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運動脳

2023年7月の図書はこちら。
「運動脳」
著:アンデシュ・ハンセン

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久方ぶりの要約。
結局思うのは仕事が立て込んでいると本を読む暇もなく、積んだ本達がどんどん高くなっていく。そんな数か月を送った。
読みたい本が列をなしている為、まずはこの本の要約を書くことで次の本へ進みたい。

と、まあ、この本自体は通過点でしかないような書き方をしているけれど、この本、めちゃくちゃ面白いです。全部の本の要約の中で毎回面白いって言ってる気がするけど、、
にしても面白かった。自信を持っておすすめ出来る。

そんな本の面白さを少しでも伝えられたらと、要約を書きます。



1. 脳機能に対する運動の効果

まずは一番気になる脳機能に対する運動が与える効果について。

1.1 ドーパミン

これまでなんとなく聞いた事があるであろう言葉、ドーパミン。
これについて少し解説する。

人間は美味しい物を食べたり、社会と交流したり、運動や性行為をすると脳内にドーパミンが分泌される。このドーパミンというホルモンが多く分泌されると、人間はポジティブになり、その行動を繰り返したくなる。

つまり、脳が「また同じことをしろ!!」と催促をするのである。

ではなぜ脳は食事や人との交流、運動、性行為をさせたがるのか?
答えは単純で、こういった行為がヒトとして生存確率を上げるためである。

  • 生きるためには食べなくてはならない。

  • 社会との交流は集団生活を営む生物が生き延びる為には欠かせない。

  • 性行為は生殖を通じて子孫を残すことが出来る。

では運動は?
その理由は、ヒトの祖先が狩猟や住処を探す時に走っていた為であると考えられている。つまり、ヒトにとって運動は生存確率を上げる行為であり、それを繰り返させる為にドーパミンという褒美を与えてくれているのである。

そして、ドーパミンはただ幸せな気分にしてくれるだけでなく集中力にも影響を与えている。

ドーパミンの量が増えると感覚中枢から伝えられる雑音(周りの話声など)と元々脳内にある雑音の両方が消える。
要はドーパミンにより脳内の雑音が消え、集中力が増すという事。

ではどうやってドーパミンの分泌量を上げる事が出来るのか。
そう! 答えは運動! 運動によってドーパミンがドバドバ!

結論としては、運動によりドーパミン分泌量が増え、それにより幸せになり、集中力も増す。

はい、最高。

1.2 BDNF

次は聞いた事もないであろう言葉、BDNFについて説明する。

BDNF: 脳由来神経栄養因子

これは主に大脳皮質や海馬で生成されるたんぱく質であり、以下の役目を果たしている。

  • 新たに生まれた細胞を助け、初期段階にある細胞の生存や成長を促す

  • 脳の細胞間の繋がりを強化し、学習や記憶力の力を高める

  • 脳の可塑性を促して、細胞の老化を遅らせる

まあ、簡単に言えばBDNFは脳の天然肥料ってこと。
天然肥料であるBDNFがどんどん生成されれば、脳はそれに伴って目まぐるしく成長するということ。

ではどうやってBDNFを増やすのか。
答えはもちろん、運動!!

BDNFは、運動をすることで心拍数がある段階まで上がると大量に生成されるのである。
この運動というのは、有酸素運動がベストである。
実は筋力筋力トレーニングではBDNF量はそんなに増えない、、

つまり、心拍数が上がるような有酸素運動を行ってBDNFを大量に生成し、脳を最強に!!

1.3 運動が記憶力に与える影響

ある実験では持久力系のトレーニングを3か月した場合、単語を暗記する能力が運動をしていない人と比較してとても上がった、という結果が出た。

その理由には海馬の成長がある。
前述の通り、運動によるBDNFの大量生成により、その作用によって海馬が成長したのである。つまりは運動により海馬の成長が促され、記憶力が向上したのである。そして、実験の期間が長くなるにつれ、この差は歴然に、、

ここでは単語の暗記を例に記憶力の向上への効果を示したが、じてゃ俗に言う運動神経にも効果がある。
運動が運動神経にも効果があるってどゆこと?って疑惑を抱くと思う。(笑)

まず、運動などで新しい動作を習得した時、短期記憶として記憶される。
次の日になっても同じ動作が出来ていないと向上するものも向上しない為、この短期記憶が長期記憶として固定され、次の日も同じ動作が出来ている必要がある。

じゃあ、短期記憶を長期記憶として転送されやすくするためにはどうしたらよいか。

そう、ここで運動が出てくる。
運動により短期記憶が長期記憶として転送されやすくなる為、次の日も同じ動作が出来るようになる、そして更に新たな動作が習得できるという事である。

つまりは、ゴルフのスウィング、また運動に限らずピアノの演奏や英単語の記憶など、学びたいと思うどんな技術も事前に運動をすればBDNF分泌の恩恵を受け、長期記憶として固定されやすくなる。

運動すげえ、


2. ストレスに対する運動の効果

2.1 ストレスを感じるメカニズム

まずはメカニズムから。

脳は何らかの脅威を感じると脳内にてコルチゾールというホルモンが分泌される。このコルチゾール血中濃度が上がると脳も身体も厳戒態勢に入る。

厳戒態勢に入ることで、自分の命を守る為に"Fight Or Run Away"の準備が整うと、筋肉がたくさんの血液を必要とし、動機が激しくなる。
つまり心拍数が上がるのである。

この際脳は意識を集中させ、わずかな変化にも敏感になる。
そして、この反応が過剰になる場合があり、その場合は集中力が高まるどころか、かえって思考が混乱してしまう。

そうなると自制心は失われ、押しつぶされそうな苦しみに囚われる。

なんとなくこんな経験はあるんじゃいないかと思うが、これがストレスによって苦しんでしまうメカニズムである。

要は、コルチゾールっていうホルモンが過剰に分泌される事がストレスによって苦しむ原因の一つ。

2.2 ストレスを感じ続けるとどうなるか?

じゃあストレスを感じ続けるとどうなってしまうのか。
その答えは主に2つ。

  1. 海馬の細胞はコルチゾールに過度にさらされると死んでしまう

  2. 前頭葉も過度なストレスによって萎縮してしまう

ここで影響が出てくる海馬であったり前頭葉というものは、実はストレスを感じた時に、ストレスを緩和して興奮やパニックを防ぐブレーキペダルの役割を果たしているのである。

つまりは、ストレスに対してブレーキペダルの役割を果たしてくれている海馬や前頭葉も、ストレスを感じすぎるとその役割を果たせなくなるのである。(ブレーキペダルがすり減っている状態。)

そうなるとどうなるか?
脳内ではストレスに対してブレーキが利かなくなるため、更にストレスがストレスを生む状態となってしまうのである。。

ストレス、、恐ろしや、、

2.3 ストレスに強くなるためには?

ストレスに強くなる為にはどうしたら良いか、
はい、もう答えは簡単です。
運動!!!

運動をすると、身体では筋肉中に酸素を送る為に血流を増やす必要がありコルチゾールが多く分泌される。ストレスを感じた時にコルチゾールが分泌され心拍数が上がるメカニズムと一緒。

そして運動を続けていると、運動以外の事でストレスを抱えているときにコルチゾールの分泌量が上がりにくくなるのである!!

つまりは、運動によってストレスに対する反応が鍛えられていく!!

そしてそして、運動により海馬や前頭葉が成長することで機能が強化され、ストレスに対するブレーキも強くなる!!!

もう簡単に言えば、運動をすればストレスに強くなる最強の脳になるって事。
運動すげえ、、


3. 老化に対する運動の効果

ヒトの脳の大きさは25歳くらいがピークで、その後徐々に小さくなっていく。具体的には毎年0.5~1%程、縮んでいく。

記憶中枢と言われる海馬も年1%程度縮んでいく為、これが加齢と共に記憶力が悪くなっていく理由となる。

つまりは老化による脳の萎縮は避けては通れない、、

ではこれをどうやって食い止めるのか?

そう、ここでもまた運動!

定期的な運動をすることで、最強物質BDNFの作用により萎縮を食い止めるどころか、なんと脳が成長するのである!
それも、運動により健康状態が改善した人ほど脳がよく成長していた。

また、運動は認知症予防にも効果を発揮する。
毎日意識的に歩くと40%も認知症発症率が減少することが分かった。
薬では認知症を解決できていない今、医療でどうこうするよりも運動をして予防するもの良いのでは?

ここで言いたいのは、運動は老化にも認知症予防にも効くってこと。


4. どれくらい運動すればいいか?

ここまで運動の多大なる効果について書いてきたが、じゃあどれくらい運動すれば良いのかって部分も記載しておく。

こんな効果を出すためにはとんでもなく動かないといけないのでは?なんて思うかもしれないが、そうでもない。

効果が出るような運動の目安は下記の通り。

  • 週に30分×5回のウォーキング

  • もしくは週に20分×3回のランニング

これを見ると、あれ?頑張れないこともないかな?って思わない?
そう、別に無理な運動を強いているのではなく、日常的な運動をすることが前述のような大きな効果を生み出す。

なんとなく走り出したくなったんじゃない?


最後にまとめ。

ヒトの進化の歴史を見ると、現代のような生活をし出したのはつい最近の事。進化の歴史上、ヒトの脳は1万年前から進化していない為、現代の我々にも狩猟採集民としてのメカニズムが残っている。
その為、祖先と同じく生存可能性を高めるような行為をすれば、脳はそれを繰り返させようと快感を与えてくれる。

とは言うものの、現代の我々の運動量はと言うと、狩猟採集民の約半分。

しかも一日中座ってばかりで動かない。
狩猟採集民がこんな生活をしていたら獲物も住処も見つからない為、座ってばかりだと生き残れない。

つまり、多くの現代人が心や身体を病んでしまう理由は、「脳」と「我々の環境」、そのギャップにある。

その矛盾解消にはどうしたら良いか。

運動!!!
もう運動するしかない!!!
いや、運動をすればすべてがうまく行く!!!

さあ、座ってないで、今すぐ走り出せ!!!



最後の最後に感想を。

この本、とにかく面白かった、、
運動が身体にとって良いのはなんとなく知っているけど、様々な科学的根拠を突きつけられると、なんで俺は運動してないんだ?って気持ちになった。
そして単純なことに、毎回この本を読んだ後に走りに行ってた。

漠然と運動をするよりも意味を持って運動をする方が面白い。
その意味を教えてくれる良本だと思う。

ぜひ皆さんもこの本を読んでみてほしいし、走り出してほしい。

最後にもう一度。

さあ、座ってないで、今すぐ走り出せ!!!

お わ り

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