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庄内刺し子について

■庄内刺し子とは?

庄内刺し子とは、前回のnote「繊細優美な日本の良さ。山形県・庄内鶴岡の旅。」でも触れた通り、青森県津軽地方のこぎん刺しや、南部地方の南部菱刺しにならぶ、日本三大刺し子のひとつです。中でも庄内刺し子は難易度が高く、目が細かく繊細緻密なデザインが特徴的です。

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作家さんの小野寺勇一さん(刺し勇)は、庄内刺し子を手作りで製作する男性作家として注目されています。刺繍と聞くと女性的なイメージを持たれることが多いですが、男性の小野寺さんがすべて手作業で仕上げていることがとても印象的です。

小野寺さんは30代半ばに庄内刺し子と出会い、羽黒山山頂にいる師のもとで技術を学びました。現在は、小物を中心として制作活動を行い、全国で展示販売をしています。

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もともと庄内刺し子は、作業着や古着などの防寒や衣類の補強・継ぎ当てとして繕われ、長く使い続けるための技法のひとつでした。生活必需品として実用性を重視し、仕事というよりは生活の中で生業として行われてきました。寒さをしのぎ、動きやすさを保ち、無事に働けるように。そんな祈りや思いが小さな模様となり、人々を支えてきたのです。

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やがて庄内刺し子は、実用性と装飾性を兼ね備えたものとして進化し、現在の生活に合った形で広まりました。受け継がれる伝統模様を大切にしながらも、時代に合わせたアイテムに生まれ変わり、今も多くの人々に愛され続けています。

■庄内刺し子の繊細緻密な模様

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小野寺さんの作品には、様々な模様が施された庄内刺し子が存在します。

「柿の花刺し」
模様が連なっていることから、子孫繁栄や五穀豊穣の願いが込められています。古くは害虫を予防する模様としても用いられていました。

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「米刺し」
庄内の平野での米作りを象徴する模様です。米の豊作を願い、代々紡がれてきました。

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「杉刺し」
杉山をモチーフにした縞模様で、針目を少しずつずらしながら刺していくデザインです。山々に囲まれた庄内地方の自然を感じさせる模様で、昔の人々が身近な風景を表現していたことが伝わります。

写真のネームタグは、小野寺さんのこだわりの一つである「女性らしさゆえ、女性が考えないモノをつくりたい」という思いから、そのユニークな視点は、ボトルキープ用のネームタグといった発想にも活かされています。

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「花刺し」
春夏秋冬を表現する模様で、小花の愛らしいデザインが特徴です。寒さ厳しい冬を乗り越え、春の訪れを待ち望む人々の思いが込められています。

小野寺さんの作品は、全国の展示販売で手に取ることができるほか、現在、東北4店舗で一部販売があります。(仙台:清川屋、鶴岡:清川屋/足湯カフェ「チットモッシェ」/スイデンテラス)

【追記】
2018年11月オープン・スターバックス鶴岡店では店内装飾にも!

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2018年11月にオープンしたスターバックス鶴岡店では、庄内刺し子をはじめとした山形の伝統産業が店内装飾に取り入れられています。クッションには庄内刺し子、絵や額には羽越しな布や羽黒杉が使われ、地域の魅力を感じられる空間が作られています。

<鶴岡市スターバックス基本情報>
住所:山形県 鶴岡市 上畑町3-30
営業時間: 07:00~23:00
アクセス: 鶴岡駅/出入口(JR羽越本線) 徒歩13分/山形自動車道 鶴岡ICから約3.2km(車で約6分)



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