見出し画像

永く愛せるもの


先日、仮設の映画館にて『島にて』という映画を観た。
山形県の離島・飛島の、人口わずか200人弱となっているこの島において、存続していくために大切なこととは何かを考えさせられるようなドキュメンタリー。

私は、この劇中のとある地元の方の言葉が非常に印象に残っていた。

「少しのお金と自由と元気さえあればなんでもできるんじゃないかぁ。この島が私は一番楽しいと思っている。様々なことを自分自身でやっていることが本当に楽しいんだな」

なにより、この話している時の表情と、なにもないを心から楽しんでいる、そこに「強さ」を感じられたのが印象的だった。
この方は、島でクリエイティブなことを生み出しているなどではない。普通に暮らしていて、純粋に心からこの島をすきだと思って暮らしている。飾らず、あるがままを大切に生きているこの姿に他とは違う「強さ」を覚えたのだ。

オンラインイベントで感じたこと


昨日はオンラインイベントのオンパレードだった。リアルのイベントだと直接訪ねるには物理的に難しい場合でも、オンラインだと地域を超えてさらには連続で気軽に「遊びに行ける」のは嬉しく思う。昨日は、Local Craft Marketのトークイベントに、Oriori Japanさんのinstagram&Facebookライブ配信、そして毎週楽しみにしている聴くTURNSだった。

中でも、Local Craft Marketのトークイベントでの株式会社日吉屋・西堀さんのお話と#聴くTURNSでのお話が、『島にて』の言葉の強さと繋がったところがあり深く共感させられた。

西堀さんのお話では、「ポストコロナ時代における産地のこれからの在り方」について深く語られていた。デジタル化が加速し、ライフスタイルや社会環境が大きく変わる中、地域の作り手は産地の良さを取り入れながら、いかにデジタル化を取り入れるのか。一方で、なんでもかんでも「デジタル」ではなく、アナログ的なものづくりを長年大切としてきている人たちが、「どのように」に人々に伝えていき、「何を」伝えていくのかが問われてくるのではないかというような内容だった。

そこで西堀さんがお話されていたのは、オンラインでもいかに「口コミ」(ファン層)を増やしていけるかということ。リアルなコミュニケーションと同じくらい、コアなコミュニケーションを「届けていく」には何を大切だと考えるのか。

本当に「好き」だとか「本当に伝えたい」などのシンプルな感情や想いこそが人々に共感を届けていくのだということだった。それは、不器用さ関係なく重要なことなのではないかと。

そして、夕方の「聴くTURNS」。
TSUGIの新山さんは、新山さんの仕事で大切にしていることの4つのポイントのうちの1つに「醸す」というキーワードがあった。
「醸す」とは。
その中のひとつの例として、RENEWというプロジェクトを挙げられていた。毎年10月の3日間に工房を解放して、工場見学というようなイベントを開催しているが、ただイベントを開催しているのではなく、ものづくりの背景や想いを知ってもらってファンになってもらうきっかけとなるようなイベントづくりをしているということだった。

同時に登壇されてたEVERY DENIMの山脇さんのお話の中にも、地域のデザインとものづくりを繋げていくために「想い」の強さを語られる場面があった。

本当に「好き」と思えるか

両者に共通していて、冒頭の『島にて』と繋がったのは、自分の価値や自分の良さとは何なのかを突き詰めていることだった。

その「自分」とは、地域や商品、はたまた仲間などにも置き換えることはできると思っていて、その「自分」を突き詰めていくことで、本当の感動や好きが生まれていき原動力となり、「個」の価値がより強くそして高まっていくのだと感じたのだ。

そこに生まれる強さこそが、その人やその物事のゆるがない本質的な愛にも繋がってる気がする。

.

ふとこんな言葉も思い出した。
昔、蒼井優さんが山里亮太さんとご結婚された時に話題になった言葉である。

『誰を好きか』より
『誰といるときの自分が好きか』

これこそが今、それぞれの地で「永く愛せるもの」を感じている方々の、根底にある考え方なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?