現実と紙一重の向こう側。ロイクソップとカリンの紡ぐ調べは我々をどこに誘うのか(オススメMV #32)
こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の32回目です。(連載のマガジンはこちら)
前回、ロイクソップ&ロビンのMVを紹介しましたが、実はもう1組、ぜひ紹介したいアーティストのコンビがあります。
それが今回紹介するロイクソップとカリンのコンビです。
先週から今週とロイクソップ祭りのようになりましたが、先週とはまた違ったテイストですので、今週もぜひお楽しみください。
では、まず最初のMVです。
ロイクソップ feat. カリンの「What Else Is There ?」です。
なんか不気味なMVですよね。
暗いだけでなく、この世のモノとは思えないような雰囲気が漂っています。
そして、ロイクソップの低いメロディーと高いカリンのボーカルが不思議な調べを紡いでいます。
カリン・ドレイヤー(Karin Dreijer)は、スウェーデンのアーティストで、姉弟プロジェクトであるザ・ナイフ(The Knife)を経て、カリンのソロプロジェクトであるフィーバー・レイ(Fever Ray)として活動しています。
この「What Else Is There ?」を聴いてカリンに興味を持ち、他の楽曲も聴いてみようということでフィーバー・レイやザ・ナイフの楽曲を聴き、MVも観たのですが、『あれっ...』という感じでした。
つまり、イマイチだったのです。
イマイチというと出来が悪いと思われそうですがそうではなく、私と全く合わなかった...という感じでした。
この楽曲「What Else Is There ?」ではどストライクのボーカルなのに、なぜなのか...
つまり、ロイクソップとのコンビを組んだカリンのみが私の嗜好にあっている、ということなんでしょうね。
しかし、この楽曲はいい!
聴いているとすぐに終わってしまうので、倍ぐらいの長さのロングバージョンを出してほしいぐらいです。
そしてMVも楽曲と絶妙なバランスで、楽曲の持つちょっと暗こわいトーンと歌詞の精神世界っぽい内容ともマッチしながら、楽曲が前面に出ているというか、楽曲が前に出るのをサポートしている映像になっています。
映像的にもっと押し出そうと思えばいくらでもできたでしょう。
不思議な動物や植物を出すことも、色も多用することもできます。
しかし、不思議なのは煙の出る木ぐらいで、あとは犬も森も電線も街頭も現実世界をベースに描いています。
家が空を飛ぶのは非現実ですが、家そのものは現実世界のままで、飛ぶと土台が崩れ落ちたりもしています。
ここがこのMVのポイントと考えています。
つまり、遠い架空の世界ではなく、現実と紙一重の不思議な世界を描くことで、楽曲の不思議な調べをより前に押し出しているのです。
ロイクソップとカリンのコンビでもっと楽曲をリリースしてもらいたいのですが、ロビンとのコンビは連名でEPまでリリースしているものの、カリンはそれどころかタイトルにすらクレジットさてれおらず、残念極まりない扱いです。
ぜひ次はロビンではなくカリンと連名でたくさんの楽曲をリリースしてもらいたいものです。
余談ですが、カリンはちょっと(いやだいぶ)変わっているヒトで、このMVでは貴族っぽい女性役で登場していますが、通常は恐ろしいメイクをしています。
どんなメイクなのか、参考までにカリンのソロプロジェクトであるフェバー・レイのMVを紹介しましょう。
「To The Moon And Back」です。
もう絶句...ですよね。
ちなみに、このMVだけがこんなメイクをしているわけではありません。
ライブでもフツーにこんな感じのメイクをしています。
(関係ないですが、このMV、ヘルレイザーっぽいですね)
さて、ロイクソップ&カリンの話に戻しましょう。
先ほど紹介した「What Else Is There ?」は2005年にリリースした2ndアルバム「The Understanding」に収録されていますが、2009年にリリースした3rdアルバム「Junior」にもカリンがボーカルを担当した楽曲が入っています。
それが次に紹介する「This Must Be It」です。
ヘンテコなMVですね。
しかし、妙な味があって、不思議と嫌な印象は受けません。
しかし...カリンのボーカルとこのMVの世界観がかみ合っていないと思うのは私だけでしょうか。
ロイクソップとカリンのコンビは、この楽曲以降ないようです。
もしかしたら、その原因がこのMVにあるのかも...というのは考えすぎですよね。
ちなみに、最初に紹介した(私が絶賛する)「What Else Is There ?」のMVですが、マーティン・デ・トゥーラ(Martin de Thurah)というデンマークの映画監督が作っています。
実は前回紹介したロイクソップ&ロビンの「Do It Again」もこの監督の作品ですので、やっぱりイケてる監督は外れがないですね。
今回はロイクソップ祭り第二弾として、カリンとのコンビを紹介しました。
「What Else Is There ?」はMVも楽曲も超オススメですので、ぜひ視聴してみてください。
ではまた次回に。