東京の休日 165 〜【憧憬の地 ブルターニュ】展@国立西洋美術館:フランスの最果てへの旅を〜
憧れ(あこがれ)の気持ちを意味する
「憧憬(しょうけい)」。
これを多くの画家たちに抱かせたのが
「ブルターニュ」の地です。
このフランスの最果てが
テーマとなった展覧会が現在
「国立西洋美術館」(上野)で
開催されています。
『憧憬の地 ブルターニュ
―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷』
2023年3月18日(土)~6月11日(日)
海の風を感じたくなる
この季節にぴったりの美術展と
なっておりました。
作品のご紹介の前に
まずは展覧会の概要のお話を。
「ブルターニュ地方」が位置するのは
フランス北西部。
(パリからはTGVで二時間ほど。)
「荒々しい自然」「ケルト文化」「異郷」が
この地のキーワードとなるでしょうか。
大西洋に囲まれた半島を中心とするため
その海岸線が荒々しくも心惹かれる景色を
つくり出しています。
また、海を渡れば
イギリス、アイルランドという土地柄
「ケルト文化」の影響を受けた
独自のそれが発展しているのです。
この風景と文化、
またそれが混ざり合った「異郷」の特異さに
巨匠たちは次々と惹かれていったそう。
今回は、
クロード・モネ
ポール・ゴーガンの他
日本人画家たちの作品も
展示されています。
作品は、30か所を超える国内所蔵先と
海外美術館2館から約160点が
集められたとのこと。
見ごたえある
美術展となっておりました。
それではいよいよ作品のご紹介を。
まずは、
「荒々しい自然」に
ふれることのできる至宝から。
クロード・モネ 《嵐のベリール》
1886 年 オルセー美術館(パリ)
クロード・モネ 《ポール=ドモワの洞窟》
1886 年 茨城県近代美術館
同じ「ベリール島」でも
お天気によってこれほどまでに
違った表情をみせるようです。
そして、
「ケルト文化」の影響。
シャルル・コッテ《悲嘆、海の犠牲者》
1908-09年 国立西洋美術館(松方コレクション)
儀式、お祈りを重んじてきた
ケルトの文化。
こちらの作品からは
ブルターニュの人々の
「精神性」が伺えるようです。
ブルターニュの伝統衣装も
作品の中で多くみられました。
「コワフ」と呼ばれる
かぶり物はとくに目を惹きます。
アルフォンス・ミュシャ
左:《岸壁のエリカの花》
右:《砂丘のあざみ》
1902年 OGATAコレクション
久米桂一郎 《林檎拾い》
1892年 久米美術館
ポール・ゴーガン
《ブルターニュの農婦たち》
1894 年 オルセー美術館(パリ)
ポール・ゴーガン
《海辺に立つブルターニュの少女たち》
1889年 国立西洋美術館( 松方コレクション)
そして、
あこがれの「異郷」であることを
ふつふつと感じられたのが
モーリス・ドニ《水浴》
1920年 国立西洋美術館(松方コレクション)
ポール・シニャック
《ポルトリュー、グールヴロ》
1888年 ひろしま美術館
浮かれた色使いに
みているわたしたちも
「あこがれ」を抱いてしまうようです。
アンリ・リヴィエール 連作
「ブルターニュ風景」より:
《ロネイ湾(ロギヴィ)》
1891年 国立西洋美術館
浮世絵らしさが
「憧憬」に磨きをかけているようでした。
美術館をあとにする頃には
すっかり「ブルターニュ」へ旅をした気分に。
ぜひ皆さまも
その美しさをご堪能くださいませ。
巨匠たちが
鮮やかに誘ってくださいますので。
写真・文=Mana(まな)