映画館で気を失った日
先に、こちらの記事を読んで頂けたら幸いです。
「死刑にいたる病」白石和彌監督
観たいけど、かなりグロテスクな表現があると言う評判を聞いて悩みました…阿部さんのお芝居が観たい…でも、グロテスクなのは苦手だから気持ち悪くなるだろうな…いや、その場面さえ目を逸らせばいけるんじゃないか…うん、行こうっ!!
と言う訳で映画館へ。
念のため、大きい劇場の1番後ろの席を確保。
開始10分程で噂に聞いていた描写が出てきました。画面を観ないように下を向いて時間が過ぎるのを待っていましたが、直前の映像と音と雰囲気でどうしても想像してしまい、血の気が引いて行くのを感じました…すぐに水を飲んで落ち着こうとしたところ、、、
あれ、今、私何してるんだっけ。
ん、何をしなきゃいけないんだっけ。
身体が動かない…動いて、動けっ!!
気がつくと床に寝そべっていました。
どこからか聞こえる声…
あぁ、そうだ、映画館に来てたんだ。
必死に座席に座り直しましたがちゃんと座っていられず、横の座席に寄りかかって休んでいました。手足が痺れてる…呼吸が荒い…
横になりたい…
でも、動けない…
床に寝そべろうかな…
そう思っていると
「大丈夫ですか?」
映画館のスタッフさんが来てくれましたが、話す事が出来ず何も伝えられない…
「外に出ますか?このままが良いですか?」
とにかく横になりたい、でも伝えられない!!
どの位そうしていたか分かりませんが、ようやく話せそうになったので「外に…」と声を振り絞りました。動けない私を女性スタッフの方が(私より小柄な方が…!)用意してくれていた車椅子まで運び、劇場の裏へ。
「どこでも良いから、横になりたいです…」また声を振り絞ると、マットを用意してくれました。手足はずっと痺れていて全く動けません。
「はいかいいえで答えられたら答えて下さい!持病はありますか?」
「無いです…でも、過去にもこう言う事があって、、、横になれば治るので、救急車は不要です…」
と振り絞って伝える事に成功。
女性スタッフの方がずっと付き添って下さり「水を…」と蚊の鳴くような声で呟くとサッとストローで飲ませてくれて。
20分位横になっていれば治ると思っていたのですが、結局ちゃんと歩けるようになるまで1時間半程かかってしまいました。黙っていればもう少し早く回復したのかもしれないけれど、ずっと付き添って下さるお姉さんに何だか申し訳無い気持ちと、お話ししたい欲がうずうず出て来て、起き上がって座れるようになった位からポツポツと私のお喋り発動。私が呼吸を整える為の休憩を挟みながらもずっと付き添ってくれたお姉さん、感謝に尽きます。私が気を失ったのを「感受性が豊かなんですね」とポジティブに表現してくれていました。
私が倒れた事は同じ列で鑑賞していたお客さんがスタッフさんに伝えてくれたそう。その方の貴重な鑑賞時間を削って伝えて下さった事にも感謝です。
その日、私は遅めのお昼ご飯にオムライス、早めの夜ご飯にレバニラと餃子を食べて早めに寝ました。
皆さん優しかった。
当たり前の対応なのかもしれないけど、とても嬉しかったです。丸の内ピカデリーのスタッフの皆様、本当にありがとうございました!
欲望に負けず、ちゃんと自分の体調を把握しておく事の大切さ。
狐狼の血もだけど、私、白石監督の作品の人間描写は好きな予感がプンプンするのにバイオレンス的な描写がダメで観れない…悔しい…悲しい…