームページにも「包括的性教育の推進」が大切と書いてあって、そこに取り組んできた実績を評価していただけたことはとても嬉しく思っています。
 
 
まだまだ性教育を「寝た子を起こすな」みたいなイメージで捉えている大人も多いかもしれませんが、
ほんとうに生きていく上で大切な、必要な「生」教育、
全ての人の「リプロダクティブヘルスライツ」を保障するために必要なものなんだということがより多くの人に伝わればいいなと思って、
これからも地道に活動を続けていきたいなと思います。



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