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北京のウイスキーフェスと紫禁城、そして四川省、福建省のウイスキー蒸留所へ
このところ中国案件が続いていて、先週も北京の趙さんがウイ文研にやってきて、彼女が紫禁城(故宮)の600周年を記念して6本のスコッチの長熟シングルモルトを出したが、そのセットの残りのボウモア、アードモア、オーヘントッシャンの日本での販売について話し合った。詳細は来月以降だが、この3本についてはウイ文研でも販売したいと思っている。そのためには北京の紫禁城にも行かねばならず、そのスケジュールも検討中だ。
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さらに15日の土曜日は同じ北京のチェスタージーさんこと、支さんが、ラオックスのTさんと一緒にウイ文研に来て、5月に開かれる北京の大きなウイスキーフェス、ウイスキープラスについても話をする。支さんはその主催者で、昨年は約2万人の人がフェスに訪れたという。それも20代から30代の若者が80%近くをしめていて、そのうちの40%が女性だという。支さんも驚いたというが、日本で我々がやっているフェスやヨーロッパ、アメリカのフェスとは大違いだという。我々のフェスは大半が30代、40代で、しかも女性の比率は20%くらいでしかない。
とにかく、その北京のウイスキープラスに私も参加して、セミナー等をやることにした。もちろんフェスの取材もあるが、紫禁城を訪れて、先述の趙さんのボトルのプロモートのためでもある。1本30万円以上するボトルなので、いかにストーリーを掘りおこしてプロモートするかは、私にかかっている。北京は1981年に訪れて以来なので、約半世紀ぶりだ。その時はカメラマンとして、中国の絨毯、いわゆる天津ダンツー(絨毯)、新彊ダンツーの買付けに同行していた。たしか伊勢丹の買付けだったと記憶する。北京に数日滞在し、その後新彊ウイグル自治区のウルムチに飛び、そこでシルクロードの取材もした。
それはともかく、支さんから四川省のライジュウ蒸留所のファーストリリースのシングルモルトとシングルブレンデッドの2本を持ってきてもらった。本当は昨年12月の東京フェスの時にと言っていたが、東京フェスは来れなくなってしまい、今回となった。そのボトルにも驚きだが、四川省へは3月5日から、2泊2日の弾丸で行ってくる。今回はペルノリカールの峨眉山の蒸留所の取材等がメインで、ライジュウに行く余裕もないが、日を改めて今年中にはライジュウにも行こうと思っている。
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その前にTさんと話しているのが、福建省の大芹蒸留所の取材で、これは4月上旬に実現させたいと思っている。大芹蒸留所の創設は2014年で、昨年10周年を迎えた。その記念の非売品のボトルもいただいているが、4月下旬の横浜フェスでは2ブースを出し、そして海外初のテイスティングセミナーも開くので、その前にぜひこの眼で見て、セミナーのお手伝いもしたいと思っているからだ。
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と、中国取材が相次ぐこともあり、このところアマゾンで司馬さんの街道をゆくシリーズの何冊かと、大学時代にやっていた唐詩選の本を買って、読み進めている。特に四川省の成都はかつて蜀といわれたところで、三国志の時代には劉備と諸葛孔明が活躍した舞台でもある。いわゆる魏、呉、蜀の三国時代で、孔明は「パリピ孔明」なんてドラマにもなっているが、中国史上もっとも有名な軍師である。
また四川省は唐の詩人で酒仙といわれた李白の出身地でもあり、李白は成都を流れる川を下って、やがて長江に出、当時の唐の都、洛陽に行って詩人として名を馳せた。さらに李白と並ぶ詩聖と呼ばれる杜甫も、一時期成都にいたことがあり、たしか当時の草庵が成都にあるはずだ…。とにかく、大学時代の授業が懐かしい。ちなみにいうと、当時中国文学の講義を受講していた国文科の同期が、「銀河英雄伝説」で知られる田中芳樹なのだ。久しく会っていないが、いつか中国の話でもしてみたいと思っている。
2人の対談集をまとめたのが、「イギリス病のすすめ」で、これは1997年に社会思想社から出版され、さらに講談社から文庫としても出ている。めぐりめぐって、まさか再び中国を旅するようになるとは。それも今度はウイスキーである…。