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弁護士とFIRE・アーリーリタイア②~種銭作り後編~

 さて、種銭作り後編です。稼ぐこと、使うこと、貯蓄することは、よく栓を抜いたバスタブにお湯を溜めることに例えられます。蛇口からのお湯よりも流れていくお湯を減らせばお湯は貯まります。
 今回は支出減の話が分量的に多いので、あまり論理的ではありませんが支出の項目を複数に分解しています。


1.支出を減らすのに重要なこと


 名著「となりの億万長者」では、弁護士は基本的に貯蓄があまりできない、資産形成がうまいとは言えない職業のひとつとして紹介されています。弁護士であることはご自身の属性のひとつですからこれは無視できません。是非ご一読ください。

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 私は、支出を減らすのに最も重要なことは「無理をしない」ことであると考えています。いくら早くFIREに達してもそれまでの生活がストレスフルであれば、それは幸福とは言えないでしょう。また、普通は長続きしないのでFIREできません。そこで、無理をせずに節約するためのルール作りが必要になってきます。


2.最も簡単に支出を減らす方法

 私の節約ルールはたったひとつ、

「収入を6割だと考えてその範囲で生活し、その余を貯蓄(投資)する」

です。便宜上「6割ルール」と呼びましょう。最初の種銭を作った後も常に種銭作りは続くので、「全て貯蓄する」ではなく「全て貯蓄(投資)する」になっています。ものすごくシンプルです。実年収8,000,000なら年収4,800,000相当の暮らしをする、実年収10,000,000なら年収6,000,000相当の暮らしをする、実年収20,000,000なら年収12,000,000相当の暮らしをする、ということになります。
 なお、私は妻子を抱え家族の生活費はそれなりにかかる一方で妻は専業主婦であったので私の収入が家計の収入の全てでした。どちらもフルタイム共働きの家庭であれば収入を5割だと考えてその範囲で生活することはあまり難しくないと思います。結局家庭の事情に応じて5割でも6割でも7割でも8割でもいいのですが、大事なのは先にお金を抜いてしまい残りで生活することです。試行錯誤してみましたが、これが最もストレス少なく貯蓄する方法でした。


3.固定費を減らそう


 支出を安定的に減らすためには固定費のコントロールが必要です。収入がそもそも少ないと仮定すると変動費のやりくりするだけではどうにもなりません。変動費ではなく固定費をより重点的に削減するのは家計見直しの王道中の王道であり、プレジデントとかダイヤモンドとか、その手の雑誌の資産形成特集では必ず固定費削減のアドバイスが出てきます。一方で、私は変動費についてはあまり節約しないというか、鷹揚です。変動費を頑張って削減しようとすると面倒でストレスがたまりやすく、長続きしないと考えているからです。
 固定費とは、イソ弁であれば、家賃、車のローン、任意保険料、生命保険料なんかが代表的です。家賃が高いところに住めば周囲に見合った生活をしたくなります。高級車を買えば修理代もメンテナンス費も(車両保険に入るとして)任意保険料も高くなります。生命保険は入る必要もないのに入っている人、額が多すぎる人をよく見かけます。
 固定費削減については具体的な内容はまだまだ書けるのですが、要は本当に必要であるかどうかを見極めることです。固定費は一度削減すれば長期間にわたって効果が継続し、何より一度実行してしまえばその部分について節約を考える必要がありません。ストレスを溜めずに節約するには絶対に必要です。


4.家族の理解


 支出を減らすためには、家族、配偶者がいる場合には配偶者の理解が必須です。特に配偶者の金銭感覚はご自身の金銭感覚と同じくらい重要です。私は妻に収支の全てを公開した上で、
「我が家は私の稼ぎが収入の全てでございます。私は貴女のために粉骨砕身、労働にいそしむ所存ですが、そこは人間、いつ働けなくなるかわかりませぬ。そのような事態が起きた際の備えのためにできるだけ貯蓄させていただきたいのですがよろしいでしょうか。」
と丁寧に説明し、理解を得ることができました。妻が「弁護士の妻なのに・・・」なんてことを言わない堅実なタイプであり夫婦の金銭感覚が合致していたことは私にとって僥倖でした。逆にあなたの家族や配偶者が弁護士である以上豊かな生活ができるはず(するべきだ、する資格がある)等と考えてたり見栄っ張りだったりする場合、FIREは不可能に近いです。それどころか精神的な安定を得るための一定の現預金の確保や豊かな老後という側面からも相当不利な状況に立たされています。まずは配偶者とよく話し合いましょう。


5.支出減だけに囚われない


 何度も述べているとおり種銭作りには①収入の維持・増加と②支出のコントロールが必要ですが、特に②については囚われ過ぎるのは考え物です。弁護士である以上研修に参加したりある程度高額な書籍を購入したりといった自己投資は絶対に必要で、それが将来①につながるからです。たとえば、今あなたが毎月30,000くらいしか貯蓄に回せないとすれば、それを50,000にするべく努力するよりは、「どうすれば100,000貯蓄できるんだろう」「200,000貯蓄できる人との差はなんだろう」と考える方が先です。ずっと毎月30,000または50,000貯蓄し続けるよりは、たとえば3年間の勉強や工夫で花を咲かせ、その時点から毎月100,000、200,000貯蓄できるようになった方がゴールは早いです。
 繰り返しになりますが、無理をしないこともやはり重要です。実は、「収入を6割だと考えてその範囲で生活し、その余を貯蓄(投資)する」という節約のための「6割ルール」は、もともと「5割ルール」を目指していました。しかし半分では生活が苦しいという妻の意見を取り入れて妥協しました。結果的にはこれが良く、無理がないかたちで楽しく生活しながら資産形成することができました。
 支出を減らすことに囚われすぎて将来のキャリアの芽を摘んだり過度のストレスを溜めるのは本末転倒ですし、挫折の可能性を高めます。FIREを目指す戦いは長期戦なのです。


6.戦略策定


 資産形成についての要素は、突き詰めれば「毎月(毎年)用意できる種銭を金額(A)」と「期間(B)」のかけ算と「投資利回り(C)」の積み重ねでしかないので、これらをシミュレートしてみましょう。
 「何年も先のことなんてわからないよ」という方もいるかもしれません。それ自体はごもっともです。戦略と言うと大げさですが、こんなのは適当で構いません。状況と現実に応じて臨機応変に変えていけばいいのです。結婚、出産、介護、インフレ、コロナ、地震・・・人生が何起きるかなんてわからないので、戦略には適宜の変更が必須です。しかしそれは当初の戦略が不要であることを意味しません。状況に応じて微調整を重ねることで認識の齟齬や大きな見込み違いを無くしていく必要はありますが、目標設定のための長期戦略は絶対に必要なのです。
 仮に年間毎月150,000の貯蓄を20年続けるとすれば150,000×12か月×20年で、金額としては36,000,000の種銭が形成できることになります。この上で投資利回り(C)を設定します。年間5%の1年複利とすれば61,130,496、年間10%の1年複利とすれば108,679,032です。以下のサイトで簡単に計算できるので、何パターンもやってみましょう。そのうちFIREに至るまでの種銭の額や利回りが見えてきます。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1254840095

 こういった計算を経て、やっと目標となる種銭の金額と投資利回りが出てくるのです。次回は実際の投資について書いていきます。

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